もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌

201812月号(11/26発売)では、マスフローのゼロシフトに対するゼロ調整に関して解説しています。

本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。

 

さて、2018年の最後のシリーズになるのは、業界の偉大な先達が「マスフロー(マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の総称)にとっての、パンドラの箱」と喩えられた程の禁忌・・・というのは大げさかもしれませんが、それ程の難解かつ悩ましい内容であるコンバージョンファクター(CF)に関するお話です。

 

熱式流量計は、流体の物性である比熱をその流量式に組み込んでいます。

その為、同じ質量流量計に分類されるコリオリ式流量計のように流体が何であるか?不明な状態では正確な流量測定ができない弱点があり、その意味で「限定した条件下での質量流量計です」というお話は何度かこのブログで触れています。

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「流体種が特定できればCFによる換算で校正流体との感度比(=流量比)を補正できますよね?」

確かにその為のCFなのですがが、実は基準ガスに対する各流体の感度比を表すCFは一つの流体に付き一つとは限らないのです。

流体の温度、圧力による物性の変化だけでなく、分流構造を採るマスフローのセンサー管と層流素子(バイパス)との分流比が、流量レンジと圧力条件との組み合わせで変動する影響と思われるものもあり、一つの流体でもマルチCFで管理せざるを得ないのが、実はマスフローの現状なのです。

この事を認識されているユーザーは、少ないかと思います。

マスフローに熟達した配管システム設計の方でも御存知でなかったり、ライトユーザーに至っては、メーカーの出していた一対一のCF表を鵜呑みにする(鵜呑みにしてしまっても仕方ないと思いますが・・・)ばかりであった為に、マスフローの指示する値と実ガス流量値への隔たりへの不信感だけが世の中に広がっていってしまいました。

Decoはこの状況を憂いていた人間の一人でした。

ただ、このパンドラの箱を開ける勇気がなかったのも事実です。

なぜならこの問題は、CFの信憑性という実ガス表記されたマスフローの示す流量のナーバスな部分をお話しする事であり、あまり知識がない方に説明すると、マスフローという製品そのものへの不信感につながってしまうからです。

そこで、まずマスフローを理解いただく事が先だという事で、本連載を続けてきました。

263話を終え、そろそろこの物語のラスボスの一人であるこの問題に触れてもいいかな?と思いましたので、勇気をもって書いていきますね。

幸い強力な助っ人もいます。

 

現在、Decoの知る限りマルチCFに関して、積極的に情報発信し、ユーザーの啓蒙を計っているのはBronkhorst HIGH-TECH B.V.(以下ブロンコスト社)です。

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今回のシリーズでは、彼らがWEB上で世界に公開しているCF計算ツールである“FLUIDATⓇ on the Net”www.fluidat.com (以下FLUIDAT)を教材に、マルチCFが必要となる事例を挙げて、解説していこうと思いますので、宜しくお願いしますね。

 

あ・・・前もって言っておきますが、このシリーズでラスボスを倒すところまではいきませんので・・・倒せるのはやはり1001話目でしょうか?

 

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan