前回はマスフローコントローラー(MFCの応答性に関する定義をご説明しました。

比較する物差しが同じでないと意味がありませんからね。

それでなくてもMFCの応答性というスペックは、色んな誤解を生じてきたのです。

今でも顧客さんとお話ししていると言われるのが、「このMFCはピエゾアクチュエーターを積んでいるから、応答が速いですよね?」という認識です。

これは×ではありませんが、必ずしも〇ではりません。

MFCの応答性を構成している要素を下図に示します。

 

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 ここでは熱式流量センサーを搭載したMFCをモデルとしています。

上流/下流で対になった流量センサーの配置された細いパイプへ分流された流体が流れ込み、上流の熱が下流へ移動をします。

その量をブリッジ回路で取り出して流量へ換算します。

換算するというのは、温度補正や直線性などの各種補正も入るという事です。

最近のデジタルMFCではセンサーからの微細なアナログ出力をADコンバーターでデジタル信号へ変換してから行われます。

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こうして流量信号(PVとして出力された信号は、制御回路にある調整計(PID制御回路等)で外部からの流量設定信号(SVと比較・判断され、SV=PVとなるように、バルブ操作量(MV)が決定し、アクチュエーターに向かって指示されるのです。

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ここまでお話ししてくるとお判りいただけるのですが、アクチュエーターの応答性の勝負はこの最後のMV値が設定・可変されてからなのです。(一番上の図で赤い点線で示した部分)


故に
MFCの応答性能はアクチュエーターへの依存は少ないことがわかりますね?

たしかに単体比較ならば、ピエゾアクチュエーターはソレノイドより速いのですが、MFCの応答性を問うならば、当然MFCというパッケージで考えないといけないという事なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan