何度か本ブログでも触れ、またブロンコスト・ジャパン(株)さんのサービスブログ でも取り上げておられますが、お使いのマスフローコントローラ(MFC)やマスフローメータ(MFM)を修理・点検に送っていただく際は、必ず除染作業を行って頂き、その上でどういった流体を流していたかをできるだけ克明に描いていただき除染告知書として添付いただきたいと思います。

これは思わぬ残留ガス、液体により、サービスを行う作業員の安全が脅かされたり、設備・機材が汚染、破損したりしない為にメーカーはお願いしている事です。
マスフロー(MFCとMFMの総称)有毒物質や爆発性・可燃性・腐食性流体が付着、残留している可能性がある場合、必ず通知頂くようお願い申し上げます。


人命は何よりも重いものです。
Decoの見聞きしてきた中では、そこまでの事故はありませんでしたが、返却されたMFCのバルブ部に塩素系ガスが残留していて、うかつに開封してしまった作業員が鼻血を出したなどの事例はありました。
もちろん受け入れ側も、そういった事態を想定せず、N2(窒素)という銘板仕様を鵜呑みにして、必ず除害を行えるブース環境で作業するという取り決められた手順を守らなかったのが、事故の主因です。
ですが、お客様の協力を頂ければ、こういった事故確率を減らすことができるのも、また確かです。

また、除染の為にガスMFCに溶剤を流されたという事例も最近聞き及びました。
お客様は告知書にその旨を書いていただいていたらしく、事前に確認が取れた良い事例です。
「動作が不安定な機器の汚れをとるべく、溶剤を流し込んでN2パージした。」とのこと。

これはお客様がマスフローの構造をよくご存じなかったからだと思われます。
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マスフローには内径が1mm未満の狭く細い流路が多くあります。
熱線式センサーのチューブは.0.35~0.8mmのSUS管です。
層流素子(バイパス)もそれに似通った構成です。
更にMFCの場合、流量制御バルブのオリフィスは 例えばFS:10SCCMなら0.1mm以下の径になります。
下図では説明の都合上、わざと太く書いてありますが、アクチュエーターのリフト量も小さく、狭いギャップで流量制御を行っています。
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ここに溶剤を流し込んで、後からN2パージをしても、まず抜けきることはありません。

溶剤を流して、N2パージという手法そのものは決して間違ってはいないのですが、上記の構造上の理由からマスフローでは避けて頂きたいです。

安全は何にも代えられません。
是非とも宜しくお願いいたします。

MFC豆知識 by ”Deco” EZ-Japan