マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDeco推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?

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コリオリ流量計の流量式にあるように、コリオリ式の測定原理には、同じ質量流量計である熱式流量計の比熱のような流体の物性に関わるものが一切含まれていません。
これは「コリオリ式は流体を選ばず質量流量を測定できる」という事を意味していて、流量計として他にないストロングポイントなのです。
なぜなら製薬や半導体のような技術革新ペースが速い産業分野では、物性が不明な新材料というものが日々登場してきます。
たとえ物性は特定できていても、温度・圧力条件が安定した状態で、流量を測定できるとは限りません。
環境条件の変化で刻々と物性が変化する流体も存在しますし、ましてや複数流体の混合流体に至っては、測定現場においてその混合比率が常に一定となるとは限りませんね?
このような用途では、流体種を特定できないと流量測定ができない熱式流量計は使いにくいのです。
かろうじて同一条件下での繰り返し性を担保するのがやっとです。
物性がわからない流体を質量流量測定できるコリオリ式流量計のメリットは限りなく大きいのです。
故にコリオリ式流量計こそが理想の質量流量計に近い存在であると、Decoは考えています。
以下にコリオリ式と熱式の比較をまとめてみました。
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しかし、理想の質量流量計に近いコリオリ式流量計にもウィークポイントは存在します。
外部環境変動影響からフリーではないのです。
まずセンサーチューブのバネ定数Ksを左右するファクターとして温度が挙げられます。
コリオリ式にはチューブの温度条件をモニターして温度補償させるための温度センサーが必要になります。
言い換えるなら、コリオリ式は温度補償が追従できないような急激な温度変動が生じる環境での使用には難があるという事になります。

また、センサーチューブを振動させる方式のため、外部環境からの振動影響も受けてしまいます。
例えば身近な機器で言えば、液体を圧送するポンプの振動です。
その為、コリオリ式流量計は大型化し、自重が重いものが多いのです。
微小流量用に小型化した場合は、制振台やインシュレーターで振動影響を押さこんだ設置を心がければいいのです。

そして現状でコリオリ式流量計の一番の弱点は、コリオリ力が発生しない、もしくは微弱にしか発生しないような密度の小さな流体、具体的には低圧条件の気体や微少流量液体の測定が難しいことです。
特に気体の流量測定では、その密度の小ささが災いして充分なコリオリ力が得られない事が多いのです。
この低圧、微小流量、気体と言った分野に注力したのが、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のmini CORI-FLOWシリーズなのでした。
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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan