もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年9
月号(8/25発売)では、マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の流量校正に関する解説です。
本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。
さて、今回からブロンコスト・ハイテック(Bronkhorst High-Tech B.V. 以下ブロンコスト)の防爆用=危険場所用マスフロー(MFCとMFMの略語)のEX-FLOWシリーズを国内本質安全防爆で(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールの拡張機能であるPIDコントローラを用い、防爆仕様MFCとしての運用を解説しますね。
のっけから恐縮なのですが、本質安全防爆構造TIIS (Technology Institution of Industrial
Safety)認証(正確には“TIIS国際規格に整合した技術指針及び技術基準認証”)MFCは、残念ながら一体型のパッケージでのMFCとしては存在していません・・・
現在、ブロンコストがラインナップしているのはATEX本質安全防爆構造のものだけなんですね。(写真)
<EX-FLOW MFCタイプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>
なーんだ、とおっしゃらずに続きをお読みください。
これは多分に流量コントロールバルブに使用されるソレノイドアクチュエーターにその原因があります。
今回はまず、ATEX本質安全防爆構造のMFCを解説し、その後の連載でTIIS認証本質安全防爆MFMをMFCとして流量制御を行わせるにはどうしたらよいかを説明していきたいと思います。
ATEX本質安全防爆構造MFC
ブロンコストのラインナップで一番特異なマスフローが危険場所での使用に対応した“EX-FLOWシリーズ”です。
TIIS認証国内本質安全防爆に対応したMFMを初めて世に送り出したのが、他ならぬオランダのメーカーであるブロンコストであった事からもわかる通り、「マスフローの日本国内規格に合わせた防爆規格取得」というニッチで特異な分野への挑戦を絶やさないメーカーさんです。
「利益の8割は、市場の2割で稼いでいるのだから、残りの市場に注力する必要は無い」とか、「選択と集中」等という言葉で経営を行っているメーカーなら、まず手を出さない分野です。
こういったニッチビジネスを重視していくのが、流量計・マスフローという決して杯の大きくない市場で生きてきたホンモノのメーカーが取る戦略だとDecoは思うのです。
だから、流量計・マスフローメーカーには中小企業が多いのかもしれませんね?
EX-FLOWのMFCタイプに搭載されているコントロールバルブは、MFMと一体型(=MFC)としても、独立型(コントロールバルブユニット)としても供給が可能です。
このコントロールバルブユニットはMFCとしては一般的なソレノイドアクチュエーターを用いた比例電磁弁構造であり、高速応答はもちろんのこと、リフト量の大きな大流量制御に適したものです。
<コントロールバルブ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>
ブロンコストでは用途に応じて、上の写真にあるように左から標準的な直動型、定格圧40MPa、70MPaといった高圧条件で最大差圧40MPa(d)に対応できる“Vary-P”バルブ、大流量向けのパイロットバルブ型を選択可能です。
本来コントロールバルブユニットは機械部品で構成されています。
電流を流すことで磁力を発生させ、バルブ開度を制御するソレノイドアクチュエーターのコイル部分のみが電気部品なので、危険場所で使用するに当たっては、防爆構造でなくてはならない箇所です。
これらのコントロールバルブは、防爆構造に対応する為にATEX防爆認定品のコイルを備えておりXBコイルとXCコイルの2つの選択肢があるのです。(下図)
次回に続く
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan