EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

真・MFC千夜一夜物語(第1期)

真・MFC千夜一夜物語 第131夜 MFCのライバルは? フロート式流量計

半導体プロセス用途から、エネルギー、分析分野などに幅広く使われるようになったMFC(マスフローコントローラー)ですが、ではそのライバルとなる機器は、いったい何でしょうか?

 黎明期の半導体プロセスガス制御で、MFCより前に使われていたのは、フロート式流量計(フローメーター)でした。皆さんの中にも馴染みの深い方がおられるかもしれません。
簡単に表現しますとガラス管に流量目盛りがきってあって、下から上にガスが流れて、浮き上がった玉(浮き子)の位置で流量を指示するタイプの流量計です。

130917_02.jpg


両者の違いをざっと眺めてみましょう。

MFC&MFM(マスフローメータ)

熱式センサーで質量流量を計測できる(ある温度圧力の範囲に限定される)

・センサー信号をバルブへフィードバックすることで、温度圧力変化に影響されず流量制御が可能

・流量制御は電気信号で遠隔操作化が可能、流量信号を色々な表示方法や記録に加工できる

・メタルシールタイプは、腐食性・毒性ガスに対応可能

DC電源、流量表示器、設定器を別に必要

・比較するとコストは高い



フロート式流量計(フローメーター)


・ガラス管と浮き子の組み合わせで体積流量を表示

・体積流量なので温度・圧力による補正が必要

・流量制御は付属するニードルバルブで手動可変、接点スイッチのようなオプションを除き、目視でしか流量を確認できない

・ラバーシール構造の為、腐食性・毒性ガスに対応不可

・電源を必要とせず、単独で使用可能

・比較するとコストが安い


 こう眺めてきますとどちらが優れている、という論点でこの二者を論じる事に意味はないですね?
その証拠にMFCが台頭した今でもフロート式流量計は流量表示・制御の第一線で使われています。

通信による遠隔操作、危険なガスへの対応といった分野ではMFCに軍配が上がりますが、コスト・電源不要というフロート式流量計の強みが、高く評価される用途があるのです。

そんな理由から、ライバルである両者は今も棲み分けて、お使い頂いている訳なんですね!


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第130夜 高温用MFCを使いたいのですが! その8

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話のまとめです。

 高温用MFCというMFCは非常に特殊な用途で用いられるMFCです。

本来この大気圧(1013hPa近辺)では、気体いられないような材料(液体、固体)に対して温度を上げ、圧力を下げることで気化させ、ガスとして搬送する必要のある実験・生産設備で用いられる、自身がある程度の高温環境で使用できるような構成にチューンされたMFCと言うことになります。

 いわば市販車をフルチューンして作られたレーシングカーのようなものですね。
130917_01.jpg

市販車に対して、サーキットでのスピード競技専用に改造されたレーシングカーは非常に高性能です。
でも、それは限られたフィールドでに限られます。
レーシングカーが一般の舗装道路や不整地を市販車のような耐久性を維持しながら走れるか?といえば、かなり難しいものです。
あくまでサーキットでのみ使用する事を前提として、余計なものを省き、あるレースのゴールまでもてばいい、という思想で作られるレーシングカーと日常生活での汎用性を重視した市販車とは全く別物であるからです。
繊細なレーシングカー用のエンジンは、シフトミスをしたらオーバーレブして壊れてしまうこともあります。

 通常MFCと高温用の関係もそれと同じ、と考えて頂ければよいかと思います。

あくまで高温用MFCは、特定材料向けで温度、使用圧力を限定して性能を引き上げたMFCです。
センサーにかかる温度はベースになったモデルより高くなり、センサー線の消耗は激しくなります。
つまり寿命は短くなる方向へいきます。
また、高温・減圧環境で気相となっていても各々のマージンがあまりありませんから、バルブなどで断熱膨張を起こせば、即再液化しやすい状態で使用されているため、ちょっとした不注意でバルブのつまりを起こしてしまいがちです。

高温MFCは、メーカーでの製造ラインでも製造に非常に工数と熟練を必要とする製品です。
その為、購入金額も決してお安くはない設定になっていると思います。
あらゆる意味で非常にナーバスなところのある高温MFCですから、設置環境、用法を誤らないよう慎重にお使い下さいね。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第129夜 高温用MFCを使いたいのですが! その7

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

 前回、高温MFCの温調に関してお話ししましたが、そこでコールドスポットというお話をしました。
そもそもは昇温して気化した材料を再液化しないよう配管系を温めてやるのですが、その基本として「下流側に行くに従ってヒーター温度を上げる=温度勾配を付ける」という手法が推奨されています。

130912_01.jpg

しかしながら、配管系に最適な温度勾配を与えるというのは、実はなかなか難しいことなのです。
闇雲に下流側の温度設定を高くするだけでは、上手くいかないこともあるのです。

前回お話ししましたように配管機器には個々に熱容量差があります。
更にヒーターが均一に熱をかけることができるのか?ということ、ヒーターの温度制御に使われる測温抵抗体の設置場所による温度測定の誤差、そして温度制御を行う温調器自体の性能の機種や固体差等も要素として存在します。

また、基本的な問題ですが、配管やMFCにちゃんとヒーターを設置できているか?という事もあります。配管はストレートな部位だけではなく、曲げがあったり、エルボー、クロスなどの継手があったりします。現実ではヒーターをそれに密着させるのはなかなか難しいものです。

 高温MFC本体にヒーターを設置する場所に関して、たまに質問を頂きますのでお話ししておきます。
現実にDecoがお伺いした現場で図の左のようなヒーターの巻き方をされていたお客様がおられました。

130912_02.jpg

高温MFCをヒーティングする趣旨を考えて頂ければ当然なのですが、左の例のように気化した材料が接しないような部位を昇温しても何の意味もありません。
MFCの接ガス部分は、ほとんどの場合下部のSUSブロックの中にあります。
右の例のように底面、もしくは底面+側面を凹字型にヒーティング頂くのが最適な箇所となります。

MFCを高温用にする、ヒーターをただ設置する、温度を蒸気圧曲線から設定する・・・
それだけでは決して高温材料搬送配管システムは上手く動かないということですね。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第128夜 高温用MFCを使いたいのですが! その6

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

高温MFCは高温環境で使用できるMFCですが、自らが昇温機能を持って目標温度まで温度を上げる事はできません。
中にはセルフヒーティング型と呼ばれるヒーターユニットをオプション装着した製品もありますが、あくまでそれは装着したオプションにその機能があるという事です。

では、高温MFCを昇温する方法は、どういったものがいいのでしょうか?
一般的な方法としては、2通りあります。

1つは、配管システムごと恒温槽にいれる方法です。

130903_05.jpg


もう1つは配管にテープヒーター等を巻き付け昇温する方法です。

130903_06.jpg

この方法で昇温するときに留意すべき点があります。

他の配管系と、MFC部分の温調を分けて独立した温度制御を行うことです。
前にもご説明しましたがMFCを構成するSUSのボディは他の配管機器や他の配管パイプよりも体積が大きい=熱容量が大きいので、一緒に温度制御をかけた場合、温度センサーの位置によってはMFCだけが充分に昇温されないような事態が生じ、最悪はコールドスポットと化して材料が再液化してしまったりするのです。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第127夜 高温用MFCを使いたいのですが! その5

高温用MFC(マスフローコントローラー)に関するお話をしたいと思います。

Decoが高温MFCをお使いになっているお客様からよく頂いた質問です。

「高温MFCって常温から高温まで使用できるよね?」

答えは「できません。」なのです。

高温MFCの「精度保証温度範囲」をカタログ等で確認頂くとわかります。

一般的には校正温度±10℃くらい つまり100℃仕様の高温MFCを依頼した場合、その保証温度範囲は90~110℃までなのです。

堅いことを言うとそういうことなのですが、こういったご質問の背景には、高温環境で原料供給をする場合に高温MFCを使用するのはマストとして、ヒーティング前後にチャンバー内のガス置換やパージで常温ガスを供給したいという要求を1台の高温MFCで対応できないかな?という事情がある場合がほとんどです。
高温MFCは常温用MFCの倍から3倍はする高価な買物です。ならば1台2役を期待できないか?常温ではたいした流量精度は要らないのだけど・・・というお考えはわかります。

その場合、精度保証温度範囲ではなく「動作保証温度範囲」をメーカーに確認頂くのも一手です。
どう違うの?とクビを傾げられるかもしれませんが、カタログに記載された流量精度・直線性・繰り返し性等のスペックを維持できる範囲が精度保証温度範囲。
それに対して、「スペックは満たさない可能性があるけれどもMFCが設定信号を受けて、流量制御する“動作“はしますよ」というのが、動作保証温度範囲です。

「でも、Decoさん MFCだから精度さえ問わなければ常温でも動作なんとか動作するのではないの?」というご意見もあるかもしれません。

危惧されるポイントは1つ。
ゼロ点のズレです。

 一般的に高温MFCは常温のそれよりも高いセンサー温度になっています。
かなりピーキーな特性だと考えて頂いていいと思います。
その為、常温で使用する際には、ゼロ点のズレが大きくなる傾向があります。
高温MFCを常温環境で設定信号5%F.S.で流量設定して使用した際に、ゼロ点が+6%F.S.ずれていたらMFCは流量制御動作できるでしょうか?
設定入力より流量出力なのですから、MFCは当然バルブを閉める方向に制御してしまいます。
もうおわかりですね。MFCは全閉になってガスを流さないのです。

こういった危惧もあり、MFCメーカーさんとしては、高温MFCの常温での使用をオフィシャルに認めることはないと思います。
できたらもう1ライン常温用MFCを併用してあげて下さい。
MFCを購入する予算がと言う場合は、パージメーターやニードルバルブ、ラインレギュレーターという代用手段もあります。
事故というものはイレギュラーな使い方をした際に発生する確率がグンと上がります。
呉々も安全重視でお願いしますね。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】 by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
QRコード
QRコード
Decoへのメッセージ

名前
メール
本文
記事検索
タグクラウド
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ