EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

真・MFC千夜一夜物語(第2期)

真・MFC千夜一夜物語 第333話 MFCの健康診断 その2

 真・MFC千夜一夜物語も333話まで来ました。
1001話の筈?なので、1/3まで来たということですね。
これも皆様のお陰と、感謝しております。
この10年でも2度の永久(とわ)のお別れになりかねない危機を乗り越え、まだまだがんばって行くつもりです。

「ブログ読んでますよ!」の一声で結構ですので、ご声援を宜しくお願いします。

 

さて、MFCの健康診断はどこで受けるの?という質問に対して、当然の如く生みの親である“メーカー”でという回答をさせて頂きましたが、メーカーに送るというのは、病院に入院するのと同じで、どのタイミングで依頼したらよいのだろうという悩みもおありかと思います。

たとえば校正証明書付きで、マスフローメーター(MFM)やマスフローコントローラー(MFC)を購入されるユーザーさんは、自社内の計測器としての校正周期をISO上で定めておられると思います。そうではない用途の場合、この判断は難しいところです。

 

①社内校正基準器を使用して流量を測る

たとえば社内に校正基準器を準備されているユーザーさんならば、ラインからマスフロー(MFMMFCの総称)を取り外して、定められた運用マニュアルに従って、流量検定を行うという手があります。

校正基準器となるものは、色々です。

例えば同じ熱式流量計を積んだキャリブレーターや、圧力式、臨界ノズル式、もしくは精密膜流量計や湿式ガスメーターも当てはまります。

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FLUICAL™ ポータブルキャリブレーター 出典:ブロンコスト・ジャパン()

 

どれが良いかは、一概には言えませんが、基本的にユーザーでは絶対流量の測定を行うのではなく、半年前と比べてどうだったか?というマスフローの繰り返し性能に問題が生じていないかを確認できればいいので、精度性能より、使いやすさ=誰が使ってもミスなく流量検定ができるツールという点に重点を置いた選定の方が良いかとDecoは思います。

校正基準器と大上段に構えなくても、社内基準用MFMなどでも構わないのです。
当然、同じ測定方式で流量を測ると、どちらが正しいかわかりにくいという問題、また熱式は温度影響に弱いのですが、同じ測定方式だと、同じように影響を受けてしまうという問題が当然ありますが、その時の結論は「基準器か?マスフローか?どちらかが、おかしい。」で良いのです。

両方ともメーカーに送って、確認してもらえばいい事なのですから・・・

  

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第332話 MFCの健康診断 その1

Decoは心不全からの合併症で正月明けから37日間の入院生活を送りました.
病床で「やっぱり適度な周期での健康診断は受けないとだめだな・・・特に忙しい時ほど、受けておくべきだったなぁ。」と思いました。
マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)も同じです
定期的な健康診断は、マスフロー(MFCとMFMの総称)が機械ものである限り、怠ってはいけません。
では、マスフローの健康診断はどこで受けたらいいのでしょうか?

まずは生みの親であるマスフローメーカーですね!
メーカー時代のDecoの話ですが、たまにお客様から
「他社のMFCだが、流量が正常に制御できているか、診てくれないか?」
と真顔でお願されたことがありました。
さすがにこれはダメです。
確かにメーカーの工場には、流量を測るツールはありますし、工具もそろっていますが、自社製品を保守する為に維持している設備・工具であって、他社製品に対して用いる事は、色んな意味で不可です。そもそも手元の工具で分解できるのかも、設計が異なればわかりませんし、電源、信号系が適応しているのか?(特にデジタル通信の場合、同じフィールドバス対応でも、社内設備はRS485やRS232Cの自社プロトコルで動作させている製品もあります。
好意で受けた他社品の校正で流量校正原器を汚染させてしまったら、もう目も当てられませんし・・・

「自動車の場合、メーカーが異なっても点検を受けてくれるじゃないか!」としつこく(失礼!)食い下がれらたこともありましたが、「いや、自動車のような、どこにでかけて故障するかわからないツールと違って、マスフローは設備ですから・・・」とご説明した記憶も残っています。

はい、なのでマスフローの健康診断は、まずは製造元に送り返して、やってもらいましょうと言うのが、原則だと憶えておいてください。


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【除染告知書の一例 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

そして、メーカーに出す際は、必ずパージを念入りに行い、除染済みであることを証明する書類(除染告知書)があれば、それをきちんと添えて送ってくださいね。
何度か繰り返しお願いしていますが、除染がきっちり行われていない製品や、どういった流体を流したかの履歴を正確に連絡されていない製品をサービスに送り返されると、受け入れ側で最悪死人が出るような大事故が起きるかもしれないのです・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第331話 MFCの応答性 その7

ご無沙汰しておりました。

心不全からの合併症で正月明けから37日間の入院生活とその後、退院しての自宅での療養生活を送っておりましたが、徐々に仕事を増やしていきつつあります。

EZ-Japan の看板コンテンツ(と、Decoが勝手に思っているだけかもしれませんが・・・)MFC千夜一夜物語も、ようやく再開させることができました。

これも皆様からのご支援、ご声援のお陰です。

危うく330話で終わるところでしたこの物語、”まだまだ続けろ”との天命で命を拾えたと思って、1001話まで頑張っていくつもりです。

 

さて、MFCの応答性に関する解説でしたが、その制御の仕組みをお話ししてきました。

現実のMFCの使用方法で解く面する数々の問題の内、実はこの特性が絡んでいる事例をご説明しましょう。

ユーザーから質問を頂く事がゼロ点と並んで結構多いのが、MFCSV(設定信号)通りに追従しないけど、どうしてか?」というものです。

詳しくお聞きすると、ユーザーさんの入力しているSVは以下の図のような場合が多いです。

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または、ランピングと言うある時間をかけてSVを目標値へ到達させるやり方

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これらSVを刻々と変化させる制御方法は、流量センサーが熱の伝導を原理に用いる熱式センサーを積んだMFCは最も苦手とするところなのです。

大概のMFCはオーバーシュートやアンダーシュートをくり返しながら流量制御をしてしまいます。
SV
の波形通りにMFCを動かしたいのに、制御はかけ離れたぐしゃぐしゃの波形になってしまう訳です。

そもそも現行世代のMFCはそのセンサーの遅さと、それに対して高速なアクチュエーターの危ういバランスで成り立っていますので、こういた制御で流量を増加させようとすると、SVPV(センサーからの流量信号)に至る前に、SVがまた増加してしまい、結果として常にSVPVの状態で流量制御を行うことになります。(流量を減らす際は逆です。)

また、配管のボリュームを考慮すれば、MFCで制御しようとしても、その下流に残留しているガスが制御されるわけではありません。故にMFCPVの波形が、たとえ思惑通りになったとしても、ワークのあるチャンバーへその通りに流れるわけではないのです。

 

本来のMFCに望ましいSVの与え方は、見慣れた下図の形です。

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この基本を守って、使用いただきたいとDecoはいつも助言させて頂いています。

MFCは万能ではありませんし、流れだしたガスや液体はすぐにそれを増減できるものではありませんので・・・

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第330話 MFCの応答性 その6

マスフローコントローラー(MFC)の応答性に関して、調整計での制御方法の解説を始めました。
比例動作を制御する
P制御では、流量設定信号(SV)に対して流量信号(PV)が近づくと、目標値にきわめて近い寄り添った状態で安定してしまう現象が起きてしまい、いつまでもSV=PVになってくれません。
そこで
PI制御で過去の偏差を時間的に蓄積し、蓄積量がある大きさになった所で、MVの操作量を増やして流量を増やし、偏差を解消させるという特別な動作をするのでした。

今回はPID制御です。

 

PID制御

 PI制御の弱点は偏差を蓄積する分、PVSVに合致するのに時間が必要になる点です。
MFC
のように周囲の配管機器とガス供給系を形成している場合は、色々と難しい問題が存在します。
例えばMFC1次側で複数ラインを1つの調圧器(レギュレーター)で賄う際に生じるのですが、バルブ切り替えによる消費ライン数の増加に伴う一時的な払い出し量不足や、二次側の真空チャンバー排気量のゆらぎによる二次圧変動のような突発的に強い外乱が発生した場合、PI制御では偏差をある時間が経過した都度修正するので、元の値に戻すために時間が掛かってしまい、それが問題視されてしまう事がありました。(下図:PI制御の場合) 

それに対する改善方法があるので、今回の解説の最後に紹介しますね。
それがPID制御(比例・積分・微分制御)です。

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しかしこのPID制御も万全ではありません。
むしろ図中の微分動作にあるようなオーバーシュートを伴う急峻な波形を形成してしまうことで、二次側にある真空チャンバーの真空度を一時的に悪化させたり、チャンバー内でパーティクルの巻き上げを起こす可能性があります。

本来それらを防ぐ為に装置のインターロック(PVをモニターし、SVの一定許容範囲を超えた際にアラームを立て、最悪ガス供給を断つ方向へ制御する。)を誤作動させる要件になりかねません。

MFCはよくPID制御されていると表記されますが、実際の動作ではPI制御が主であったりします。PID制御で使用するには、マスフローの流量センサーの主力である巻線型センサーの流量出力信号が決して速くはない事が挙げられます。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第329話 MFCの応答性 その5

前回からマスフローコントローラー(MFC)の応答性に関して、調整計での制御方法の解説を始めました。
比例動作を制御する
P制御で、目標値と現在値との差に比例した操作量を調節する制御を行うと、ハンチングの小さい滑らかな制御が可能になります。
ただ、流量設定信号(
SV)に対して流量信号(PV)が近づくと、目標値にきわめて近い寄り添った状態で安定してしまう現象が起きてしまい、いつまでもSV=PVになってくれません。

 

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PI制御 

このままではMFCの設定信号通りには、流量が流れてくれないので困ります。

そこでPに加えて積分動作=I動作を用いたPI制御が用いられます。

 

P制御における問題点は、PVSVに近づくと、MVの伸びが鈍ってしまうことでした。

SVに近い状態でPVが安定はするが、永遠に「PV=SV値」にはならないのです。

このP制御における、PVSVの差を偏差と言います。

つまりP制御ではSVPVを近づけることまでできるが、SVPVとの偏差を0にできない」という問題があると言い換える事ができるのです。

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この偏差をなくすために考えられたのが、積分動作(I動作)です。
上図にあるようにI動作は偏差を時間的に蓄積し、蓄積量がある大きさになった所で、MVの操作量を増やして流量を増やし、偏差を解消させるという特別な動作をします。

 

このようにして、P動作にI動作を加えた制御をPI制御(比例・積分制御)と言い、一般的なMFCはこのPI動作で制御されいると言っていいのです。

 

「あれ?MFCの制御はPID動作じゃないの?」

とおっしゃる向きもあるかもしれませんね?
それに関しては、次でお話ししましょう。

 

あと、念のためですが、ここで説明したPI、最近はやりのPI-MFCPI=Pressure Insensitive、つまり圧力変動影響緩和型MFC)のPIとは全く別の意味ですから、ご用心ください。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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