マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)のメーカー間での互換性に関するお話です。


最後は電源とアナログ信号のお話で、書き漏らしたところを説明しますね。

昨今、マスフローの所用電源として用いられているのは24VDC、もしくは古くからある±15VDCのいずれかです。
現役時代、お客様の計装技術さんから「なぜマスフローだけは、±15VDC電源が必要なの?他の機器が12-24VDC単相で良いのに、わざわざマスフローの為だけにマイナスDC電源を準備しないといけないんだけど!」と、よく愚痴を言われたことがありました。

確かに圧力センサー等を見ても、12-24VDCで動作するものがほとんどです。
これはマスフローの熱式流量センサーがホイートストンブリッジを使用しているのが主な理由です。(下図)

 

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対になった巻線センサーが昇温されてバランス=ゼロを取っているところに、流体が流れる事で上流側の温度が下がり、下流側の温度が上がることで抵抗値のバランスが傾いたのを電圧出力で取り出しているからです。
マスフロー開発当初はそこで用いる精度の高いマイナスDC電源を内部の基板に置くのが難しかったので、外置きにした±15VDC電源からの供給にしたと筆者は古参のマスフロー技術者から聞いています。

 

流量信号、流量設定信号に用いられるのは圧倒的に0-5VDCが多いです。

これにも理由が・・・あるのだろうか?

電圧信号での伝送は、4-20Aのような電流信号での伝送と比較すると、圧倒的にノイズ耐性で劣ります。
これは電流信号の優れたところで、同じレベルのノイズ電圧が加わっても、受信抵抗により電流信号への影響はほとんど無視できるレベルに減じられてしまうのです。
故にプラント等大規模設備での計装の世界では4-20Aが主流です。
 

また、1-5VDC4-20Aのようなゼロを浮かせた信号電送は、ケーブルの断線、配線忘れ、コネクターの脱落といったトラブルを早期に発見できる利点があります。
信号のゼロ位置が0Vの場合、機器を動作させない限り、指示計が0V表示である理由が、本当に流れがゼロなのか、それとも結線が途中で切れてしまってゼロなのかが判別しにくいのです。

 

なので、本当はマスフローも電流信号の4-20mAを使った方がいいのですが・・・

今のところ計装用の大流量モデルなどに留まっている感じですね。

ま、マスフローのメイン需要先の半導体装置自体はそんなに大型ではないから、伝送距離も10m以下だという事もあるのですけどね。(ノイズ環境としては良くは無いけど・・・)

 

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