
有名なのはTylan社、Brooks社、Unit社の製品でほとんどが米国系企業です。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです
前回はマスフローコントローラー(MFC)の応答性に関する定義をご説明しました。
比較する物差しが同じでないと意味がありませんからね。
それでなくてもMFCの応答性というスペックは、色んな誤解を生じてきたのです。
今でも顧客さんとお話ししていると言われるのが、「このMFCはピエゾアクチュエーターを積んでいるから、応答が速いですよね?」という認識です。
これは×ではありませんが、必ずしも〇ではりません。
MFCの応答性を構成している要素を下図に示します。
上流/下流で対になった流量センサーの配置された細いパイプへ分流された流体が流れ込み、上流の熱が下流へ移動をします。
その量をブリッジ回路で取り出して流量へ換算します。
換算するというのは、温度補正や直線性などの各種補正も入るという事です。
最近のデジタルMFCではセンサーからの微細なアナログ出力をADコンバーターでデジタル信号へ変換してから行われます。
こうして流量信号(PV)として出力された信号は、制御回路にある調整計(PID制御回路等)で外部からの流量設定信号(SV)と比較・判断され、SV=PVとなるように、バルブ操作量(MV)が決定し、アクチュエーターに向かって指示されるのです。
ここまでお話ししてくるとお判りいただけるのですが、アクチュエーターの応答性の勝負はこの最後のMV値が設定・可変されてからなのです。(一番上の図で赤い点線で示した部分)
故にMFCの応答性能はアクチュエーターへの依存は少ないことがわかりますね?
たしかに単体比較ならば、ピエゾアクチュエーターはソレノイドより速いのですが、MFCの応答性を問うならば、当然MFCというパッケージで考えないといけないという事なのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年9
月号(8/25発売)では、マスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の流量校正に関する解説です。
本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。
さて、今回からブロンコスト・ハイテック(Bronkhorst High-Tech B.V. 以下ブロンコスト)の防爆用=危険場所用マスフロー(MFCとMFMの略語)のEX-FLOWシリーズを国内本質安全防爆で(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールの拡張機能であるPIDコントローラを用い、防爆仕様MFCとしての運用を解説しますね。
のっけから恐縮なのですが、本質安全防爆構造TIIS (Technology Institution of Industrial
Safety)認証(正確には“TIIS国際規格に整合した技術指針及び技術基準認証”)MFCは、残念ながら一体型のパッケージでのMFCとしては存在していません・・・
現在、ブロンコストがラインナップしているのはATEX本質安全防爆構造のものだけなんですね。(写真)
<EX-FLOW MFCタイプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>
なーんだ、とおっしゃらずに続きをお読みください。
これは多分に流量コントロールバルブに使用されるソレノイドアクチュエーターにその原因があります。
今回はまず、ATEX本質安全防爆構造のMFCを解説し、その後の連載でTIIS認証本質安全防爆MFMをMFCとして流量制御を行わせるにはどうしたらよいかを説明していきたいと思います。
ATEX本質安全防爆構造MFC
ブロンコストのラインナップで一番特異なマスフローが危険場所での使用に対応した“EX-FLOWシリーズ”です。
TIIS認証国内本質安全防爆に対応したMFMを初めて世に送り出したのが、他ならぬオランダのメーカーであるブロンコストであった事からもわかる通り、「マスフローの日本国内規格に合わせた防爆規格取得」というニッチで特異な分野への挑戦を絶やさないメーカーさんです。
「利益の8割は、市場の2割で稼いでいるのだから、残りの市場に注力する必要は無い」とか、「選択と集中」等という言葉で経営を行っているメーカーなら、まず手を出さない分野です。
こういったニッチビジネスを重視していくのが、流量計・マスフローという決して杯の大きくない市場で生きてきたホンモノのメーカーが取る戦略だとDecoは思うのです。
だから、流量計・マスフローメーカーには中小企業が多いのかもしれませんね?
EX-FLOWのMFCタイプに搭載されているコントロールバルブは、MFMと一体型(=MFC)としても、独立型(コントロールバルブユニット)としても供給が可能です。
このコントロールバルブユニットはMFCとしては一般的なソレノイドアクチュエーターを用いた比例電磁弁構造であり、高速応答はもちろんのこと、リフト量の大きな大流量制御に適したものです。
<コントロールバルブ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>
ブロンコストでは用途に応じて、上の写真にあるように左から標準的な直動型、定格圧40MPa、70MPaといった高圧条件で最大差圧40MPa(d)に対応できる“Vary-P”バルブ、大流量向けのパイロットバルブ型を選択可能です。
本来コントロールバルブユニットは機械部品で構成されています。
電流を流すことで磁力を発生させ、バルブ開度を制御するソレノイドアクチュエーターのコイル部分のみが電気部品なので、危険場所で使用するに当たっては、防爆構造でなくてはならない箇所です。
これらのコントロールバルブは、防爆構造に対応する為にATEX防爆認定品のコイルを備えておりXBコイルとXCコイルの2つの選択肢があるのです。(下図)
次回に続く
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan