マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDeco推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?

前回の最後に「現状でコリオリ式流量計の一番の弱点は、コリオリ力が発生しない、もしくは微弱にしか発生しないような密度の小さな流体、具体的には低圧条件の気体や微少流量液体の測定が難しいことです。」と書きました。
特に気体の流量測定では、その密度の小ささが災いして充分なコリオリ力が得られない事が多いのです。
そして、本来ならばワクチン等の製薬ラインで必要とされる微小流量液体の測定も難しいものがありました。
その為に「コリオリ式流量計はプラントレベルの大流量測定に用いるもの」と言う認識が強かった時代があったのです。

この弱点を解消する方法は2つありました。
純粋にコリオリ力が弱い=流量センサーとしてのSN比が悪化しているのだから、コリオリ力を強くするために密度を上げるという方法です。
特に気体は圧縮性があるので比較的高い圧力で供給すれば密度を上げる事が可能です。
例えば燃料電池自動車の水素ステーションでの流量測定用途で、あの密度の小さいガスの代名詞である水素を70~100MPa(G)という高圧で測定する流量計にコリオリ式が選定されている事からもわかります。

もう一つはブロンコストが開発したように細径のセンサーチューブを採用して、コンパクトなコリオリ式センサーを作り上げることです。

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mini COIR-FLOW コリオリ式流量センサー  出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

アプリケーションによっては、現実的にはあまり高い圧力での供給は望めないものもあります。
そういった場面では、センサーチューブを細径にして小型化したブロンコストのmini CORI-FLOWの独壇場となります。

mini cori-flow ml120

mini COIR-FLOW ML120  出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
現時点で最小流量範囲を受け持つM12/ML120シリーズでは、選択できる最小フルスケールが5g/hです。
最小測定流量はMFMの場合で0.05g/hです。
コリオリ式センサー、特に上図のような複雑な形状に曲げ加工が必要な金属チューブの細径化は限度があります。
数年前に筆者もステンレスチューブメーカーさんとお話したことがあるのですが、直径0.25mm長さ500mmのSUS316チューブが、上記条件では現状で最も細径なチューブであると説明を受けています。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan