もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 201810月号(9/25発売)ですが、マスフロー千夜一夜物語は誌面都合で休載です。

11月号をお待ちくださいね。

 

まずは下の図を見てください。

181009_01


この組み合わせは、タイトルにあるようにMFM部は本質安全防爆ですが、流量調整弁やポンプに対しては、あくまで耐圧防爆構造のものを選択しています。

賢明な皆様には既にこの構成が 本ブログの第261話 ”マスフローに防爆仕様は存在するの? その8” で取り上げたATEX本質安全防爆構造のEX-FLOW MFCタイプと似通った構成である事に気が付かれたでしょう。
そもそも流量センサーと流量制御バルブ、そしてPIDコントローラを一体化したMFCという形態は、本質安全防爆が必要な危険場所では存在し得ないのです。

なので、ブロンコスト自身は流量発信器のTIIS認証に特化し、ユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールの開発は計装技術に造詣の深い()タテヤマ製作所に委ね、流量制御弁やポンプは複数の国産メーカーでリリースされている耐圧防爆構造の既存品を顧客の必要としているプロセスに応じて組み合わせてもらうというブロンコスト・ジャパン()の戦略は、市場の現実をよく見据えた鋭いものであると思えてきます。

TSIP-002-CREX-FLOWを流量発信器として本質安全防爆ループを形成する相棒ですが、そのパートナーはEX-FLOWには限りません。
TIIS
認証本質安全防爆発信器ならば、他の測定方式の流量発信器でも、または圧力発信器でも構わないのです。
圧力発信器を用いれば、本質安全防爆構造圧力センサーとなり、更に流量調整弁を接続すれば、APCAutomatic Pressure Controller)を形成することもできます。
APC
の場合、圧力発信器の位置が容器の上流か、下流かによって容器の入口圧制御/出口圧制御と役割が変わる性格があるのは、以前ご説明したと思います。
センサー部とバルブ部が一体型のMFCのような形はAPCとしての汎用性をスポイルしてしまうので、このようなセンサー部と制御バルブの配置を固定されないスタイルが市場では歓迎されるとDecoは思います。

 

連載10回をかけてマスフローでの防爆の解説とブロンコスト・ジャパン()の新製品 本質安全防爆構造MFMEX-FLOW”、そしてコンビを組む(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュール“TSIP-002-CR”との接続による本質安全防爆構造MFMとしての運用、その応用編としてフローコントローラへの拡張の可能性の解説を行ってきました。

今までと異なり、防爆に関してグレーゾーンは少なくなってきています。

TIIS認証品が無いので、代わりの方法で…というのは通りにくくなり、TIIS認証品で構成する事を例外なく求められるようになると思えます。
そういったタイミングでTIIS認証本質安全防爆防爆構造MFMが世に出たのは必然だったのかもしれません。

防爆に限らずワールドワイドでビジネスを展開する際に、必ず各国でのローカル規格認証の問題が付きまといます。
もちろんメーカーは、それらを尊重してビジネスを展開していかなくてはならないのですが、国々の規格への個別対応には当然コストと時間を必要とします。
これがメーカーの負担になっている事は否めません。

しかし、安全規格の場合、それは即ち人命にかかわるものなのだから、緩和、国際共通化していくには難しい側面もあるかもしれません。
でも、ローカルルール化が過ぎたレベルになり新規参入を拒む障壁になってしまうのも避けたいところで、悩ましいところですね。
今回のオランダのマスフローメーカーであるブロンコストのTIIS認証取得が、良い意味での”ペリーの黒船“になってくれればとDecoは思っています。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan