EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

ピエゾ

真・MFC千夜一夜物語 第326話 MFCの応答性 その2

前回はマスフローコントローラー(MFCの応答性に関する定義をご説明しました。

比較する物差しが同じでないと意味がありませんからね。

それでなくてもMFCの応答性というスペックは、色んな誤解を生じてきたのです。

今でも顧客さんとお話ししていると言われるのが、「このMFCはピエゾアクチュエーターを積んでいるから、応答が速いですよね?」という認識です。

これは×ではありませんが、必ずしも〇ではりません。

MFCの応答性を構成している要素を下図に示します。

 

201020_01



 ここでは熱式流量センサーを搭載したMFCをモデルとしています。

上流/下流で対になった流量センサーの配置された細いパイプへ分流された流体が流れ込み、上流の熱が下流へ移動をします。

その量をブリッジ回路で取り出して流量へ換算します。

換算するというのは、温度補正や直線性などの各種補正も入るという事です。

最近のデジタルMFCではセンサーからの微細なアナログ出力をADコンバーターでデジタル信号へ変換してから行われます。

201020_02

こうして流量信号(PVとして出力された信号は、制御回路にある調整計(PID制御回路等)で外部からの流量設定信号(SVと比較・判断され、SV=PVとなるように、バルブ操作量(MV)が決定し、アクチュエーターに向かって指示されるのです。

 201020_03

 

 

ここまでお話ししてくるとお判りいただけるのですが、アクチュエーターの応答性の勝負はこの最後のMV値が設定・可変されてからなのです。(一番上の図で赤い点線で示した部分)


故に
MFCの応答性能はアクチュエーターへの依存は少ないことがわかりますね?

たしかに単体比較ならば、ピエゾアクチュエーターはソレノイドより速いのですが、MFCの応答性を問うならば、当然MFCというパッケージで考えないといけないという事なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

アクチュエーターの性能の違いが、MFCの決定的差ではないということを教えてやる!

MFC豆知識のコーナーです。

前回と違って、えらく長いタイトルですが、某ロボットアニメの赤い人のセリフ モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを教えてやる”のパロディです。

191129_01

よくこのMFCはピエゾだから応答が早いという話をされるお客様がおられますが・・・
間違いではないけど、正解でもありません。
確かに第1世代のサーマル(=熱膨張式)アクチュエーターと比較すれば早いでしょうが、そもそもMFCの応答性能はアクチュエーターの性能だけでは決まらないからです。

MFCとしての応答性能は下図のようなプロセスを経て、流量が制御されるまでの時間を表しています。

191129_02


この中で圧倒的に遅いのは、実は初段の部分=センサーでの熱移動の感知です。
そもそも熱というものは、そんなに素早く移動しません。
熱式流量計というものは、数ある流量センサーの中でも鈍いセンサーなのです。
例えば歪を捉える圧力センサーと比べたら10倍は遅いでしょうね。

「あっ!だから圧力式MFCの方が応答が早いんですね!」
というご意見も、あまり当たっていません。

MFCの応答性、それはPVを出力する流量センサー、SV=PVとなるよう比較・判断・操作する調整計、調整計からのMVで動く流量制御バルブ(アクチュエーターを含む)、この3つが積み上げた結果の値なのです。

MFC千夜一夜物語 第301夜からのお話は、この辺りをお話ししてみましょうか?
このお話の終着駅にある結論は、いささかとんでもないものになりそうなのですが・・・
下手するとMFC不要論にもなりかねない、マスフローマイスターが廃業しなくてはならないような怖いお話かもです。

お楽しみに!

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan



EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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