マスフローコントローラー(MFC)内部で液化が生じた際の対応に関してです。

低蒸気圧ガス=液化ガスは常温で液体、もしくは限りなく液化しやすい状態のガスです。

アンモニアのように、沸点が-33.42℃、常温で0.7MPa(g)の蒸気圧ですと、供給圧を上げすぎると即液化してしまいます。

MFCのように、1mm以下の狭い流路で構成される機器にとって、液化が生じる事、もしくは液化した流体が内部に入り込む事で、色々なトラブルを起します。前回はバルブでのつまりを図でお見せしましたが、センサーや層流素子でも下図のような困った現象が生じます。

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液化しないようにするには、①温度を上げる、②圧力を下げる の2つです。

温度を上げるには、ヒーターと温調器が必要になります。

昇温する場合は、配管システム全体を昇温する必要がありMFCだけを昇温しても効果は見込めません。

確かにMFCは前述の通り、狭い流路で液化の可能性が高い場所ではありますが、そこを昇温することで、今度はそれ以外の場所でコールドスポットが生じてしまうからです。

液化との戦いは、このコールドスポットとの戦いです。

以前、Decoが伺ったお客さんでは、空調の風が直接三塩化ホウ素(BCl3)ラインに当たっていたがために液化が生じていたことがありました。
とりあえず断熱材を風が当たっていた配管に巻く事で液化現象を解決できたこともあります。
(もちろん空調の風を避けるよう配管レイアウトを変えるのが、最善手なのですが。)

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そして温調で気をつけないといけないのは、MFCのような配管に繋がっている機器でも熱容量の大きなものには、通常のSUS配管部を温度調整している温調器とは、分けて制御してもらいたいということです。(上図) 
そして、下流に向かって温度勾配を付けるように昇温することですね。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan