【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20196月号(5/25発売)では混合ガスをマスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)で使用する際、そして混合ガスをMFCで作る場合の解説を行っています。

 

液化ガス

前回から引き続いて、バルブオリフィス部で断熱膨張を起こしやすい液化ガスを使用する際の注意事項に関する解説です。

前回はMFCで液化ガスを使用した際に液化を起こさないようにする方法として、MFC及び配管周辺にヒーターを配置する際の注意事項でしたが、今回はMFC側での対策についてお話ししましょう。

 

MFCでの圧損を小さくする低差圧仕様が、その対策です。

圧損を小さくするポイントは、コントロールバルブのオリフィス部です。

282回で解説しましたが、液化の原因は、断熱膨張による冷却効果が生じる為です。

物体が外との熱の出入りなしにその体積を増した場合、断熱膨張を起こし温度が下がりますね?

実際にMFCのバルブで生じている現象を再度下図で見てみましょう。
190527_01
この問題はオリフィス通過後の体積の膨張ですね?

オリフィスがある以上、膨張は生じるにしても、ここを通過する流速を落とせば、断熱膨張による温度低下を下げることができます。

流速を落とすには、このオリフィス部の絞りを緩くすればよい=圧損を低くすればよい訳です。

これを下図に示します。

 190610_01

オリフィスを太くして、バルブのリフト量(ギャップ)がそのままでは流量が流れすぎてしまうので、この低差圧仕様を作る際のキモになるところは、バルブのリフト量を小さくすることです。

調整を変えたら簡単でしょ?と思いがちですが、アクチュエーターの最小分解能との相関でそう簡単なことではありません。微細なリフト量の制御が特異なピエゾアクチュエーターを使ったモデルの方が楽に作れますが、ソレノイドアクチュエーターでも対応は可能です。

メーカーによってはオプション化していたり、型番コードを別に設定したりして、低差圧仕様モデルを設定しているので、液化ガス用のMFCを検討する際には、相談してみましょう。

 

「じゃあ、全部のMFCを低差圧モデルにすればいいじゃないか?」

という声もありそうですが、この構造にも弱点があるので、必ずしも色々なガス種で使えるわけではありません。

まず、制御可能圧が低くなるのはいいのですが、逆に差圧が大きくなると流量が流れすぎてしまい制御不良を起こしやすくなります。

特に低差圧仕様のMFCを水素やヘリウムのような軽いガスで用いると、大きなオーバーシュートから、ハンチングが収まらなくなる現象を起こしてしまう事があるのです。

つまり目的に特化したが為に、MFCが持つ本来の特性である”汎用性”を失ってしまうのですね。

 

低差圧仕様のMFCをお求めの際は、くれぐれも液化ガスの種類、対応できる圧力条件、必要な最大流量等の情報をもってMFCメーカーに相談されることをお奨めします。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan