EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

EZ-Japan MFCニュース

Bronkhorst, the low-flow specialists



Bronkhorst, the low-flow specialists  という動画が上がっています。
低流量のスペシャリスト、ブロンコスト、MFCだけで見ているとブロンコストは大流量と思いがちですが、流体制御の大きな世界では小流量カテゴリーになるんです。

ここに登場するファーガスさんはBronkhorst High-Tech B.V.のBoad Member(意思決定に携わる取締役)の4人(Henk Tappel、Robert Tiessink、Fergus van Beek、Alex Vossebeld)に名を連ねており、ブロンコスト・ジャパン(株)の責任者を兼務しているのでDecoも何度かお会いしています。

難しい英語では無いので、彼らがBronkhorstをどのように考えてかじ取りをしていこうとしているのか?ご覧頂ければと思います。

EZ-Japan Deco こと 黒田 誠

コリオリ式マスフローが大人気です

Decoがこのブログで推してきましたブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のコリオリ式マスフローが昨年あたりから人気に火がついてきました。

質量流量計には、熱式コリオリ式の2種類があります。
質量流量計は、体積流量計と異なり、測定結果が温度、圧力の影響を受けません。
下図にあるように熱式が流体の物性である比熱(気体の場合、定圧比熱)を流量式に持つが故にその影響を受けるのに対し、コリオリ式はその流量式に一切流体に起因する要素を含みません。
つまり、流体種を特定できていない状態や、複数の流体の混合流体で、混合比率のわからない流体、もしくは混合比率が刻々と変化する流体でも測定ができる画期的な流量計なのです。
その為、コリオリ式流量計は、熱式流量計や他の体積流量計の上位に位置するマスター流量計(ワーキングスタンダード)としても活用されています。
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製薬分野でのワクチン製造プロセスや、リチウムイオン電池前駆体製造、そして食品、飲料製造にまで、非常に幅広い分野でブロンコストのコリオリ式マスフローが導入されるようになりました。
その成功事例の一つに”ポンプ制御へのコリオリ式MFM導入” が挙げられます。

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mini CORI-FLOW & CORI-FLOW 各種ポンプとの組み合わせ例
出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 

コリオリ式マスフローは、“質量流量”を測定できます。
つまり「流した結果を測る秤」ではなく「流しながら重さをはかれる秤」になるのです。
この特性を生かした液体分給システムとして“質量流量ポンプ”が脚光を浴びています。
液体は加圧搬送ができるのならば、比例制御弁との組み合わせでMFCとしての制御が可能ですが、圧送に使用するガスの液体への溶存が問題になる事があります。
この問題は、ポンプをブロンコストのコリオリMFMからダイレクトコントロールさせることで解決できるのです。
ブロンコストCORI-FLOW & mini CORI-FLOWシリーズのMFMは、全てPID制御モジュールを内蔵していますから、外付けでPIDコントローラーを用意して、面倒な設定をする必要はありません。
機器の構成は下図のようになっています。
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MFCでは流量センサーの信号を受け、外部からの設定信号と比較して、比例制御弁の開度をリアルタイムで調整しています。
このシステムはその比例制御弁の役割をポンプに置き換えたもので、開度調整の代わりにポンプの回転数をダイレクト制御しています。
これにより例えばポンプが経年劣化で能力が衰え始めても、必要な流量を維持すべく回転数を自動で上げてくれますし、寒暖差が激しい環境下でも、コリオリ式MFMで常に正確な質量流量を測定できますから、再現性の高いプロセスが実現されるのです。

コリオリ式MFMを用いた質量流量ポンプに興味を持たれたら、EZ-Japanへお問い合わせ下さい!

EZ-Japanここでもう一押し by Deco

【お知らせ】MFC千夜一夜物語ハングル版が始まりました!

蒸し蒸しした梅雨の気候が続きますね。
数年前までは、梅雨はDecoの天敵でした。
そう、メニエール病が酷くなる季節だったからです。
でも、心不全の治療を終えてから、不思議なことにメニエールの発作に悩まされる事は無くなってしまったのです。

さて、今日はMFC千夜一夜物語の新たな展開に関するお知らせです。

実はMFC千夜一夜物語ハングル版が始まりました。
韓国の熱心なブロガーさんからの申し入れで、Decoが書いた日本語版を翻訳して掲載頂いています。

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ブログではハングル版の次に日本語版が併載されています。
これは基本的にDecoの許諾の元翻訳された公式なブログだという事と、Decoの文責範囲はあくまで日本語版であるという意味合いです。

「中身はこのブログと同じでしょ?」と思われがちですが、違うんですね。
この千夜一夜物語は実は最新版のMFC千夜一夜物語になります。
当初、Decoが商用ブログに連載頂いていた頃のMFC千夜一夜物語&新・MFC千夜一夜物語がver.1、
EZ-Japanとして自身のブログで連載を始めた真・MFC千夜一夜物語がver.1を大幅改定したver.2、
そしてこのハングル版の元となる和文は、この為に更にリライトしているver.3なのです。

多言語でMFC千夜一夜物語をお読み頂く試みは、以前から必要だとは思っていたのですが、Decoが対応できるのは英語くらいで・・・そこに今回、協力の手を挙げて頂けたので、このようなチャンスが産まれました。

どうぞよろしくお願いいたします。

”Deco”こと EZ-Japan 代表 黒田 誠

FLEXI-FLOW Compact を使ってみませんか?

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))が昨年発表した製品 FLEXI-FLOW Compact は大変面白い製品です。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 日本語訳:EZ-Japan

特にこのマスフローの面白いところは、MEMSで作られた流量センサー、TCS(Trough Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーという巻線型とMEMS型を融合した新型センサーを積んでいます。
巻線型センサーの器差の原因であったニクロム線を巻いたセンサーから脱却し、従来培ってきた分流構造でのブロンコストのバイパスに関わるノウハウを活かし、広いレンジで高い精度、繰り返し性を維持できるセンサー技術です。
ただでさえ高性能なこのTCSバイパスフローセンサーに加えて、FLEXI-FLOW Compactは更に小型圧力センサーを搭載しています。
この二種のセンサーを搭載する事で、「圧力制御をしながら、流量値をモニターする。
もしくは流量制御をしながら、圧力値をモニターする。」という二つの機能をデジタル通信を通じて、リアルタイムで切り替えて運用する事ができるのです。


MFC(Mass Flow Controller)とAPC (Automatic Pressure Controller)は本来別個の製品です。
APCと呼称されている機器は、MFCの機器構成を利用してセンサーを圧力センサーの置き換えたものがほとんどです。
以下に分類して覚えておくとわかりやすいかと思います。

「圧力センサーからの圧力信号と設定した圧力値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、圧力を調整するのがAPC」

「流量センサーからの流量信号と設定した流量値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、流量を調整するのがMFC」
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このAPCとMFCはケンカが絶えません。
なぜならどちらも流量制御バルブを使って流量を制御しようとするからです。
流量を制御した結果として圧力を制御するAPCは、制御バルブの構成がMFCと同じなので、Kv値の異なるMFCを2台直列につないで、更に異なる流量値に制御しようとしているのとあまり変わらない結果になってしまうのです。
最悪はお互いが流量の増減を繰り返して、ハンチングを起こすような現象が続いてしまうことになります。

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これに対してFLEXI-FLOW Compactは、流量センサーと圧力センサーを搭載していて制御する流量制御バルブまでは内奏されている訳ですから、例えばチャンバーに送るガスを流量と圧力で制御したい場合は、例えばチャンバーをある一定の圧力に到達させる際に、導入したガス量もプロットしたいという御要望に対しては、APCで圧力制御させて、MFMで流量測定するような組み合わせで制御させることで対応ができてしまうのです。

MFCとAPCをニコイチにしてしまえるFLEXI-FLOW Compact!
下の写真のように従来MFCと比べてもコンパクトな外観に似合わない優れものです。
是非お試し下さい。
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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 

ただ、一言加えておきますと、FLEXI-FLOW Compactはデジタル通信専用機になります。

つまりアナログ0-5VDC等で制御することはできません。
なぜなら流量センサーと圧力センサー、そして流量制御バルブを組み合わせて使用するにはアナログ信号はもう情報量が不足してしまっているんですね。

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠

FLOW-BUSを使ったデジタル通信のご提案

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM、MFC&MFMの総称をマスフローとします)をアナログ信号で制御信号を送ったり、流量信号を取り込むというやり取りは日本ではまだ根強いのですが、EUではほとんど使われなくなっているそうです。

数年前、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech)のオランダ人エンジニアが不思議な顔をして、「日本はなんでまだアナログ信号を使ているんだい?」と尋ねてきた事があります。
確かにやり取りできる情報の質と量、記録に残したり、共有しやすさ、配線の簡略化を考えたらマスフローと直接デジタルで通信する方がメリットが多いのは確かさです。
わざわざアナログで送った信号も最終的にAD変換して、PLC等で制御していたりする場合も多いのですから・・・
まして日本で主流の電圧信号0-5VDCはノイズに弱く、伝送距離も稼げません。
せめて電流信号4-20mAにしたほうがいいのではと、Decoは昔から思っていましたが、なかなか日本という国には前例重視というか、保守的な層が多い為に実績がある0-5VDCからの移行は難しかったのです。

ただ、MFCのメインマーケットである半導体製造装置向けで変化が起こり、300mmウエハー装置でAMAT社の装置でフィールドバスであるDeviceNetが採用された辺りから、確実に風向きは変わりつつあります。
若い世代の研究者間では、デジタルが当たり前になりつつあり、昔ながらのLEDの表示器やボリュームタイプの設定器が徐々に需要が減っていきつつあるのが現状です。

そんな訳で今からデジタル通信に入門したい方には、ブロンコストオリジナルのフィールドバス”FLOW-BUS"がお薦めです。
ブロンコストは早くから自社開発のRS485ベースのフィールドバス”FLOW-BUS”を製品に搭載してきました。
シンプルな機器構成とブロンコスト提供する数々のアプリを使って快適にマスフローのデジタル通信化ができるようになっています。

中にはこのFLOW-BUSをLabVIEW​と組み合わせて研究に使うMFCをPCから制御しログを取るような仕組みを導入されたお客様もおられます。
また、既存のアナログで制御している装置に、デジタル通信を追加して、通常時はログを取るサブシステムとして運用し、非常時に装置本体がダウンしてPLCからの指示が届かない場合は、こちらからMFCを制御するようなシステムをご依頼いただいたこともあります。

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上の図のようにPCでモニタリングをしながら、通常の流量制御はPLCでアナログ信号で行うというシステム例です。
デジタルコマンドで制御の優先をデジタル(PC)側に切り替えれば、全てのFLOW-BUSのコマンドを使った制御が可能です。
全てPCから制御するのは怖いと言った世代は、こういったハイブリットシステムで対応するのも手ですね?
EZ-Japanまでご相談ください。

EZ-Japan MFCニュース by Deco
EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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