マスフローコントローラ(以下MFC)の歴史に関して振り返っています。
DecoがMFCメーカーから離れ、一介のコンサルタント、エヴァンジェリストとして過ごして10年になります。
これを期にMFCという不思議な工業製品の技術動向をその歴史を俯瞰しながらまとめて行きたいと思います。


MFCの自動制御でMVによりコントロールされる存在が流量制御バルブです。
その第1号としては、米国タイラン社(現在は存在せず)のFC260シリーズやエステック(現:(株)堀場エステック)のSEC-400シリーズ等の第1世代MFCに搭載されていた「サーマルバルブ」が挙げられます。
240527_02

FC-260シリーズ(当時生産していた日本アエラ(株)カタログから引用)

このバルブの構造を下図で示しますね。(あくまで一般的なサーマルバルブの構造を説明するものであり、特定の企業の発明物、技術を指す物ではありません。)
240527_01

本バルブ方式は一般的なニードルバルブと似通っており、ニードルが前進してオリフィスを塞ぐ構造のバルブです。
中央のアクチュエーター部は熱膨張係数の高い材質で構成されており、周囲もしくは内部にヒーター線が設置されています。
ヒーターを加熱すれば、アクチュエーターは熱膨張して伸びる方向に変形し、ニードルを閉鎖方向へ動かします

このアクチュエーターには構造上の弱点があります。
「熱して延びる」、「醒まして縮む」という動作原理である為、高速動作ができないのです。
また、ニードルをオリフィス部に押しつける構造上、金属同士がぶつかることでパーティクルが発生してしまいます。
それを避けるには少しニードルを少しオリフィスから浮かせた構造を採るのですが、その為に閉止させても出流れが発生してしまいます。
また、MFC二次側が真空の場合、伸びたアクチュエーターの復元させる力=ニードルを引っ張り上げる力が、真空の引っ張り込む力に負け、ニードルバルブがオリフィスに噛み混んだ状態で固着してしまい、ガスが全く流れなくなることもありました。
それと、半導体製造装置で用いるようなガスだと、高温加熱したアクチュエーター部が接ガスするため、分解してしまうガス種もあり、そういったガス種での使用が憚られたのです。
 
 【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan