EZ-Japan BLOG since 2017

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

マスフロー

最近の若いマスフローの営業は・・・

はい、久しぶりのDecoの言いたい放題”マスフロー徒然日記”です。


Decoもデビューして二十数年、気が付くと「最近のマスフローの営業はたるんどるよ」等とジジイ臭い独り言を言ったりするようなったのですが、「一線から離れたロートルが、偉そうに何言ってんだかw」と笑い飛ばしておいてください。

先週末、知り合いと昔話をする機会がありまして、そこで思ったのですが、
「最近の若いマスフローの営業は・・・正直大変です。」

Decoが若いころは、マスフローのマの字もわからず、お客さんのところに飛び込んだものでした。
なにせ眠くなる質量流量だの、PID制御だの、WF6だの色んな知識をざーーっと座学しただけですから、お客様との会話はちんぷんかんぷんです。

「お前なんか、俺と話すのは10年早い!」

と怒鳴られて、しょぼくれて帰った記憶を思い出します。
(悪いのはDecoなんです。何もわからず液晶工場でWF6の話をしてしまったのですから・・・)

当時は半導体メーカー(エンドユーザー)には熱いハートの(こわい)技術さんが多くおられました。
各半導体工場の設備技術やプロセス技術には、

「俺を通さずに、この工場にMFCを採用してもらえると思うな!」

という、ゲームで言うところのボスキャラがおられたのです。

「俺の前でプレゼンを最後までやり遂げることができた奴は、今までほとんどいない。」

もう完全に脅しwを食らって、ビビりながら説明をしたこともありました。

でも、皆さん優しかったのです。
当時の半導体工場の技術さんは、皆さん多忙な毎日を送っておられました。
MFCメーカーの新人営業マンに、貴重な時間をさけるようなそんな暇な人は一人もいなかったはずなのに、皆さんDecoの拙い説明に付き合ってくださいました。
そして、ダメ出しをしてもらい、もう一度出直すことになるのですが、何度も繰り返した後である日・・

「少しはできるようになったじゃないか・・・」

と、ジャブローでアムロのガンダムと再戦したシャア大佐みたいなセリフをかけてくれたのです。
うれしかったですね。
よし、もっと頑張ろう!と、初回しょげて帰った道をルンルンで帰った記憶が今でも残っています。

Decoのデビューした時代は、お客様が先生になっていただける幸せな時代でした。
自社の社員だけでなく、業界の人間の底上げを真摯に考えて頂いていた諸先輩方がおられたからです。

でも、今の時代は違うとよく聞かされます。
半導体製造装置の技術も確立し、お客様もMFCそのものへの関心が低下しているこの時代に、時間を割いてよその会社の人材育成に手を貸すような人は少ないですし、ましてや社内外のハラスメントに対する対応や、コンプライアンスを強く求められる世の中なのです。

今の日本は「触らぬ神に祟りなし・・・」になっている気がします。

だから、
「最近の若いマスフローの営業は・・・正直大変です。」

身体を壊したこともあり、メーカーサイドでの貢献ができなくなったDecoなのですが、お世話になった業界に少しでも恩返しをしたくて、”MFC千夜一夜物語”という世にも珍しいマスフロー専門ブログを書き始めました。
次世代の人たちに少しでも役に立てばなぁ・・・と思っています。

「一線から離れたロートルはさっさと引っ込め!」
と、後進に言ってもらえる日が早く来ますように・・・

マスフロー徒然日記 by Deco EZ-Japan


新年のご挨拶&真・MFC千夜一夜物語 第267話 コンバージョンファクターは1つではない その4


2019年 亥年 新年あけましておめでとうございます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

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本年もマスフローコントローラ(MFC)&マスフローメーター(MFM)に関する記事を定期的にアップしていきたいと思っております。
どうぞ当ブログを宜しくお願いいたします。


2019
年一回目の更新は、真・MFC千夜一夜物語 で、ラスボスCFとの戦いの第4回目をお届けします。

 

CFへの流量レンジ影響

 第4回目ではマスフロー(MFC&MFMの総称)の流量レンジを変えることでのCFへの影響を確認してみましょう。

ブロンコスト社(Bronkhorst High-Tech B.V.で、流体をアルゴンガスの 大流量MFMモデルでF-113AC-1M0を選定して、このモデルの流量下限フルスケールのFS600SLMと、上限のFS2500SLMを選んでみました。
それぞれ空気換算すると400SLM1670SLMです。
ブロンコスト社で大流量モデルはコンプレッサーエアーが基準流体になります。
この流量レンジで純度の高い窒素ガスを校正用にドバドバとはは使いたくないですよね。
両レンジでCFが大きく変化しているのが下図でわかります。

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600SLMでのCF1.422100FS、ところが2500SLMでは1.562100FSです。
興味深いのは、FS2500SLMモデルの 250SLM10FSでのCF1.404であることです。600SLMモデルの同じ流量ポイントとなる250SLM41.7FSで計算するとやはり1.404なのです。
CF
の変化はアルゴンの流量レンジが大きくなるにつれ、1.4221.568と大きな値に変化していきます。

今度は流体を変えて水素で見てみましょう。(下図)
ここでまた不思議な現象が確認されます。

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水素ではアルゴンと逆の現象が起きるのです。
モデルの最小レンジであるFS400SLMでのCF0.9766100FS、これが最大レンジであるFS1400SLMでは、なんと0.8735100FSとなっています。
アルゴンとは逆に流量レンジが大きくなるにつれ、CF0.97660.8735と小さくなってしまうのです。

実はDecoはこのマルチCFの罠にしっかり嵌って、失敗をしたことがあります。
なまじっか経験が長い為に、“空気と水素のCFは、ほぼ近似していて1である。”というシングルCF時の知識で、「空気換算1670SLMF-113AC-1M0が作れるのだから水素も同じはず・・・」とFLUIDATで確認せずに顧客仕様を決めてしまったことがありました。
蓋を開けたら0.8735倍の1459SLMしか流れないわけで、平謝りして納入前に流量レンジをFS1400SLMに下げてもらったのです。
まさに“生兵法は怪我の元”ですね?お恥ずかしい限りです。

 

今回の比較で興味深いのは、アルゴンも水素も25FS程度の低流量域から100%FSまで大きくCFが曲がっていることです。
これは巻線式センサーで分流構造をとるマスフローにはつきまとう“分流比”の変動が要因と考えられます。
一般的な巻線型のマスフローで採用されている熱式センサーは、測定対象である流体を全量測っているわけではありません。
流量センサーに流れるのは510ml/min程度の流量であり、残りはすべて層流素子(バイパス)部を流れるように設計されています。
これはセンサー管内の流れを層流で維持する為であることは、今までの連載で何度か解説しましたね?

ここで問題になるのは、このセンサー管と層流素子の分流比率です。
その分流比率は、どんな場合でも一定にはならないのです。
高圧から真空(subatmosphericレベル)までの圧力条件、微小流量から大流量までの流量レンジで一定の分流比の維持は難しいのです。
また、ガス種により、アルゴン、二酸化炭素のような重いガス、水素のような軽いガスでは、自ずと校正に使用する基準ガスである窒素や空気とは異なってきてしまうのですね。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第266話 コンバージョンファクターは1つではない その3

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」 201812月号(11/26発売)では、マスフローのゼロシフトに対するゼロ調整に関して解説しています。

本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。

 

さて、本物語のラスボスの一つCFの信憑性”との戦いの最中です

前回はCFへの温度影響を確認しましたが、今回は圧力影響に関してです。

Bronkhorst HIGH-TECH B.V.(以下ブロンコスト)WEBで提供しているFLUIDATonthe Net”(以下FLUIDAT) を使って今度は、ガスをアルゴンにして解説しましょう。

 
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上図ではアルゴンガス、FS100SCCMMFM での比較です。
今回は圧力条件(流体の供給圧)での比較となります。
マスフローの一般的な構造を下図に示しますが、ここでいう圧力は流量センサー管にかかる圧力になるので、一次圧のことを言い、MFCの際の二次圧や差圧は関係ありません。

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*以前、UNIT社とそのフォロワーにあったMFC二次側に流量センサーを置く=流量制御バルブ→流量センサーという特異なレイアウトのMFCにとっては、ここは二次圧となるのですが、これではセンサー管内の圧力がプロセスで変動しやすくなり、あまり好ましくなかったのではないかとDecoは思っています。)


0.1MPa
条件と、選定したMFMの圧力定格最大値である10MPaで比較してみましょう。
結果は0.1MPa1.387100FSという、我々マスフロー業界の人間としては、CF表で馴染みのあるアルゴンのCF1.4に近い値となったのですが、10MPaだと1.181100FSという驚きの数値となるました。
更に高い圧力でのCF変化を調べるべく、モデルを変えて定格40MPaまで耐えられるEL-FLOW F-131Mを選んでみます。

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上図にあるように、40MPaでのCF0.9587100FSと、これはもうアルゴンのCFとは思えない値まで下がっています。
前回の温度変化の影響よりも、気体が圧縮されることで密度が変化する圧力変化影響が非常に大きいのが見て取れます。

 

 「これほど極端な高圧条件でマスフローを使わないので問題ない。」というユーザーが当然多いと思います。
因みにMFM F-111B-100の真空10kPaA)での値は1.391100FSでした。
0.5MPa
での値は1.378100FS 0.8MPa1.371100FSですから、例え高圧=1MPa未満であるからといって、CFへの圧力影響が皆無ではないことを、頭に入れておいてくださいね。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

Holland High Tech Pavilion Seminar (オランダ ハイテク セミナー)

本日はセミコン・ジャパン2018 2日目です。
ブログも号外です!
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今回のオランダハイテクパビリオン(東ホール1 1602)の参加企業の一員として、ブロンコスト・ジャパン(株)さんの企業紹介がありますので、セミコン会場にお越しになるようでしたら、是非ご来場ください。

Holland High Tech Pavilion Seminar (オランダ ハイテク セミナー)

開催時刻:12/13(木) 15:00 ~15:50
  
セミナー会場:Tech SPOT WEST 東ホール1

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Decoは所用で参加できませんが、ご来場の方はふるってご参加の程、宜しくお願いいたします。

EZ-Japan MFC ニュース by Deco

真・MFC千夜一夜物語 第265話 コンバージョンファクターは1つではない その2


もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 201812月号(11/26発売)では、マスフローのゼロシフトに対するゼロ調整に関して解説しています。

本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。

 

さて、本物語のラスボスの一つがやっと現れたのですが、CFというものがどれくらい厄介で一筋縄ではいかないのか?をご理解いただくのに、何個か例を挙げて解説しましょう。

以下はおなじみの熱式流量センサーの一般例と流量式です。


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熱式流量計の流量式にはCp=流体の定圧比熱というファクターが含まれています。

気体を測定対象とする場合、圧力条件のよるエンタルピーの変化量が大きい為に定圧比熱を用います。

何度もお話ししてきましたが、熱式流量計を質量流量計として機能させるためには、流体種を固定する必要があります。

それは定圧比熱を正確に求めないといけないからなのです。

 

窒素の定圧比熱は1気圧=1013hPaA)条件の場合、0℃で1043J/kg℃であり、50℃でも同値です。

それに対して
水素(0℃:14193J/kg℃→50℃:14403 J/kg)
二酸化炭素(0℃:829J/kg℃→50℃:875 J/kg)
アンモニア(0℃:2144J/kg℃→50℃:2181 J/kg)
メタン(0℃:2181J/kg℃→50℃:2303 J/kg)
このように大きなもので5%を超えるガスもあります。

 

では、早速、ブロンコストさんがWEBで提供している“FLUIDATonthe Net”(以下FLUIDAT)を使って、二酸化炭素の0℃と50℃条件でのCF計算を行い、結果を比較してみよう。


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FLUIDATの操作は簡単で、実ガス“Fluid from”に二酸化炭素=CO2を、校正基準とする流体として“Fluid to”で窒素=N2を選択し、各々の条件を入れます。
フルスケール流量(以下FS)100SCCMなのでMFM F-111B-100を選定します。

二酸化炭素の流体温度を0℃と50℃、窒素の流体温度は20℃固定として、その流量をSCCMmln/minNormal:ノルマル)、すなわち 0℃ 1013hPa(A)の体積流量に換算し表記しています。

CF0℃で0.7685100%FSですが、50℃では0.7301100FSまで変化しています。

 

窒素、FS100SCCM仕様のMFMで二酸化炭素を流して測定する際に、指示値が100SCCMであっても、流体温度が0℃なら76.85SCCM50℃なら73.01SCCM、実際は流れているということになるのです。
FS100SCCM
に対して3.84SCCMの差は大きいですね?

「マスフローメーカーのカタログ仕様を比較して、繰り返し性や精度に関しての議論をしている場合ではない!」と思えてきます。

このようなガスは、流量センサーでの温度差ΔT/定圧比熱Cpという流量式に対し、更に流体温度による補正が必要になります。

 

FLUIDATではデータ不足か?CF計算ができなかったのですが、温度でCFが劇的に変化するガスの代表はフッ酸(HFです。

筆者の経験では常温から100℃の間で、なんと!0.33から1.00まで変化します。

「ちょっと待ってよ!」と言いたくなる差ですね。

その腐食性の強さがクローズアップされるフッ酸ですが、それ以上に熱式流量センサーを搭載するマスフローの天敵といってもいい流体な理由はこれです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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