EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

デジタル通信

FLOW-BUSを使ったデジタル通信のご提案

マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM、MFC&MFMの総称をマスフローとします)をアナログ信号で制御信号を送ったり、流量信号を取り込むというやり取りは日本ではまだ根強いのですが、EUではほとんど使われなくなっているそうです。

数年前、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech)のオランダ人エンジニアが不思議な顔をして、「日本はなんでまだアナログ信号を使ているんだい?」と尋ねてきた事があります。
確かにやり取りできる情報の質と量、記録に残したり、共有しやすさ、配線の簡略化を考えたらマスフローと直接デジタルで通信する方がメリットが多いのは確かさです。
わざわざアナログで送った信号も最終的にAD変換して、PLC等で制御していたりする場合も多いのですから・・・
まして日本で主流の電圧信号0-5VDCはノイズに弱く、伝送距離も稼げません。
せめて電流信号4-20mAにしたほうがいいのではと、Decoは昔から思っていましたが、なかなか日本という国には前例重視というか、保守的な層が多い為に実績がある0-5VDCからの移行は難しかったのです。

ただ、MFCのメインマーケットである半導体製造装置向けで変化が起こり、300mmウエハー装置でAMAT社の装置でフィールドバスであるDeviceNetが採用された辺りから、確実に風向きは変わりつつあります。
若い世代の研究者間では、デジタルが当たり前になりつつあり、昔ながらのLEDの表示器やボリュームタイプの設定器が徐々に需要が減っていきつつあるのが現状です。

そんな訳で今からデジタル通信に入門したい方には、ブロンコストオリジナルのフィールドバス”FLOW-BUS"がお薦めです。
ブロンコストは早くから自社開発のRS485ベースのフィールドバス”FLOW-BUS”を製品に搭載してきました。
シンプルな機器構成とブロンコスト提供する数々のアプリを使って快適にマスフローのデジタル通信化ができるようになっています。

中にはこのFLOW-BUSをLabVIEW​と組み合わせて研究に使うMFCをPCから制御しログを取るような仕組みを導入されたお客様もおられます。
また、既存のアナログで制御している装置に、デジタル通信を追加して、通常時はログを取るサブシステムとして運用し、非常時に装置本体がダウンしてPLCからの指示が届かない場合は、こちらからMFCを制御するようなシステムをご依頼いただいたこともあります。

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上の図のようにPCでモニタリングをしながら、通常の流量制御はPLCでアナログ信号で行うというシステム例です。
デジタルコマンドで制御の優先をデジタル(PC)側に切り替えれば、全てのFLOW-BUSのコマンドを使った制御が可能です。
全てPCから制御するのは怖いと言った世代は、こういったハイブリットシステムで対応するのも手ですね?
EZ-Japanまでご相談ください。

EZ-Japan MFCニュース by Deco

真・MFC千夜一夜物語 第286話 フィールドバスvs産業用イーサーネットvsマスフロー! その1

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20197月号(6/25発売)ではマスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)が属する質量流量計の解説から離れまして、それ以外の各種流量計(体積流量計)を取り上げて解説を行っています。

 

さて今回からマスフロー(MFCMFMの総称)のデジタル通信に関して解説しましょう。

デジタルマスフローの通信に関しての解説は既に何度か行っています。
20138月の第101で 
“考えてみれば世の中が急速にネットワークとの親和性を高めている現代、「MFCもデバイスレベルにこだわらず、コントローラーレベルのEtheretGiga Bit Etheretクラス)でいいのではないのか?」という声を聞くこともあります。

変革に対しても敏感でないいけないのかもしれません。

そういった意味でデジタルMFCの今後の動向に注目ですね。

と、Decoは語ったのですが、そこからほぼ6年が経過して、フィールドバスと産業用インターネットの市場シェアは大きく変動してきています。
その動きの中で、マスフローは今後どうあるべきなのか?を考える為にも改めて解説をしていきましょう?

 

3年前、オランダのブロンコスト社(Bronkhorst HIGH-TECH B.V.のトレーニングに出席した際に、現在出荷されるマスフローのアナログ/デジタル比率をインタビューしたところ
“デジタルに決まっているだろう?”との回答でした。
改めて「日本向けではどうか?」と尋ねると、ニヤリと笑って、
”日本はまだまだアナログが多いね。なぜなんだい?“ と、逆に質問を受ました。

海外、特にEU圏では、もうアナログマスフローの市場は無いというのが彼らからの意見でした。
それはDecoにとってかなりショッキングな出来事でして・・・

 

ここでデジタルマスフローに関して振り返りましょう。
本来マスフローが最初に世に出た1970年代のI/OInput / Outputの略)はアナログ信号で、内部のPID制御回路もアナログでした。
マスフローが誕生した頃には、事実上アナログ信号での制御系しか存在していなかったのです。I/Oで使用されるアナログ信号に関しても、半導体製造装置分野では、電圧信号の0-5VDCが主流でした。
それに対して計装業界を中心に「ノイズ耐性から考えて、電流信号4-20mAにすべきでは?」という動きがあったのですが、マスフローメーカーのメインマーケットが半導体製造装置向けで、ケーブルの引き回しもほとんどが10m以下であった為、必要性は無いという考えが大勢を占め、0-5VDCがマスフローのI/Oの標準と思われてきました。

デジタル制御化されたマスフローは日本では1990年に販売開始されましたた。
その画期的な第一世代デジタルマスフローで提唱されたのは、デジタルPID制御を行い、デジタル通信I/Oを備えたマスフローです。

デジタルマスフローは、デジタルPID制御により応答性と精度性能の改善がめざましく、特にマルチPID定数による低設定時の応答性能向上はスループット向上を求められるプロセスでは注目を集めました。
それに加え、今までのアナログ信号で行ってきたマスフローとの信号のやり取りを、PCとダイレクトにRS232C通信を介して行うことが可能になる画期的な技術革新も盛り込まれていたのです。
それまでは製造装置側で信号をD/AA/D変換して制御を行っていたのですが、これでダイレクトに装置のPLCMFCがデジタル通信できる利点が生まれました。

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ただ、ユーザーサイドに立ち返ってみると、当時はまだパソコンも今ほど一般的ではなく、どちらかというとまだマニアのものであり、それを駆使してマスフローを活用するというのは、なかなか敷居の高いものでした。
研究機関の実験用や、マスフローに詳しい設備担当の方が、デジタル通信を活かした独自開発のマスフロー管理システムを構築して、運用していた例(下図)はあります。
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が、マスフローメーカーの主力販売対象である半導体装置メーカー等は基本的に依然としてアナログマスフローが使用していました。

装置メーカーで本格的にデジタルマスフローを採用されるには、次世代デジタルマスフロー=DeviceNetTMなどのフィールドバス(Fieldbus)対応モデルが登場するまで待つ必要があったのです。

注記)DeviceNetTM ODVAOpen DeviceNet Vendor Association)の登録商標です。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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