マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC、MFMとMFCをマスフローと総称。) のダウンサイジングの歴史に関して解説していきましょう。

まずはマスフローの標準的なサイズの話からです。
1980年代後半、マスフローが半導体製造装置を中心に飛躍的にその市場を拡大していった時代にメーカー間の寸法の互換性は無いに等しい状況でした。
市場への新規参入者は既存メーカーの置換という形で実績を積み上げていくのが、このマスフロービジネスの正道でしたから、自然と先行するメーカー、当時はタイラン社のベストセラー機種に焦点を合わせて、その互換性を訴える製品が世に出るようになったのです。
そういったマスフローのサイズに対する共通認識的な、決して規格までは到達していないが、メーカー間の暗黙の了解的なものが90年代のMFCにはありました。
1/4”VCR(フェイスシール)タイプ継手の場合、面間寸法124mm(5SLM以下の場合)“というものです。

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この面間寸法に合わせたMFCを作る努力がマスフローメーカーのダウンサイジングの始まりとも言えます。
大方のメーカーがそれに倣った後、今度は5SLM以下にとどまらず10~20SLM、そして50SLMまでの流量レンジも面間124mmサイズにしたいという要求が生じました。
これはソレノイドタイプのアクチュエーターを用いるタイラン、ユニット等などのUSA系のマスフローメーカーは、そのアクチュエーターのリフト量の大きさで有利に対応を進ます。
対する国産のピエゾアクチュエーターを搭載したMFCは、そのリフト量の小ささと、流量センサーと層流素子(バイパス)の構造から124mmでの対応はなかなか難しかった筈です。

MFCのダウンサイジングは、流量制御バルブだけではなく、流量センサーと分流構造を構成する為のバイパスとの組み合わせである為、50SLMレベルまで5SLMの分流構造の応用で対応するのはなかなか難しいところがっあったのでしょう。

同じ構成のセンサーとバイパスの組み合わせで、センサーチューブ側の抵抗を増すことで分流比を操作するような工夫もなされました。
この種のダウンサイジングタイプは、センサー、バルブ部の圧力損失が大きくなったり、圧力条件、ガスの選択によりセンサーとバイパスの分流比が揺らいでしまう為に再現性にかけたりといった問題も多かったのですが、半導体製造装置向けで50SLMといった流量はパージ用窒素ラインの流量制御がほとんどであった事もあり、あまり大きく問題視されることもなかったとDecoは記憶しています。
 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan