EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

センサーチューブ

真・MFC千夜一夜物語 第311話 MFCのボディは何でできているの?その3

【お知らせ】
今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

本来は5月の連休でEZ-Japan BLOGもお休みなのですが、今回は新型コロナウイルス(COVID-19)関連で、”ステイホーム"で自宅でPCから業務情報にアクセスされる方もおられるのではと思い、更新させていただく事にしました。
皆でこの困難な状況を乗り越えていきましょう!

・ハステロイC22
ハステロイ(HASTELLOY Haynes International, Inc®)は、ニッケルを主体とし、クロムやモリブデンなど様々な合金成分を添加することにより、耐食性および耐熱性を高めたニッケル合金です。

添加する成分の違いにより、ハステロイB、ハステロイC等の種類がありますが、半導体ではクロムやモリブデン等の含有量を増やしたハステロイC-22が使われることが多いですね。(下表)
第2表

 
これは高温下の機械的強度が高く、硫酸や硝酸、塩素などの酸化性雰囲気でも優れた耐久性を誇るという評価があるからです。
加工切削は大変難しく、非常に高価な材料ですが、溶接性は良好です。
その特性がメタルシールタイプ熱式センサーチューブのような部分的に高温となる部位の材料として選ばれる理由なのです。

200501_03

上図にあるように80~100℃に達する巻線方式熱センサーの流路は、ハロゲン系ガスラインなどで腐食を起こしやすい部位です。
また、メタルシール構造にするには、メタルOリング or CリングをSUS316L材のボディとセンサーベースで挟み込む必要があります。
センサーチューブをそのままメタルシールにする訳にはいかないので、どうしてもセンサーチューブとセンサーベースを溶接しなくてはいけなくなります。
その際、ニッケル合金ハステロイC22を異材溶接するにはTIGなどの手法が必要になります。

 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第243話 バイパスはトラブルの元なの? その2

今週は2回更新です。
所謂年末進行というか、セミコン進行というやつです。 



もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌
 201712号(11/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第40回は、“液体流量センサー”に関しての解説記事です。

171207_04
<出展:ブロンコスト・ジャパン(株)>

特集が“半導体プロセスにおける最近の液体極微小計測”となっており、Decoはそちらでもブロンコストのエヴァンジェリストとして、コリオリ式マスフローコントローラ(MFC)&マスフローメーター(MFM)と超音波式フローメーター、そして熱式MFMの記事も書いていますので、初の特殊記事連動した企画となっています。

つまり1冊で3度美味しい?状態なのです。

 

さて、マスフロー(MFC&MFMの総称)最大のトラブルは、センサーチューブとバイパス(層流素子)の分流比が何らかの原因で初期値より変化することにより発生することである、というお話です。

マスフローは一見問題ないように見えるのに、いつの間にか設定流量と制御流量がずれてしまっているというのは、恐ろしい現象ですね。

これは巻線型流量センサーを採用しているマスフローの大半が、流体全てを測定するのではなく、分流したある一部の流量を測定する分流構造をとっているから起きる現象で、全量測定タイプでは起きない現象なのです。(当然全量測定方式でも、異物付着の影響がゼロというわけではないので、念のため・・・)

 171207_02

 

  

例えばセンサーに異物が詰まった場合、これがセンサーチューブを閉塞させるようなものでしたら、マスフローの出力を見ていれば異常がわかります。


171207_01


完全にセンサーに流量が流れていなければ、当然センサーの出力は0に近い値になります。

ところが分流構造故にバイパス側には流れているわけで、「流量表示は0なのに、実は大量にガスが流れていた!」という問題が生じます。

MFMの場合は、「センサーがダメになってしまって測定できなくなった・・・」で済みますが、MFCでは大変なことになります。

このブログで何回もご説明してきましたが、センサーの流量信号(PV値)が0、設定信号(SV値)がなにがしかの値を入力されている場合、PVSVとなる訳ですから、MFCの制御系は比較→判断→制御の流れに沿って、バルブ電圧信号(MV値)を更に流量が流れる方向に制御してしまいます。

でも、センサーは詰まっていて、実際はどれだけ流量制御バルブを開いても、流量は流れないので、流量制御バルブは全開状態を保持することになってしまうのですね?

171207_03

故にそのバルブのKv値(Cv値)から割り出される最大流量がひたすら流れ続けるという事態になるのです。

怖いですね!


でもこのトラブルは、まだ目に見えます。

PVSVが不一致な状態はそれぞれの信号をモニターすればわかりますから、それをプロセスのタイミングに応じて上位制御系で判断してインターロックをかけるように保険を掛けることができるからです。

 

やはり怖いのはPV=SVなのに、実際の制御流量はずれている、という現象ですよね?

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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