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EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

コンバージョンファクター

真・MFC千夜一夜物語 第264話 コンバージョンファクターは1つではない その1

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌

201812月号(11/26発売)では、マスフローのゼロシフトに対するゼロ調整に関して解説しています。

本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。

 

さて、2018年の最後のシリーズになるのは、業界の偉大な先達が「マスフロー(マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の総称)にとっての、パンドラの箱」と喩えられた程の禁忌・・・というのは大げさかもしれませんが、それ程の難解かつ悩ましい内容であるコンバージョンファクター(CF)に関するお話です。

 

熱式流量計は、流体の物性である比熱をその流量式に組み込んでいます。

その為、同じ質量流量計に分類されるコリオリ式流量計のように流体が何であるか?不明な状態では正確な流量測定ができない弱点があり、その意味で「限定した条件下での質量流量計です」というお話は何度かこのブログで触れています。

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「でも、流体種が特定できればCFによる換算で校正流体との感度比(=流量比)を補正できますよね?」というご意見があるかと思います。

確かにその為のCFなのですがが、実は基準ガスに対する各流体の感度比を表すCFは一つの流体に付き一つとは限らないのです。

流体の温度、圧力による物性の変化だけでなく、分流構造を採るマスフローのセンサー管と層流素子(バイパス)との分流比が、流量レンジと圧力条件との組み合わせで変動する影響と思われるものもあり、一つの流体でも複数のCF=マルチCFで管理せざるを得ないのが、マスフローの現状なのです。


この事を認識されているユーザーは、少ないかと思います。

マスフローに熟達した配管システム設計の方でも御存知でなかったり、ライトユーザーに至っては、メーカーの出していた一対一のCF表を鵜呑みにする(鵜呑みにしてしまっても仕方ないと思いますが・・・)ばかりであった為に、マスフローの指示する値と実ガス流量値への隔たりへの不信感だけが世の中に広がっていってしまいました。

Decoはこの状況を憂いていた人間の一人でした。

ただ、このパンドラの箱を開ける勇気がなかったのも事実です。

なぜならこの問題は、CFの信憑性という実ガス表記されたマスフローの示す流量のナーバスな部分をお話しする事であり、あまり事前知識がない方にご説明すると、マスフローという製品そのものへの不信感につながってしまうからです。

そこで、まずマスフローを理解いただく事が先だという事で、本連載を続けてきました。

263話を終え、そろそろこの物語のラスボスの一人であるこの問題に触れてもいいかな?と思いましたので、勇気をもって書いていきますね。

幸い強力な助っ人もいます。

 

現在、Decoの知る限りマルチCFに関して、積極的に情報発信し、ユーザーの啓蒙を計っているのはBronkhorst HIGH-TECH B.V.(以下ブロンコスト社)です。

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今回のシリーズでは、彼らがWEB上で世界に公開しているCF計算ツールであるFLUIDATⓇ on the Net”(以下FLUIDAT)を教材に、マルチCFが必要となる事例を挙げて、解説していこうと思いますので、宜しくお願いしますね。

 

あ・・・前もって言っておきますが、このシリーズでラスボスを倒すところまではいきませんので・・・倒せるのはやはり1001話目でしょうか?

 

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第238話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その8

もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌での連載は誌面構成の都合で今月号は休載となってます。次回は「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」2017年9月号(8/25発売予定)で連載37回として、マスフローコントローラ(MFC)のトラブルシューティングの解説<後編>となります。

液体用マスフローを用いた液体材料気化供給システムにコリオリ式マスフローを投入する事のメリットをご説明しましょう。
今までの液体用マスフローのセンサー方式の多くは熱するもの、冷やすものの差はあれ熱式です。
もう何度も見てきましたが、熱式流量計の流量式を再度見てみましょう。

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流量式に流体の物性である比熱を持つ、熱式流量計は、流体の物性が固定できて初めてマスフロー(質量流量計)となります。
それをある特定の流体との流量比で表したのが、いわゆるコンバージョンファクター(CF)というやつですね。
ガスマスフローの話でご説明しましたが、CFは1つの流体に1つではありません。
流体種により温度・圧力・流量レンジ(=マスフローの分流構造)で複数のCFがあるのが、今や常識となってきました。
「そういえば最近CFの話をメーカーから聞かなくなったなぁ・・・」
と思っておられるかもしれませんが、最新のマルチガスマルチレンジ、実ガス流量対応マスフローというのは、マルチCFを採用したマスフローの事を言い換えただけです。
最近のデジタルMFCは例えばフルスケール10SLMのマスフローの10%程度の低流量域と50%くらいの中流量、フルスケール近辺で異なるCFを持たせることが可能になってきたからです。
ただ、これはCFデータベースを整備することが前提になります。
どれだけマルチCFを入れ込めても、その値が適当では話になりませんから。

液体の場合、例えば水やエタノール等の場合はまだ良いのですが、半導体プロセスで使用されるような特殊な最新の液体材料の場合、そもそもこのデータベースが完備されているものは少ないのです。
メーカーも努力しているのですが、日進月歩の半導体プロセス材料に追いつけないのと、空気に触れると激しく燃える等、取り扱いが非常に難しい材料であり、重量法などで天秤を用いて測定するのが難しいこともあります。
また、ガロンタンクごとに器差がある場合もあり、これは保管場所の温度環境等にも左右されるナーバスな材料が多いからかもしれません。
その為、物性もよくわからないので、マスフローの特長である繰り返し性能重視で使われている事もあります。
ところが熱式の場合、前述のとおり流体の物性に左右される根本的な流量式の特性があるので、流量計としての繰り返し性能は維持できても、プロセスの再現性は維持できないという問題が生じ易いのです。

液体流量測定段階で不安要素を抱えながら、更に気化器で気化を行うことでチャンバーに導入する液体材料気化供給システムの場合、気化器の気化効率というもう一つのファクターが存在することになります。
液体マスフローと気化器、この2つのキーパーツにそれぞれ別の不安定要素を抱えていると、どちらの問題かを検証するのはなかなか難しいところがありませんか?

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ここで液体マスフローをコリオリ式に変えてもらえば、前述の熱式の不安要素は解消します。
なにせコリオリ式は流体の物性を問わず、仮に物性が変化したとしても、常に流体の質量流量を測定できる、言わば“流しながら測れる秤”なのですから。

これで気化器の気化効率の問題だけにフォーカスすることができますね?
これが液体材料気化供給システムにコリオリ式マスフローをお薦めする理由です。
しかもコリオリ式は分流構造の無い、SUSの単管を曲げただけの流路構成ですから、異物による分流比の変動が流量測定結果に影響したり、デットボリューム(液溜り)を形成する場所が無い点でも理想的だと言えます。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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