EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

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カーボンフリー

真・MFC千夜一夜物語 第409話 マスフローとアンモニア その6

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)で流量測定や流量制御を行う流体でも最近注目度が高いのは水素とアンモニア(NH3)だと思います。
水素に関しては第176夜と177夜で解説をさせてもらいましたので、今回はアンモニアのお話をさせて頂きます。

今回はアンモニアを液体で流量制御する事例でコリオリ式流量計を使用する事例です。
コリオリ式流量計の測定原理には、同じ質量流量計である熱式流量計の定圧比熱のような流体の物性に関わるものが一切含まれていません。
 
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これは「コリオリ式は流体を選ばず質量流量を測定できる」という事を意味しており、流量計として画期的なポイントとなっています。
質量流量計と言いながら、流体種を特定できないと、流量測定ができない熱式流量計と比べて物性の不明確な状態でも流体を質量で流量測定できるコリオリ式流量計の汎用性の高さは限りなく高いのです。
なぜならば流体固有の物性に左右されないという事は、熱式流量計が直面するコンバージョンファクターの揺らぎによる実流量不安という問題から一気に開放されるからなのです。
これにより気化後の安定性も大きく変わってきます。
今までの熱式液体マスフローでの気化では、問題が生じた差に液体マスフローの問題か?気化器の問題か?が切り分けられずに液相から気相に転じた際の流量保証に悩むシーンが多かったのですが、コリオリでバシっと質量流量で液体流量を押さえてしまえば、後は気化器の気化効率向上で全ては解決してしまうのです。
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 このコリオリ式マスフローを用いて、液体でのアンモニア流量制御を行う事例を紹介しましょう。
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のコリオリ式マスフローmini CORI-FLOWシリーズのM13でフルスケール2kg/h、M14ではフルスケール30kg/h 、M15では300kg/hのアンモニアの流量測定が可能になります。
これに流量制御バルブを組み合わせる事で流量制御も可能です。
ブロンコストのMFMはPID制御回路を内蔵しているので、流量制御バルブに対して制御信号を送る事ができます。
もちろんどんな圧力条件でも必ずという事は無いのですが、この機能を利用する事で多くの選択肢の中から最適なサイズのバルブを選定する事が可能となり、高圧での液体アンモニアの流量制御を行うことができるのです。
 
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真・MFC千夜一夜物語 第408話 マスフローとアンモニア その5

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)で流量測定や流量制御を行う流体でも最近注目度が高いのは水素とアンモニア(NH3)だと思います。
水素に関しては第176夜と177夜で解説をさせてもらいましたので、今回はアンモニアのお話をさせて頂きます。

今回からはアンモニアを液体で流量制御する事例です。
アンモニアは常温で気体であるという解説を前の解説でいたしまたが、今度は液相で流量制御する方法を考えてみましょう。
常温常圧で気体であるアンモニアですが、圧力を高くすれば液体として搬送が可能になります。蒸気圧曲線から紐解けば、20℃で0.87MPa(A)を超える辺りで液体となる筈ですね?
こういった液体を高い圧力で搬送し、最終段階で気化するのは、気相でのハンドドリングよりも難度は高いと言えます。
だが、それをクリアできる適切なデバイスがあれば、より大流量のアンモニアを搬送する事が可能になるはずです。
それは気体と液体の密度差を考えればわかります。
そして高圧条件で液体流量測定するのが得意な流量計が存在しています。
本ブログで何度も取り上げているので、読者もピンと来ていると思います。
そう、コリオリ式流量計ですね。

ここでコリオリ式流量計のおさらいをしましょう。
コリオリ力は1835年フランスの物理学者ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ(Gaspard-Gustave Coriolis)が発見した回転座標系における慣性力の一種である。回転系に発生する慣性力としてのコリオリ力を流量検出原理としたのがコリオリ式流量計です。
このコリオリ式流量計の流量センサーは回転させる代わりに振動を与えています。
 
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振動と回転は異なる運動系に見えますが、実は図のように回転軸に対し垂直方向からフォーカスすると同じ動きであることが理解できます。
コリオリ式流量センサーは、回転系に発生する慣性力であるコリオリ力を取り出す目的で作られた仮想回転系と考えてもよいでしょう。
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一般的なコリオリ式流量計の構造は2本のU字型チューブを使用しており、それらを逆位相で振動させています。
流体が流れると質量流量に応じたコリオリ力が作用して、振動する2本のチューブには位相差が発生し、捻れが発生します。
流体が進入する側の左側ではコリオリ力は共に2本のチューブの内側に働き、流体が出る右側は流体の向きが180度変わるため、今度は外側に働くからです。
ここで流体が流れたときの位相差を測ればコリオリ力、ひいては流体の質量流量を算出できるのですが、実際それをリアルタイムで測定するのは難しいので、左右のチューブが振動の中立点(捻れ角=0位置)を基準点としてそこを通過する時間差Δtを位相差として測定することが多いのです。
コリオリ式流量計には、チューブを振動させるオシレーター(発振回路)と、左右の捻れを検出するピックアップ(検出回路)が配置されているのが一般的です。
中にはU字管1本で構成されたものもあります。
1本でも原理上は問題が無いのですが、コリオリ力を強く発生させられない場合、つまり流体の質量が小さい場合、センサーの感度が低くなり、結果SN比が悪い信号となるため、外乱=ノイズに弱い傾向を示すため、2本チューブタイプが開発されたと言われています。
 

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真・MFC千夜一夜物語 第407話 マスフローとアンモニア その4

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)で流量測定や流量制御を行う流体でも最近注目度が高いのは水素とアンモニア(NH3)だと思います。
水素に関しては第176夜と177夜で解説をさせてもらいましたので、今回からアンモニアのお話をさせて頂きます。

前回はインサーションセンサータイプで低圧力損失なブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)MASS-STREAMシリーズをご紹介しましたが、コンベンショナルな巻線型MFCのスタンダード機種であるEL-FLOWシリーズIN-FLOWシリーズでもアンモニア流量測定&制御用の需要は増えています。 
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出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

低圧力損失で評価されるMASS-STREAMシリーズと比べると、このEL-FLOWシリーズは若干圧損が大きくなるものの、それでも他メーカーのMFCと比較すれば圧力損失を押さえる事が可能ですし、やはりMFCとしての基本性能である流量測定&制御の性能で勝る点が特に研究機関で高く評価されているのです。
インサーションセンサータイプは、確かに分流が無い、もしくは分流比の小さい構造でMFCを作れる利点はあるのですが、インサーションセンサーは直線性に劣る傾向があります。
そもそもは巻線式よりも古くから存在する熱線式風速計をオリジナルとするこのセンサーは直線性が良くない事で、アナログ時代は一度埋没しかけたセンサーでした。
それをデジタル化する事で多点補正を行い実用上は問題が無いレベルに引き上げたのがブロンコストのMASS-STREAMを始めとする現世代のインサーションセンサーモデルだったのです。
下図はあくまでイメージで本当はこのような信号にはなっていませんが、本来破線のような直線性性能であったものを50%/25%というポイントで補正を施して直線性を向上させているのがわかりますね?
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このように現世代のデジタル化されたMASS-STREAMシリーズの直線性は、工業用等の実用レベルでは全く問題はありません。
しかし、研究用途などでMFCの設定流量をかなり広い範囲で振る事があり、その各ポイントで高い精度=アンモニア実ガス流量とのトレーサビリティが取れた整合を求める用途では、あえて圧力損失が高くなっても更に上の性能を持つMFCであるEL-FLOWシリーズを選択するというユーザーも存在しています。
これは同じアンモニア流量制御でもユーザーの置かれたポジションによって、MFCに強く求めるものが何か?により、左右されると言っていいでしょうね。

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真・MFC千夜一夜物語 第406話 マスフローとアンモニア その3

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)で流量測定や流量制御を行う流体でも最近注目度が高いのは水素とアンモニア(NH3)だと思います。
水素に関しては第176夜と177夜で解説をさせてもらいましたので、今回からアンモニアのお話をさせて頂きます。

液化ガスであるアンモニアの供給圧を上げたければ、温度を上げて蒸気圧を稼ぐしか術はありません。
でも、高圧ガス保安法では可燃性ガスのボンベを火や電気で直接温める行為が禁じられていて、間接的な手法である湯煎しか方法はないのです。
でも、湯煎は設備も大掛かりになり大変です。
故にできるだけ低い圧力で大量のアンモニアを供給したいのが本音ですね? 

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MASS-STREAM D-6471-004BI 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech B.V.)のMFC MASS-STREAM D-6471は、先ほどの二次圧0.2MPaの条件に対して、なんと一次圧は0.2386MPaで500L/min[N]のアンモニア流量制御ができる低圧損大流量MFCです。
圧力損失はわずか38.6kPa。
まさにアンモニアのような液化ガスを大流量制御するためにあるようなMFCですね。
なぜこのMFCはこんなに低圧損で大流量制御が可能なのか?その理由の一つに挙げられるのが、流量センサー構造です。


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以前の記事でも取り上げたので記憶している読者も多いかもしれませんが、MASS-STREAMシリーズの流量センサーは、インサーションタイプです。
従来のマスフローの多くは巻線型分流構造をとっています。

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この方式では流れる流体の一部(数mL/min程度)を0.3~0.8mmφ程度のセンサー管側に流して熱移動を測定し、残りほとんどを層流素子(バイパス)に流しています。
その為、センサーと層流素子の分岐部分に抵抗=圧力損失を設けてやってセンサー管へ流体が流れる構造にしなくてはいけません。
また層流素子自体の抵抗もセンサー管と同径の細管の集合体であったり、エッチングで凸凹を付けた板を丸めたものであったり、焼結フィルターを使っているものもある為、流量が大きくなるにつれこの構造部のボリュームも大きくなり、圧力損失が大きくなるのはやむを得ませんでした。

ところがMASS-STREAMのセンサーは直接流体を測定するインサーションタイプです。
整流の為のフィルターは入ってはいますが、比較すれば圧倒的に少ない抵抗で流体を流すことができます。
もちろんどんな大流量までも分流構造無しで測定できるわけではありません。
ある程度の流量になれば、分流構造は必要になってきますが、それでもその分流比は巻線式のそれと比べればはるかに小さいのです。
分流比が小さいという事は、異物の混入等で出荷時よりも分流比が仮に変動したとしても、その影響は小さくなります。
MASS-STREAMがEU圏、特に窒化炉メーカーの多いドイツに於いて、アンモニアの流量測定&制御用途で高く評価され採用されているのは、こういったアンモニア・アプリケーションに好ましい特性を評価されてのことなのです。

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真・MFC千夜一夜物語 第405話 マスフローとアンモニア その2

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)で流量測定や流量制御を行う流体でも最近注目度が高いのは水素とアンモニア(NH3)だと思います。
水素に関しては第176夜と177夜で解説をさせてもらいましたので、今回からアンモニアのお話をさせて頂きます。
 
アンモニアを気体で流量制御する場合
未来有望なアンモニアですが、この流体自体は可燃性を有す有毒ガスなので注意が必要です。
その最大の用途は下のグラフにあるように今のところ農業の肥料用途が圧倒的に多いのです。
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出典:日本エネルギー経済研究所及びNEXANT(2012年)

工業用途も現在では拡大しており、半導体製造装置、窒化炉、発電設備、脱硝装置、石油精製装置の防食、イオンエッチングプロセスなど各種工業用途で広く用いられています。
アンモニアボンベの色は白色と決められていますので、見かける事もあるのではないでしょうか?
アンモニアは20℃での蒸気圧が0.857MPa(A)の液化ガスです。
液化ガスと通常ガスとの大きな差は、液化の字のごとく液化ガスボンベには圧縮した液体と化したアンモニアが封入されていて、それがボンベ内で気化したガスを供給する仕組みであることです。
 
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ボンベに充填された液体アンモニアが内部で気化して気体となった際に得られる圧力は、常温で0.75MPa(G)あればいいところです。
しかも液体アンモニアの蒸発潜熱は1268 KJ/Kg(0℃、1013hPa)も必要である為、アンモニアを大量にボンベから払い出そうとすると、熱を奪われてしまい、急激にボンベ温度が下がり、結果として供給圧力を失ってしまう事になります。

例えばアンモニアをMFC下流側に0.2MPaの背圧が立つ条件で500L/min[N]流量制御したい場合、通常のMFCだと最低でもMFCへの供給圧は0.5MPa程の圧力をとってやる必要があります。
MFCでの圧力損失=ΔPは0.3MPa必要になる計算です。
これはあくまでMFCの入口/出口部での差圧だから、ボンベからチャンバーまでの配管経路にある他の配管部品、バルブやフィルター、そして配管の曲がり等により生じる圧力損失を考慮すると、アンモニアボンベからの供給圧はさらに高く維持しなくてはならなくなってしまうのです。

供給圧を上げるには、液化ガスである限り温度を上げて蒸気圧を稼ぐしか術はありません。
手っ取り早い話、ボンベの温度を上げればいいのだが、高圧ガス保安法では可燃性ガスのボンベを火や電気で直接温める行為が禁じられていますので、間接的な手法である湯煎しか方法はないのです。
このことを知らずにアンモニアボンベを市販の非可燃性ガス専用ボンベーヒーター(マントルヒーターやシリコンラバーヒーター)を用いている現場があるかもしれませんが、法律順守を意識して行動して頂きたいです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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