EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

デジタル

真・MFC千夜一夜物語 第286話 フィールドバスvs産業用イーサーネットvsマスフロー! その1

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20197月号(6/25発売)ではマスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)が属する質量流量計の解説から離れまして、それ以外の各種流量計(体積流量計)を取り上げて解説を行っています。

 

さて今回からマスフロー(MFCMFMの総称)のデジタル通信に関して解説しましょう。

デジタルマスフローの通信に関しての解説は既に何度か行っています。
20138月の第101で 
“考えてみれば世の中が急速にネットワークとの親和性を高めている現代、「MFCもデバイスレベルにこだわらず、コントローラーレベルのEtheretGiga Bit Etheretクラス)でいいのではないのか?」という声を聞くこともあります。

変革に対しても敏感でないいけないのかもしれません。

そういった意味でデジタルMFCの今後の動向に注目ですね。

と、Decoは語ったのですが、そこからほぼ6年が経過して、フィールドバスと産業用インターネットの市場シェアは大きく変動してきています。
その動きの中で、マスフローは今後どうあるべきなのか?を考える為にも改めて解説をしていきましょう?

 

3年前、オランダのブロンコスト社(Bronkhorst HIGH-TECH B.V.のトレーニングに出席した際に、現在出荷されるマスフローのアナログ/デジタル比率をインタビューしたところ
“デジタルに決まっているだろう?”との回答でした。
改めて「日本向けではどうか?」と尋ねると、ニヤリと笑って、
”日本はまだまだアナログが多いね。なぜなんだい?“ と、逆に質問を受ました。

海外、特にEU圏では、もうアナログマスフローの市場は無いというのが彼らからの意見でした。
それはDecoにとってかなりショッキングな出来事でして・・・

 

ここでデジタルマスフローに関して振り返りましょう。
本来マスフローが最初に世に出た1970年代のI/OInput / Outputの略)はアナログ信号で、内部のPID制御回路もアナログでした。
マスフローが誕生した頃には、事実上アナログ信号での制御系しか存在していなかったのです。I/Oで使用されるアナログ信号に関しても、半導体製造装置分野では、電圧信号の0-5VDCが主流でした。
それに対して計装業界を中心に「ノイズ耐性から考えて、電流信号4-20mAにすべきでは?」という動きがあったのですが、マスフローメーカーのメインマーケットが半導体製造装置向けで、ケーブルの引き回しもほとんどが10m以下であった為、必要性は無いという考えが大勢を占め、0-5VDCがマスフローのI/Oの標準と思われてきました。

デジタル制御化されたマスフローは日本では1990年に販売開始されましたた。
その画期的な第一世代デジタルマスフローで提唱されたのは、デジタルPID制御を行い、デジタル通信I/Oを備えたマスフローです。

デジタルマスフローは、デジタルPID制御により応答性と精度性能の改善がめざましく、特にマルチPID定数による低設定時の応答性能向上はスループット向上を求められるプロセスでは注目を集めました。
それに加え、今までのアナログ信号で行ってきたマスフローとの信号のやり取りを、PCとダイレクトにRS232C通信を介して行うことが可能になる画期的な技術革新も盛り込まれていたのです。
それまでは製造装置側で信号をD/AA/D変換して制御を行っていたのですが、これでダイレクトに装置のPLCMFCがデジタル通信できる利点が生まれました。

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ただ、ユーザーサイドに立ち返ってみると、当時はまだパソコンも今ほど一般的ではなく、どちらかというとまだマニアのものであり、それを駆使してマスフローを活用するというのは、なかなか敷居の高いものでした。
研究機関の実験用や、マスフローに詳しい設備担当の方が、デジタル通信を活かした独自開発のマスフロー管理システムを構築して、運用していた例(下図)はあります。
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が、マスフローメーカーの主力販売対象である半導体装置メーカー等は基本的に依然としてアナログマスフローが使用していました。

装置メーカーで本格的にデジタルマスフローを採用されるには、次世代デジタルマスフロー=DeviceNetTMなどのフィールドバス(Fieldbus)対応モデルが登場するまで待つ必要があったのです。

注記)DeviceNetTM ODVAOpen DeviceNet Vendor Association)の登録商標です。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

DDDシリーズにニューバージョンが追加されました!

今回のEZ-Japan ここでもうひと押し!は、京都府京田辺市/八幡市にあるotal ystem actory(代表 奥西泰男さん 以下T.S.F.と略記)の新製品 ポータブル加湿ユニットDDDシリーズのニューバージョンをご紹介します。


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 T.S.F.は関西を拠点に長年培ってきたガス制御装置(ガス混合装置・定流量装置・炉体用雰囲気ガス制御装置) 、ガス加湿装置(定露点発生装置・ガスバブリングユニット) 、ガス露点測定装置・水循環ユニット・実験室、研究室の専用ユニット設計・製作から、一品モノの特殊配管部品の製作までを請け負う流体制御一筋!のクラフトマンシップに溢れるユニークな存在です。

そのT.S.F.のラインアップ、ポータブル加湿ユニットDDDシリーズに外部制御機能を搭載した新バージョンが追加されましたので、ご紹介しましょう。

 加湿ユニットとは、簡単に説明すると水を充填したタンクを一定に昇温し、そこに流量制御したドライガスを微細なバブル化してくぐらせることで、あるレベルに加湿したガスを安定供給するユニットです。
本来、加湿ユニットは、ヒーターを巻き付けたタンク、ガス制御ユニット(MFCやフロート式流量計)、ヒーター制御ユニット、バブラー(気泡化)ユニット と、それらを接続する配管に別れており、据え付け工事が終わったら、それなりのサイズで持ち運んだりすることは難しい性質のものでした。
DDD
シリーズは、実験室等での取り回しの良い卓上加湿ユニットの開発を目標に、最新の技術を投入して各ユニット単位での小型化に成功、更に今まで育んできた配管施工技術でW:250mm ×H:170mm ×D:200mm(継手部除く)の筐体に全てを収納することを可能にしています。
加湿ユニットの肝であるT.S.F.オリジナルのバブラー&タンク構造は実績のある先発機種と同構造であり、流量制御にはマスフローコントローラー(MFCを採用して、フロート式流量計やニードルバルブでは難しかった温度・圧力変動影響を受けにくい高い安定性と簡単操作を両立。

パネル操作系はコンパクトなMFC用表示設定器一体型電源を採用することで大幅な制御系のダウンサイジングを可能にしています。

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今回はそれに加え、外部からのガス流量&バブラー温度の制御が可能になっています。

RS485通信対応MFCの搭載により、デジタル通信で外部からガス流量制御を行うことも可能になりました。

側面パネルにはデジタル通信用モジュラージャックが追加されています。

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立ち上げ時にパネル面にある流量調整ボリュームを使って何点か条件出しをした後、遠隔操作でその複数の設定信号を条件に応じて切り替えて操作するといった流れに対応できます。
逆にソフトのエラー等で通信トラブルが生じた場合や、突発的にシステムを再起動しなくてはならない場合には、前面パネル側へ制御の優先権を戻してやって、操作することも可能です。
もちろん前面パネルで操作している間に、デジタル通信で流量のログをとる事も可能になります。

バブラーの温調系も外部からの制御に対応できるよう、前面にヒーター電源と熱電対用の端子台を装備しています。

 

流体制御一筋!T.S.F.の新製品 ポータブル加湿ユニットDDDシリーズのニューバージョンをご紹介させて頂きました。 


お問い合わせはEZ-Japan Decoまで!

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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