EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

真・MFC千夜一夜物語 第314話 MFCのボディは何でできているの?その6

電解研磨

一般にステンレスの電解研磨は、被電解物をプラス、相対電極をマイナスとして硫燐酸(硫酸と燐酸の混酸)の液中で直流電流を流すことにより行なわれる陽極酸化プロセスです。

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被電解物の表面付近に生成される皮膜の電気抵抗が大きいため凸部が凹部に比べ優先的に研磨され平滑になる傾向があります。


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その為、機械的に仕上げられた表面とは異なり微小な凹凸はないが全体的にゆるやかな波打った表面に仕上がり、初期は表面粗度では大きなアドバンテージはなかったのはあまり知られていない事実です。

その後、技術が進み、Ra0.1μm以下を実現できるようになっています。


ステンレスの中にはアルミナやシリカといった非金属介在物が存在してます。

電解研磨するとこうした異物の周辺で選択的に研磨が進行して穴が掘れる現象が発生してしまうそうです。

故に電解研磨に適した材料=非金属介在物の少いVIMVAR材ということになるのですね。(310参照ください。)

 

電解研磨処理(EP)の主用途としては、配管や小型部品です。

それに対して、複合電解研磨という研磨材よる擦過作用と中性塩電解溶液を用いて微弱電流による電解作用とを交互に行なう技術もあります。
凸部の不働態膜を機械的な擦過作用で削る行程と、むき出しとなった金属表面を電解により溶解することで平滑にするという工程を連続して行なうことで、研磨速度が単独で行なう電解研磨や機械研磨に比べ飛躍的に早くなるメリットを活かして大型部品によく使用されています。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

 

 

真・MFC千夜一夜物語 第313話 MFCのボディは何でできているの?その5


アウトガス

ウルトラクリーンテクノロジー(UCT以前は、表面粗さを改善しようと積極的にバフ研磨が接ガス部品にも使用されていました。

バフ研磨は、簡単に言うと研磨剤を保持する柔らかい布や皮でできたバフ(羽布)を回転させ、それに研磨剤を塗布して品物を研磨する方法です。
「表面を均一に研磨して表面層を除去し、滑らかな表面を造りだす」のが理想です。(写真参照)

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精密バフ研磨品 出典:()坂本製作所

()坂本製作所さんのHPへは こちら から

 

この際、表面の凸部を削り取り、それを凹部に埋め込むといったこともまれに起きてしまいます。

埋め込み層は通常の洗浄では除去できず、目視では鏡面で光沢を持っているためクリーンな表面に見えてしまいます。
しかしこのような表面からはハイドロカーボン系のアウトガスが大量に放出されることもあるのです。
半導体産業で使用されるガスの純度は著しく高く、アウトガスによる純度低下、汚染は大きな問題となります。
そこでアウトガス対策の観点から埋め込み層の生じない電解研磨が使われるようになってきました。

同様にOリングや、バルブプランジャーで使用されてきたエラストマー材料は、部品レベルでどれだけ枯らしてやっても、その組成上、そこからのアウトガスは避けられません。

UCT対応でエラストマー材が避けられる理由は外部リークレートだけではないのですね。

 

最期に脱線しますが、日本では高圧ガス保安法 一般則 第六条 三十五において以下の記載があります。

 “毒性ガスのガス設備に係る配管、管継手及びバルブの接合は、溶接により行うこと。ただし、溶接によることが適当でない場合は、保安上必要な強度を有するフランジ接合又はねじ接合継手による接合をもつて代えることができる。”

溶接出来ない場合、使用できる「ねじ接合継手」としての継手形状とシール方法が例示基準で決まっています。
実はその段階で下図右側の図のようなネジ山部分が接ガスしてしまう一般的なエラストマーシールタイプのMFCの構造は全てアウトなのです。

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半導体向けでなくても、これは注意したい部分ですね?
実はDecoも最近教えて頂いたのですが・・・

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第312話 MFCのボディは何でできているの?その4


【お知らせ】
今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。【本告知は今回で終了します】

SUS316L、SUS316L VIMVAR材、ハステロイC22とマスフローコントローラー(MFC)&マスフローメーター(MFM)のボディ接ガス部を構成する材質を説明してきました。
マスフロー(MFCやMFMの総称)のメイン市場は半導体製造装置産業なので、そこでの要求に合わせる形で使用される材料も刻々と変化してきました。
それに対応するのは、マスフローメーカー側の努力だけではなく、金属材料手配、切削加工、内面研磨、外面ラップ加工までをワンストップでお願いできる業界を熟知した加工業者さんの協力があってこそでした。(写真参考)
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半導体用MFC他加工部品 出典:(株)坂本製作所
(株)坂本製作所さんのHPへは こちら から

半導体プロセス対応接ガス材質の選定に関してより詳しい知識を必要とされる方は、SEMI Standard F105-1107 ”ガス供給システムにおける金属材料の適合性ガイド” を一読されることをお奨めします。

さて、今週からは接ガス材質の表面処理に関する用語を解説していきましょう。

・パーティクル

ウルトラクリーンテクノロジー(UCT)で排除されるべき対象=パーティクル(particle:一般に小片、粒子を意味するのですが、要は微細なゴミ)です。
パーティクルには、付着残留パーティクル(元々配管の中に存在していたパーティクル)と、機器を使用中に発生してくるパーティクル(バルブなどの慴動部での磨耗や腐食により生成する)に分かれます。
UCT以前は、付着残留パーティクルを除去する為にガスパージやハンマリング(配管をハンマーでコンコンと叩く)、洗浄といった手段が取られてきました。

しかし、例えばBA配管(表面粗さRy3μm)をモデルにしてみても、廃除すべきパーティクルサイズが0.1μmであるのに対して、配管の表面には3μmの凹凸があるのでは、窒素ガスでパージしても0.1μmサイズのパーティクルの完全パージは不可能です。
その証拠に、パージや洗浄、ハンマリングを行いパーティクルが検出されなくなった直管をベンダーで曲げると数百数千のパーティクルが出てきたそうです。
これらのパーティクルは溝の中に付着残留していたものが飛び出してきたと思いがちですが、表面付近に存在しているアルミナ等の非金属介在物が、曲げ作業により割れてパーティクルとなるものもあるようです。
(そのため非金属介在物の少ないVIMVAR材はパーティクル対策に有効なのですね。)
電解研磨処理を施した配管では曲げ加工を行なっても、0.1μm以上のパーティクルは数個以下になるそうです。


MFCのパーティクルテストに関しては、参考資料としてSEMI E66 ”マスフローコントローラのパーティクル発生測定のテスト方法” を読んでみて下さい。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第311話 MFCのボディは何でできているの?その3

【お知らせ】
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本来は5月の連休でEZ-Japan BLOGもお休みなのですが、今回は新型コロナウイルス(COVID-19)関連で、”ステイホーム"で自宅でPCから業務情報にアクセスされる方もおられるのではと思い、更新させていただく事にしました。
皆でこの困難な状況を乗り越えていきましょう!

・ハステロイC22
ハステロイ(HASTELLOY Haynes International, Inc®)は、ニッケルを主体とし、クロムやモリブデンなど様々な合金成分を添加することにより、耐食性および耐熱性を高めたニッケル合金です。

添加する成分の違いにより、ハステロイB、ハステロイC等の種類がありますが、半導体ではクロムやモリブデン等の含有量を増やしたハステロイC-22が使われることが多いですね。(下表)
第2表

 
これは高温下の機械的強度が高く、硫酸や硝酸、塩素などの酸化性雰囲気でも優れた耐久性を誇るという評価があるからです。
加工切削は大変難しく、非常に高価な材料ですが、溶接性は良好です。
その特性がメタルシールタイプ熱式センサーチューブのような部分的に高温となる部位の材料として選ばれる理由なのです。

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上図にあるように80~100℃に達する巻線方式熱センサーの流路は、ハロゲン系ガスラインなどで腐食を起こしやすい部位です。
また、メタルシール構造にするには、メタルOリング or CリングをSUS316L材のボディとセンサーベースで挟み込む必要があります。
センサーチューブをそのままメタルシールにする訳にはいかないので、どうしてもセンサーチューブとセンサーベースを溶接しなくてはいけなくなります。
その際、ニッケル合金ハステロイC22を異材溶接するにはTIGなどの手法が必要になります。

 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan HP アップデートしました

かねてから告知しておりましたEZ-Japan HPをアップデートしました。


ブロンコストの本質安全防爆マスフロー EX-FLOWシリーズが、TIIS / IECEx / ATEX Zone-1 認証に加え、韓国KCsマーク(Korean Certificate Safety)にも対応を開始しました!


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【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

同時に(株)タテヤマ製作所さんからは、EX-FLOWとセットで本質安全防爆ループを構成するシグナルプロセッシングモジュール ”TSPM-003-ES"KCSマーク対応が始まっています!

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【出典:(株)タテヤマ製作所】



スルーフロー構造でシンプル流路、流体の汚れに強く、低差圧、大流量測定&制御を得意とするMASS-STREAMシリーズD-639010,000ln/minまでの大流量マスフローメーター(アルミボディ )が先行して昨年から販売されていますが、これのSUSモデルが加わり、更に10,000ln/minまで流量制御ができるマスフローコントローラータイプのD6390/003BIが追加されました!(下写真)

D6390_003BI

           【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

精度表記も従来の±2%FS表示から、±1%R+±0.5%FSへと、本来の能力値に準じた形で改められています。
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【出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 但し現時点で英文カタログのみ】
何度かお話ししていますが、「精度の良い、悪い」は、直接マスフローのパフォーマンスに影響はしません。
しかしながら、カタログ比較される上で問答無用でこの項目を見るユーザーが多い事も確かですので・・・・

以上/EZ-Japan Deco

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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