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もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年1月号(12/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第41回は、“熱式流量センサー”に関しての解説記事です。
マスフローコントローラ(MFC)&マスフローメーター(MFM)のセンサーとしては最もメジャーな熱式ですが、果たしてどういったものなのかを掘り下げた記事になっていますので、ご一読ください。

さて、マスフロー(MFC&MFMの総称)最大のトラブルは、センサーチューブとバイパス(層流素子)の分流比が何らかの原因で初期値より変化すること・・・というお話をしています。
これがセンサーチューブが完全に詰まった場合なら、前回お話ししたように流量出力は0になるので、まだわかりやすい“目に見えるトラブル“であり、対処方法もあります。
一番怖いのは、中途半端に詰まる事・・・“目に見えないトラブル”の発生なのです。
マスフローの中の分流構造では流入した流体はその大部分がバイパスを、そして5~10SCCMレベルの微小な流量がセンサーチューブを通っています。
従ってセンサーチューブは内径0.35~0.8mm程度の細い管であり、比較的異物で閉塞しやすい構造です。
分流構造を採るバイパス部も決して広々とした流路ではなく、あるものはセンサーチューブと同じような細径のキャピラリの集合体であったり、あるものエッチングロールであったり、またあるものは焼結金属を用いていたりします。
その為、異物の詰まる可能性は、センサーチューブとどっこいどっこいなのです。
下の図にあるように、正常状態でマスフローメーカーで流量調整されて出荷された製品が、なんらかの異物が混入した場合、センサーチューブに詰まる場合とバイパスに詰まる場合があります。

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この場合、完全に閉塞していなければ、MFCはPV=SVとなるように制御を続けますので、MFCからのPV値を読んでいるだけでは、分流比率が変化したことはわかりません。
つまり、メーカーで調整した分流比が例えば1:99でセンサーに1流れれば、実際はバイパス分の99を足した100を流していますよ!というものが、現実には異物により1:95に変化していたとしたら・・・ センサーでは1の流れをマスフローとしては100と置き換えて流量出力されているにもかかわらず、実際は96だったという事が起きてしまうのです。
これは繰り返し性の高い流量制御を行うのが売りのMFCにとっては致命的です。

どのような使用方法でマスフローに異物が入るのか?次回は事例を挙げて解説しましょう。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan