マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDeco推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?

今回は、コリオリ式流量計の測定原理に関する復習から始めます。
Decoは過去に「コリオリ式の原理を知ってますよ!」と自称するユーザーさんから、「コリオリ式流量計は地球の自転の力を利用して測定する流量計である」という驚くべき説を披露されたことが何度かあります。
これは大きな誤解です。
この誤解の元はだいたい推測がついています。
コリオリ式流量計の説明をする際に、まず「コリオリ力」の解説をします。
その際にたとえ話として「北半球の極から赤道方向に向けて経線方向に大砲を撃つと、放たれた砲弾は、射手から見て右に曲がって着弾する。これは地球のコリオリ力のなせる業である。」という話をする事があります。
地球というのはあくまで喩えで、要は回転系で中心から玉を円周方向へ転がした際に、狙った方向と実際の動きに生じる差の原因がコリオリ力だという説明なのです。
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これは地球の自転の影響であり、他の諸要素を無視した場合、本来直進するはずの砲弾を曲げる見かけ上の力がコリオリ力です。
コリオリ力は、その砲弾の重さと速度、そして地球の自転角速度により計算されます。
この話が曲解され「コリオリ式流量計は地球の自転を測定原理とした流量計である。」から始まり「故にコリオリ式流量計は、コリオリ力が発生しないの極点では使用できない。」という、とんでもない話がまことしやかに独り歩きしてしまったのだろうと、Decoは推測しています。
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地球の自転、つまり回転系に発生するコリオリ力の解説を、コリオリ式流量計のセンサーチューブの世界に当てはめる場合、回転系を振動系に、センサーチューブに流れる流体を砲弾(玉)と考えるとわかりやすいです。
この振動系で流体はその質量と速度=質量流量に応じたコリオリ力を発生させます。
そうすれば地球の自転は、この世界ではコリオリセンサーチューブの振動の事であり、コリオリ流量計の利用するのは“地球の自転により生じるコリオリ力”そのものではない事がわかります。

前述の大砲の話にしても、実際にコリオリ力を加味して弾道計算しなくてはいけないのは2000mを超える射程の場合です。
それに対して存在するコリオリ式流量計で最小のものでセンサー管長は50cmほどで、しかも複雑に曲げ加工が施されている為に実際のセンサーの入口出口間の距離は数cmしかないような世界では、例え地球の自転が影響していたとしても無視できるのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan