「どんな本を読めば**ができるようになりますか?」という質問には、「手っ取り早く成功する方法を教えてよ」という含みが多分に入っているように感じます。
そこでひねくれ者のDecoは「北風と太陽」などと答えるのですが、そもそもゲームの世界以外に攻略本はありません!(と、いうかゲームを攻略本通りにやることほどつまらない遊び方はない、というのがDecoの持論です。)

ただ、営業をやる上で理解しておいた方がいいような本はありますので、ご紹介しておきます。

①先人の経験から書かれた本
「営業職なら松下幸之助、技術職なら本田宗一郎」 とDecoは思っています。

「なんだ、一時代前の人達の成功談なんか、今の時代に通用しないよ!」とおっしゃる方もおいでかもしれませんが、前回の講習で書いたように、「今の時代で必ず成功する方法がAmazonで売ってるわけがありません。」です。

急がば回れ!ここは一つ、歴史を紐解くことから学びましょう。

営業職を志すなら、松下幸之助さんの有名な1964年熱海会談の下りはほんと勉強になりますよ。

パナソニック社のHP参照 


「どうやって人をたらすか?」いや、この言葉が悪ければ「どうやったらもてる営業になれるのか?」がここでの幸之助さんの立ち振る舞いから勉強できます。

②ランチェスター戦略
ノウハウ本は好きではありませんが、ランチェスター戦略の基礎に関する本は一読をお勧めします。
昔、Decoが新人の頃にビジネス界で流行っていたので、本を読むように言われたDecoは一読して一言。

「なんだ!孫子じゃないか!」

そう、ランチェスター戦略というのは、古くは中国の春秋時代の思想家 孫子の兵法という戦略書を近代的に補完したものだとDecoは解釈しています。

ここで重要なのは、弱者の戦略と強者の戦略です。
営業新規開拓というのは、当然自社が未参入か、それとも弱い分野へ斬り込むことになるので、この弱者の戦略たる「差別化、一点集中、局地戦」という要素が多分にあり、対するライバルは強者の戦略であることを知りましょう。

そして、営業とは相対評価の世界です。
貴方が注文を取れなかった裏で、必ず注文を取ったライバルがいます。
「今回はお客さんの予算が取れなかったらしいから・・・」という、一見誰勝ちでもない世界であるような話も、実は顧客というライバルに負けているのです。

ライバル(敵)と自分の状況を正確に把握して、戦略を立て、戦術を行使する

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」 孫子
これが営業の基本です。


③推理小説
意外なものが最後に来ましたが、営業は不可解な完全犯罪に挑む探偵のようなものです。
お客さんの心にかかっている幾重もの鍵を開いて、途中の妨害を退け、注文という真犯人にたどり着く。
その為には冷静な推理力が必要です。

先日、知り合いから推理小説を一冊頂きました。日曜の午前中で一気に読了しました。
*Decoには、通常の3倍で本を読める特技があります。あまり多用すると、速度が速くなりすぎて脳がオーバーヒートしてしまうのですが・・・

中野信のデビュー作を改題・改稿して発売されている「模倣の殺意」という本でした。

130520_03.jpg

ネタバレになりますが、一言で言うと「叙述トリック」という小説という表現媒体ならではの佳作です。
この手法は、賛否両論だったアガサ・クリスティのある名作が有名ですが、日本ではこの作品が先駆的存在だったようですね。

犯人までは目星を付けたDecoでしたが、意外なトリックには降参でした。
確かにある種の違和感を感じながら読んでいたのですが・・・

こういった作品を読むことで「自分の思考癖のリセット」ができます。
人間誰でも癖があり、特に思考方法には独自の癖が付きます。
たまにそれをリセットしなくても、その事に気がつくだけでも発想が変わってきます。
そして、先ほどの「ある種の違和感」という自身の持つ潜在的なアラームに気がつく訓練にもなります。

色んな客層、日々変化する状況に対応する営業職には必要な事かとDecoは考えています。