マスフローコントローラ(以下MFC)の歴史に関して振り返っています。
DecoがMFCメーカーから離れ、一介のコンサルタント、エヴァンジェリストとして過ごして10年になります。
これを期にMFCという不思議な工業製品の技術動向をその歴史を俯瞰しながらまとめて行きたいと思います。
今回は.熱式流量センサー MEMS型のお話です。

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熱式流量センサーのMEMS型は、流体に直接センサーを接触させる方式です。(上図)
その為、流体との熱のやりとりという側面では、インサーションタイプと同様非常に効率が良く、応答性能では巻線式を圧倒します。
当然感度も良いので、SN比でも優れた特性を発揮するセンサーもあり、通常の巻線式ではターンダウンレシオ1:50程度なのを10倍以上の値をカタログスペックとしているメーカーもあるくらいです。
後発で1990年代後半から2000年代に市場へ導入されただけあって、デジタル制御技術の恩恵を被り、非常に優れた性能を発揮するものが多いです。
ただ、勘違いしてはいけないのは、MEMSというのはあくまでアナログのヒーター、測温抵抗体を小型にして半導体チップに実装できるようにしたものであり、アナログデバイスである事では他の2方式と変わりはないという事です。
その後段で信号をいかにロスが少なくデジタル化して用いるかで、MEMSタイプの性能には雲泥の差が産まれます。
目安程度の流量センサーや、フロースイッチ的な用途にとどまるものから、本格的な流量測定用途の流量計まで、種々の“MEMS流量センサー“と名乗る製品が市場にはあふれているので要注意です。
MEMS型の弱点は、ガスに直接触れるという利点の裏返しで、使用できる流体種に制限があることです。
腐食性流体はもちろん、図にあるダイヤフラム構造上、その直下の空間に残留するとまずい毒性ガス、バリア膜で用いているSi系の膜と反応する流体にも使用は難しいのです。
また、MEMSセンサーを固定する樹脂材料は、そこからのアウトガスを気にする分析用途では使用が難しいこともあります。
また、MEMS型といっても、分流構造とは無縁ではありません。
巻線型ほどの分流比ではないにしても、流量レンジによっては分流構造を持たねばならないものが多く、それらは前項で触れた異物混入による分流比異常の問題が付きまとうし、MEMSセンサーそのものに異物が付着した場合のトラブルも考えられるのです。
 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan