EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

EZ-Japan ここでもう一押し!

FLEXI-FLOW Compact を使ってみませんか?

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))が昨年発表した製品 FLEXI-FLOW Compact は大変面白い製品です。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 日本語訳:EZ-Japan

特にこのマスフローの面白いところは、MEMSで作られた流量センサー、TCS(Trough Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーという巻線型とMEMS型を融合した新型センサーを積んでいます。
巻線型センサーの器差の原因であったニクロム線を巻いたセンサーから脱却し、従来培ってきた分流構造でのブロンコストのバイパスに関わるノウハウを活かし、広いレンジで高い精度、繰り返し性を維持できるセンサー技術です。
ただでさえ高性能なこのTCSバイパスフローセンサーに加えて、FLEXI-FLOW Compactは更に小型圧力センサーを搭載しています。
この二種のセンサーを搭載する事で、「圧力制御をしながら、流量値をモニターする。
もしくは流量制御をしながら、圧力値をモニターする。」という二つの機能をデジタル通信を通じて、リアルタイムで切り替えて運用する事ができるのです。


MFC(Mass Flow Controller)とAPC (Automatic Pressure Controller)は本来別個の製品です。
APCと呼称されている機器は、MFCの機器構成を利用してセンサーを圧力センサーの置き換えたものがほとんどです。
以下に分類して覚えておくとわかりやすいかと思います。

「圧力センサーからの圧力信号と設定した圧力値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、圧力を調整するのがAPC」

「流量センサーからの流量信号と設定した流量値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、流量を調整するのがMFC」
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このAPCとMFCはケンカが絶えません。
なぜならどちらも流量制御バルブを使って流量を制御しようとするからです。
流量を制御した結果として圧力を制御するAPCは、制御バルブの構成がMFCと同じなので、Kv値の異なるMFCを2台直列につないで、更に異なる流量値に制御しようとしているのとあまり変わらない結果になってしまうのです。
最悪はお互いが流量の増減を繰り返して、ハンチングを起こすような現象が続いてしまうことになります。

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これに対してFLEXI-FLOW Compactは、流量センサーと圧力センサーを搭載していて制御する流量制御バルブまでは内奏されている訳ですから、例えばチャンバーに送るガスを流量と圧力で制御したい場合は、例えばチャンバーをある一定の圧力に到達させる際に、導入したガス量もプロットしたいという御要望に対しては、APCで圧力制御させて、MFMで流量測定するような組み合わせで制御させることで対応ができてしまうのです。

MFCとAPCをニコイチにしてしまえるFLEXI-FLOW Compact!
下の写真のように従来MFCと比べてもコンパクトな外観に似合わない優れものです。
是非お試し下さい。
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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 

ただ、一言加えておきますと、FLEXI-FLOW Compactはデジタル通信専用機になります。

つまりアナログ0-5VDC等で制御することはできません。
なぜなら流量センサーと圧力センサー、そして流量制御バルブを組み合わせて使用するにはアナログ信号はもう情報量が不足してしまっているんですね。

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠

FLOW-BUSを使ったデジタル通信のご提案

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM、MFC&MFMの総称をマスフローとします)をアナログ信号で制御信号を送ったり、流量信号を取り込むというやり取りは日本ではまだ根強いのですが、EUではほとんど使われなくなっているそうです。

数年前、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech)のオランダ人エンジニアが不思議な顔をして、「日本はなんでまだアナログ信号を使ているんだい?」と尋ねてきた事があります。
確かにやり取りできる情報の質と量、記録に残したり、共有しやすさ、配線の簡略化を考えたらマスフローと直接デジタルで通信する方がメリットが多いのは確かさです。
わざわざアナログで送った信号も最終的にAD変換して、PLC等で制御していたりする場合も多いのですから・・・
まして日本で主流の電圧信号0-5VDCはノイズに弱く、伝送距離も稼げません。
せめて電流信号4-20mAにしたほうがいいのではと、Decoは昔から思っていましたが、なかなか日本という国には前例重視というか、保守的な層が多い為に実績がある0-5VDCからの移行は難しかったのです。

ただ、MFCのメインマーケットである半導体製造装置向けで変化が起こり、300mmウエハー装置でAMAT社の装置でフィールドバスであるDeviceNetが採用された辺りから、確実に風向きは変わりつつあります。
若い世代の研究者間では、デジタルが当たり前になりつつあり、昔ながらのLEDの表示器やボリュームタイプの設定器が徐々に需要が減っていきつつあるのが現状です。

そんな訳で今からデジタル通信に入門したい方には、ブロンコストオリジナルのフィールドバス”FLOW-BUS"がお薦めです。
ブロンコストは早くから自社開発のRS485ベースのフィールドバス”FLOW-BUS”を製品に搭載してきました。
シンプルな機器構成とブロンコスト提供する数々のアプリを使って快適にマスフローのデジタル通信化ができるようになっています。

中にはこのFLOW-BUSをLabVIEW​と組み合わせて研究に使うMFCをPCから制御しログを取るような仕組みを導入されたお客様もおられます。
また、既存のアナログで制御している装置に、デジタル通信を追加して、通常時はログを取るサブシステムとして運用し、非常時に装置本体がダウンしてPLCからの指示が届かない場合は、こちらからMFCを制御するようなシステムをご依頼いただいたこともあります。

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上の図のようにPCでモニタリングをしながら、通常の流量制御はPLCでアナログ信号で行うというシステム例です。
デジタルコマンドで制御の優先をデジタル(PC)側に切り替えれば、全てのFLOW-BUSのコマンドを使った制御が可能です。
全てPCから制御するのは怖いと言った世代は、こういったハイブリットシステムで対応するのも手ですね?
EZ-Japanまでご相談ください。

EZ-Japan MFCニュース by Deco

Bronkhorst 動画特集

暑い日々が続きますね。
今回はちょっと息抜きして動画でも観ませんか?

ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)はyoutubeにBronkhorst チャンネルを設けて多くの動画を配信しています。
今日は、その中でも代表的な例をピックアップしましょう。

EL-FLOW Prestige ガス用マスフローメータ・コントローラ(日本語字幕付き)

今や世界的に大人気で品不足が起きているEL-FLOW Prestigeの動画です。
動画は英語が基本ですが、一部動画には日本語字幕がつくようになりました。
映像で理解できるので、英語は流していればいい感じですが、気になる方は字幕設定を日本語にしてご覧下さい。
サーマルセンサー方式のマスフローコントローラー(MFC)の構造を理解いただくのに最適な動画かと思います。

スタンダードモデルEL-FLOWシリーズの動画もありますので、Prestigeになってどこがどう進化したのか?を確認して頂くのも良いかもしれませんね?
Thermal Mass Flow Meter / Controller (Principle of operation) E


コリオリ式ってどういう仕組みなの?Decoさんの文章と図だけではよくわからないんだけど!とお困りの方にはこの動画です。

mini CORI-FLOW Coriolis Mass Flow Meter, principle of operation

コリオリ式センサーがどのような動きをしているか?どうやってコリオリ力を取り出しているのか?がわかりやすく見て頂けます。
こればかりはDecoが言葉を尽くすよりはるかにわかりやすいです。
百聞は一見に如かずとはよく言ったものですね。

色んな動画が上がっていますので、お手すきのタイミングで眺めてみてください。

EZ-Japan MFCニュース by Deco


【続々報】FLEXI-FLOW Compact “TCS-Technology” 

ブロンコスト(Bronkhorst HIGH-TEC.B.V.  日本法人はブロンコスト・ジャパン(株))の発表した新製品 FLEXI-FLOW Compact に関する続々報です。


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出展:ブロンコスト・ジャパン(株) 日本語訳:EZ-Japan

前回確認中だった流量センサー部の構造に関する資料が一部公開されています。

FLEXI-FLOW Compactに採用された流量センサーは、TCS(Trough Chip Sensor)Technology バイパスフローセンサーと呼称されています。
今までの巻線型とMEMS型を融合して、巻線型センサーの器差の原因であったニクロム線を巻いたセンサーから脱却しつつ、従来培ってきた分流構造でのブロンコストのバイパスに関わるノウハウを活かし、広いレンジで高い精度、繰り返し性を維持できるセンサー技術なのです。
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基本的に、このセンサーは2つの真っ直ぐな窒化ケイ素キャピラリーで構成され、それぞれの直径は100μm、壁の厚さは1μmです。上部の温度依存の金属抵抗器は、ヒーターおよび温度センサーとして機能します。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株)

流路にただMEMSセンサーを置くのではなく、今まで培ってきた巻線型センサーのセンサー部をまさにMEMSで再現する事で、今まで培ってきた分流(バイパス)技術を利用した多彩な流量・圧力レンジでへの拡張性をうかがわせるブロンコストらしいマスフローセンサーだと思います。

まさに温故知新、Decoの好きな言葉です。

EZ-Japan ”Deco””こと 黒田 誠

真・MFC千夜一夜物語 第363話 流量と圧力制御は同時にはできませんよ! その4

圧力センサーを搭載した制御モジュールとして形は似ていますが、そもそも圧力式マスフローコントローラー(MFC:Mass Flow Controller)やPI-MFCとAPC (Automatic Pressure Controller)は違うものですよというお話です。
APCと呼称されている機器は、MFCの機器構成を利用してセンサーを圧力センサーの置き換えたものがほとんどです。
「圧力センサーからの圧力信号と設定した圧力値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、圧力を調整するAPC」と、「流量センサーからの流量信号と設定した流量値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、流量を調整するMFC」この2種類の制御システムを一緒に使うとどうなるか?以前も解説しましたが、下の図を見てください。
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APCとMFCはケンカが絶えないとはどういう意味でしょうか?
これはどちらも流量制御バルブを使って流量を制御しようとしているから起きるのです。
流量を制御した結果として圧力を制御するAPCは、制御バルブの構成がMFCと同じなので、Kv値の異なるMFCを2台直列につないで、更に異なる流量値に制御しようとしているのとあまり変わらない結果になってしまうのです。そうなると最悪はお互いが流量の増減を繰り返して、ハンチングを起こすような現象が続いてしまうことになります。

MFCとAPCを直列につないで流量と圧力同時制御!というのは、上手くいかない事が多いのですが、でもその両方を取り込みたいという要望がある場合はどうすればいいのでしょうか?
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Decoは回答として「MFCかAPC、どちらかを制御してどちらかがモニターに徹すればいい。」と、ご助言しています。
「APCで圧力制御をしながら、流量値をマスフローメーター(MFM)でモニターする。
もしくはMFCで流量制御をしながら、圧力値を圧力センサー(PT)でモニターする。
このどちらかでいかがですか?」とお話ししています。

例えばチャンバーに送るガスを流量と圧力で制御したいという御希望をお聞きすることがあります。
チャンバーをある一定の圧力に到達させる際に、導入したガス量もプロットしたいという御要望に対しては、APCで圧力制御させて、MFMで流量測定するような組み合わせになります。

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出展:ブロンコスト・ジャパン(株)
ブロンコストの新製品“FLEXI-FLOW Compact”はファームウエアの変更で、“PTを積んだMFC”にも“MFMを積んだAPC”にもなるので、こういった用途を1台でこなせて最適かと思っています。
 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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