EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

MFC豆知識

覆水盆に返らず

随分ご無沙汰した”Decoのマスフロー徒然日記”です。

10年で2度目の”死にかけた”体験をしまして、さすがのDecoも懲りたのですが・・・
いや、ほんとに嫁さん始め家族、担当医さんや看護師の方々のお陰で命を拾い、またこうしてブログを書いたり、皆さんからのご相談をお受けしたりできる環境に戻ってこれてよかったと実感しています。

さて、皆さんからのご相談で、「マスフローコントローラー(MFC)が思ったように制御できてない。」というものが、たまにあります。
他のご質問、例えば”ゼロずれ”や、”バルブの詰まり”と言う明確な悪者がMFC内部に存在(自責他責は問わず)するご相談と異なり、なかなかこのご相談内容に的確な回答をさせて頂くのは難しいのです。
なぜならMFC本体の問題ではない要素、例えば設定信号(SV)が適切ではない場合、真・MFC千夜一夜物語 第331話 MFCの応答性 その7 でお話ししたような急激にSVが変化するような制御をしようとされていたり、あるいはライン切り替え時、ボンベレギュレーターの払い出せるガス流量の一時的な不足から生じる一次圧降下がもたらす圧力変動影響、ニードルバルブの圧損増大による流量低下等が絡んでいる為に、メールでMFCの情報を貰っただけではなかなか真因がわからない事が多いからです。

若いメーカー社員さんだと、そういったMFCへの信号系や配管周辺機器の振る舞いに対する知識が無い状態で、自社製品の事だけを考えてしまうと、もうお手上げになってしまうのではないでしょうか?
かくいうDecoも、営業でデビューした頃は全く分かりませんでしたから、お客様の相談やクレームに顔が青くなるばかりでした。

自社の技術者で詳しい人に教えてもらえたらいい方で、下手すると現場で泊まり込みに近い状態で、ああでもないこうでもないとお客さんと試行錯誤を繰り返した事もありました。
きつかったですが、そういった経験を重ねた結果、色んな知見を吸収できたのは幸せだったと思います。
今はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)で、お客さんと接触する方法が間接的な手法に急激に移行しつつありますから、更に大変かと思います。
でも、逆に言えば、今はWeb-MTGで複数人で問題の解を議論したり、動画やデータを取ってもらって、ネットを通じて共有できるという利便性がとんでもなく向上していますから、要はそれらをうまく活用して、正解を導き出すことができればいい訳です。

Decoは、MFCでの流体制御の世界は”覆水盆に返らず”だと思っています。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、MFCが流量センサーからの信号(PV)と外部からのSVを比較して、SV=PVとなるように流量バルブ制御信号(MV)を可変させるという流体制御を行う限り、流量センサーで測れない位置、又は流量制御バルブで増減できない位置 つまりMFCの下流にいってしまった流体をMFCはどうすることもできないのです。
そのことを何か困った事があった際は、思い出して頂けると良いのではないかと思ってます。
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はい、何やらまたつらつらと書いてしまいましたが、DecoのDecoのマスフロー徒然日記でした。

Decoの徒然日記 EZ-Japan Deco




<注意喚起>マスフローを修理返却されるに当たってのお願い


数か月に一度、本ブログでお願いしていますが・・
人の命にかかわる事ですので、Decoもしつこく書かせて頂きますね。

マスフローコントローラー(MFC)やマスフローメーター(MFM)を、修理や再校正作業でメーカーに返却される場合、気を付けて頂きたい事があります。

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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

修理依頼品に付けて頂きたいメーカー指定の書式があるとお思いますが、Decoが現役のメーカー時代から、これが記載されていなかったり、不十分なものが散見されます。
特に除染関連、このマスフローにはこういった種類のガスをどれだけ流していて、取り外し後はパージ作業を行ったか?という書式は、日本ではなおざりにされがちです。

たとえばブロンコスト・ジャパン(株)でしたら、除染告知書という書式があり、これが必要事項記載されていない場合、作業には取り掛からないという約束が世界的にあります。

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【除染告知書 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

除染告知をおろそかにするという行為は修理内容の確認で双方の時間を浪費するだけでなく、
最悪の場合作業者の健康を損なったり、生命の危険を招くこともあります。

「Decoさん、いくらなんでも大げさでしょう。」と言われるかもしれませんが、マスフローに流される流体は決して安全な空気だけではありません。
特に半導体製造では毒性、可燃性のガス種のオンパレードであり、ppmオーダーで致死量に至るガスもあります。

もう時効だからお話ししますが、20年以上前お客様から返却された窒素のマスフローに塩素が充たされていたことがありました。添付された書類にはどこにも塩素を流したとは書いてなく、パージの項目は「済み」と記載しました。
受け入れ作業で開封したところ、わずかに塩素ガスの匂いがしたので、あわてて除害ボックスに放り込んだのですが、受け入れ担当は気が付くとうっすらと鼻血が出ていたとのことです。

この話を依頼元のお客様にしたところ、「知らない、君たちの受け入れのやり方が杜撰なんだろう。」と言われました。
安全を確保するには、すべてを疑ってかからないといけないのは確かで、受け入れ側にも改めるべき点はありましたが、自分達が使用したプロセスを把握していない杜撰な人に言われたくはありませんね。
(因みにその会社は経営のやり方も杜撰だったのか、もう存在していません。)

マスフローの修理や再校正をご依頼頂く際は、以下の事を明確にしましょう。

・依頼者の連絡先
・製造番号
・どのような流体で使用されていたか?
・送る前にどのような洗浄されたか?
・故障内容の詳細(いつから、どこで、どのように不具合が生じているかを詳細に。)
・再校正依頼ならば、出荷にどういったドキュメント(トレーサビリティ体系図等)を付ける必要があるか?

Decoからのお願いでした。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan

Dsub9ピンなら互換の筈だよね?

MFC(マスフローコントローラー)豆知識のコーナーです。

昨今のラボ用、半導体用(IP40程度の防塵・防水規格品)MFCのアナログ接続コネクターは、国産品がDsub9ピン(本体側がオス)で、海外品がDsub15もしくは9ピンのイメージです。
その昔はカードエッジコネクターとか、丸ピンとか色々ありましたが・・・
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出典)日本アエラ(株) & 堀場エステック(株) MFC用コネクター

ただ同じDsub9ピンでもピン配列(ピンアサイン)が同じか?とか、コネクターの勘合ネジは同じか?という細かいところは未だに確認が必要な事が多いのです。

例えば同じ堀場エステックさんのMFCでピンアサインを見てみると・・・

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出典)堀場エステック(株) 取扱説明書

これが少し前のMFCですと・・・
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出典)堀場エステック(株) 取扱説明書

ピンアサインで目に付くのが、電源COMと信号(流量出力、設定入力)COMの位置です。
7440ではCOMはそもそもNo.4ピンだけですので、ここに電源COMと信号COM2つを落とすようにしていました。
ところがZ500シリーズですと、NO.4電源COMとNo,7&No.8に信号COMが別々にあり、電源COMと信号COMは双方MFC内部でも接続されていないと明記されています。(No,7&No.8の信号COM同士はMFC内部で接続)

他社さんですと、日立金属(株)のSAMブランドSFC1480FX/2480FXシリーズでは・・・

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出典)日立金属(株) 取扱説明書 

基本、世代がほぼ一緒のせいもあり、Z500に近いですが、内部でNO.4電源COMとNo,7&No.8に信号COMは繋がっているそうです。

この各社の微細なCOM結線の差はなぜかというと、電源COMラインのノイズを信号ラインへ侵入させたくないという設計思想からくるものです。
そもそも電源線と信号線は同居させないように離したり、シールド線を用いて、シールド線を受信機側で接地させるものなのです。

MFCが主に使う0-5VDC電圧信号は、信号系の中でもCOMラインのノイズに弱い性質があります。
電源系の大きなCOMラインノイズが、そのまま信号ラインのCOMと接続してある事で大きなノイズが入ってきてしまうのを避けたいという思想が昔からあります。
(だったら4-20mA等の電流信号使えばいいのにとDecoは思ってますが・・・)

このような細やかな知識なしで、「同じメーカーの機種で、しかもコネクターも同じ9ピンだから・・・」と接続してしまうと、現場でMFCが動作しないといったトラブルに遭遇してしまうことも、稀に生じます。

その点、堀場エステックさんなんかはここら辺のCOMの接続に関しては、新型機種では本体DIPスイッチの切り替えで新旧型のCOM配線対応を変えられたりする親切機能が設けてあり、さすがだなぁと思う訳です。

MFC豆知識 by Deco

























































































































































































































































































































































































完全無欠のマスフローコントローラー

久しぶりの”Decoの徒然日記”です。

この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)下の世の中、すっかり知り合いと呑みに行ったりすることもなくなり、かといって家族がやっているオンライン飲み会的なものにも抵抗があり・・・
Decoはどちらかと言うと新しい物好きなので、本来そういうのはすぐに飛びつくのですが・・・

ビフォーコロナ、その頃(マスフローメーカーに居た頃です)は呑んで、二次会はカラオケというのが、のDecoのパターンでした。
カラオケでのDecoの持ち歌は、その昔流行った アラジン”完全無欠のロックンローラー”(youtubeで探してみて下さい)という歌のオリジナル替え歌 
”完全無欠のマスフローコントローラー” という歌でした。

替え歌の大意は「うちはトップのマスフローメーカーじゃないけど、作ってるマスフローは完全無欠だぜ!でも、世間にはいまいち認められてないけどな!売れてないし・・・クソー!」なんて他愛もない歌なんですけど、サビの部分は工場の作り手の皆さんにも大うけでした。

♪完全無欠のマスフローコントローラー 
あたいら市場で無視されて
マスフローだけで食っていく 
馬鹿にするなよ ××社の××!♪ 


すみません、××はさすがに実名なんで出せません・・・

おバカな時代だったと思います。
でも、今のメーカーさんは、「うちの技術は世界一!うちのマスフローコントローラーは完全無欠!」と思って仕事ができていますか?

どこかのお客さんがこう言うから・・・
参入する為には、同じものを作らなきゃ・・・
確かに一つの戦略なのですが、それじゃMFCなんて、最後はどこが作って物も同じになってしまいますよね?
上記の導入戦略+アルファ ”完全無欠のマスフローコントローラー” アピールが欲しいよねと思ってしまいます。

Decoはここ数年、オランダのBronkhorst HIGT-TECH B.V. さんと付き合っていますが、彼等にはそれがあります。
「うちのマスフローはすごくいいぞ。なぜ日本のお客さんたちは、使わないのかな?」
という台詞が、決して売らんかなの営業向け販促トークではなく、本気(マジ)でそう思ってるんだなぁと感じる事があります。

日本のマスフローメーカーさんも元気を出して、完全無欠のマスフローコントローラーを作りましょうよ!
作るためには、自分たちは何をもって完全無欠なのか?という根拠が無いとだめですよ。
どこかのマスフローに似ている無難なものを作ってたらじり貧で、逆転なんてできるわけないですよ。

最初、市場で馬鹿にされると思いますけど、いいじゃないですか、言わせておけば・・・
「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」とでもうそぶいてればいいのです。
ああ、でも今は味方の陣地の高ーいところからも同じように攻撃されますよね。

♪ファイト 闘う君の唄を 闘わない奴らが笑うだろう ♪ 中島みゆき ファイト! より

組織にはいるんですよ。
「選択と集中」とか「コンプライアンス」とか、どこかの誰かが言っていた台詞のコピー魔の人たちが・・・
Decoはサラリーマン時代、よく「1台でもマスフロー売ってきてから言え!」的な事をすぐ言ってしまいましたが、それは皆さん、絶対にマネしないでくださいね!

Decoの徒然日記

前?後?どちらが正しいの?

MFC豆知識です。
最近、Web-MTG等でご質問頂く内容で、これは!っと思ったものをご紹介しておきますね。

マスフローコントローラーの場合、機器の構成は以下の図のようになっているものがほとんどです。
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上流に流量センサーがあって、その下流に流量制御バルブという構成です。
ですが、よく見るパージメータの世界で多いのも・・・
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やはりバルブは下流にあります。(上部ニードル配置と言い、逆にバルブが上流にいる下部ニードルと言う配置もあります。
計装の世界では逆に流量調整バルブが前で、流量計(マスフローメーター=MFM)が後ろと言う場合もあります。

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「前か?後か?どちらが正しいのでしょうか?」
先日、このようなご質問を頂く機会がありました。

答は、「どちらでも良いのですが、気を付けて頂きたい点がございます。」となります。

流量計はどこで流れている値を読みたいかによりますので、流量計の設置はその原則で配置すべきです。
ですが環境条件によってはその配置を取る事で、流量計の測定結果にある影響が出る可能性があることを考慮しなくてはなりません。

原則として流量計を置いた側の圧力影響や流路形状による影響を流量センサーは強く受けるとお考え下さい。
例えば流量計(MFM)が下流にある場合です。
流量計の二次圧が大気開放ならば問題はありませんが、例えば真空の場合にはまずい場合があります。特に熱式の流量センサーを搭載したMFMで分流測定構造を採っているものです。

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真空、Decoがデータを取ってもらった際は-30kPaを超えた辺りから流量出力に繰り返し性が無くなったのを記憶しています。
これはガスが希薄になる影響を受けて、センサーチューブと層流素子(バイパス)との間の分流比が変動を始めるせいではないかと推論しています。
この影響はインサーションタイプやMEMSタイプで全量測定タイプではまだ起きにくい傾向があります。
ただ起きにくいと言っても流路のガス原子が希薄になる事で値自体に変動は生じてきますが、圧力依存特性として、まだ補正値で管理できる範囲でした。

このような流量センサーの場合、流量センサーは前に置き、流量制御バルブで真空と仕切ってしまう配置がベストでしょう。
MFCがまさにこの配置を取る事が多い理由は、MFCの販売対象業界が半導体製造装置向けで、MFCの二次側は装置のチャンバーであり、そこは高真空に設定されることが多いからなのです。

逆に加圧系の装置ならば、流量計を流量制御バルブ二次側に配置することも多くみられます。
ただ、ここで気を付けて頂きたいのは、流量計の種類によっては、配管径の5~10倍の曲がりや径が変動しない穏やかな流れの直管部を必要とすることです。
流量制御バルブの構造上、確実に流路を絞りますから、下流へ送られる流れは、決して穏やかなものとは言えないでしょう。
この乱れた流れを整流する仕組み無しで、流量センサーを流慮制御バルブの下流に配置すると、流量計の測定値に悪影響を及ぼす場合もあるという事なのです。

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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