EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

マスフローメータ

マスフロー千夜一夜物語を紹介頂きました

今日はDecoがうれしかったことを書かせて頂きます。

一般社団法人半導体産業人協会さんの会報”Encore” No.123(2024年1月)に(株)堀場エステック フェロー(元副社長)理学博士 原清明 さんが”マスフローコントローラの技術的発展と動向”を寄稿されたのですが、その中で日本工業種出版(株) ”計測技術”誌上で連載してます”マスフロー千夜一夜物語”をご紹介頂きました!

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計測技術誌 出典:日本工業出版(株)

原さんと言えば、Decoがマスフローの営業としてデビューした頃には、既に業界の雲の上の方のイメージの方でして、当時(株)リンテックの小野弘文社長(現会長)さんから紹介頂き、お会いした時は大変緊張したものでした。
今の業界の若い方にはわかりにくいかもしれませんが、当時の業界には「俺が誰か知らないのか!」的な強面な方が多かったものですから・・・
ところが原さんは紳士的で丁重かつ気さくに駆け出しの若造に声をかけて頂いた記憶があります。
以後、Decoは競合会社の営業の立場でいる事が多かったにもかかわらず、お会いすると必ず声をかけて頂いてました。
昨年のセミコンジャパン2023でお目にかかった際に「マスフローの寄稿文を書いているんだよ。」とおっしゃっていて、「貴方の連載を参考にさせてもらうから。」と!
まさか業界の重鎮からそんな事を言って頂けるとは思わず、驚いて「いやいや、そんな畏れ多いです!」と声を大きくしてしまいましたが、文中でここまで取り上げて紹介頂けるとは感激の極みです。

業界の大先輩も読んで頂いているのだし、ますます頑張って書き続けねばという気持ちと、もっと”書く”というスキルを上げていかねば!という決意を新たにしました。

原さん、ほんとうにありがとうございます。
先達の皆さんが築いてこられたマスフローコントローラという工業製品のお話を、これからも書き連ねて次世代に語り継いでいこうと思っております。

EZ-Japan Decoこと 黒田 誠




真・MFC千夜一夜物語 第277話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その9

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」 20194月号(3/25発売)ではマスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータに異物が混入した際のトラブルシュートを解説しています。

 

今回からは「特殊高圧ガス」のお話です。

特殊高圧ガスは、一般的な高圧ガスよりも危険性が高いガスです。

 

モノシラン(SiH4)

ジシラン(Si2H6)

アルシン(AsH3)

ホスフィン(PH3)

ジボラン(B2H6)

モノゲルマン(GeH4)

セレン化水素(H2Se)

 

以上7種が特殊高圧ガスという名称で、半導体製造ガスでよく用いられる39種の「特殊材料ガス」の中でも使用頻度が高く危険なで、それぞれが広範囲の爆発範囲をだったり、自然発火性や分解爆発性のような可燃性、限界濃度が極めて低い毒性を持っていることから、これらの販売、移動、消費に当たっては特別な規制が設けられています。

マスフローでは、保証しているリークレートがHeリークディテクタの測定限界以下であるメタルシールモデルが推奨されます。
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メタルシールMFC【出展:ブロンコスト・ジャパン(株)】
 

爆発範囲に関しては水素の解説で少し触れましたが、水素が4.075vol(空気)なのに対して、ホスフィン1.3298vol%、モノシラン1.37100vol%、ジシランに至っては0.5100vol%です。

この3種は、常温の大気に触れることにより発火します。
これらのガスは、そのリークを止めない限り、消火器で消し止められたように見えても、それは支燃性ガスである空気(酸素)を遮断しただけで、再度空気に触れれば燃え続ける性質を持っており大変危険です。

更に分解爆発性を持つモノゲルマンは、支燃性ガスを必要とせずに、可燃性ガスのみで発火元があれば燃え上がり爆発する大変危険なガスなのです。

余談ですが、特殊高圧ガスではなくても、分解爆発性で有名なガスにアセチレン(C2H2)があります。
アセチレンは可燃性ガスの中でも非常に高温で燃焼するので、金属の溶接・溶断加工に適しています。
また、フレーム原子吸光分光計のような分析装置や、ダイヤモンド薄膜製造装置等にも使用されています。
液化ガスとして容器(ボンベ)に詰めたアセチレンは容易に爆発事故を起こしてしまうので、現在ではアセトン等に溶解させて容器に充填して使用されています。(アセチレンボンベは茶色い容器の為、一目で識別できます。)
このような分解爆発性に関しては、各種ガスで実験検証が行われており、モノシラン、アルシン、ジシラン、ホスフィン、ジボラン、セレン化水素に関しては分解爆発がないことを確認されていますが、それで安心してはいけません。
分解反応で生成する熱量が大きいガスはその結果、容器内圧力が急上昇することになり、容器の破壊圧を超えることで破裂事故が生じるからです。
定められた充填量を守り、火災により容器周辺温度が上昇しないように火気には十分注意しなくてはなりません。

 

次回は特殊高圧ガスの代表として、モノシランを取り上げて、このガスが引き起こした悲惨な事故事例を紐解いてみましょう。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第275話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その7


もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20194月号(3/25発売)ではマスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータに異物が混入した際のトラブルシュートを解説しています。

 

アンモニア(NH3)

アンモニアは可燃性、有毒ガスですが、半導体製造装置、窒化炉、発電設備、脱硝装置、石油精製装置の防食、イオンエッチングプロセスなど各種工業用途で広く用いられています。

ボンベの色は白色と決められています。

アンモニアは20℃での蒸気圧が0.857MPaの液化ガスです。
液化ガスと通常ガスとの大きな差は、液化の字のごとく液化ガスボンベには圧縮した液体と化したアンモニアが封入されていて、それがボンベ内で気化したガスを供給する仕組みであることです。(下図)


第5図

 

  ボンベに充填された液体アンモニアが内部で気化して気体となった際に得られる圧力は、常温で0.8MPaあればいいところです。

しかも液体アンモニアの蒸発潜熱は1268 KJ/Kg0℃、1013hPa)も必要である為、アンモニアを大量にボンベから払い出そうとすると、ボンベが熱を奪われてしまい、急激に温度が下がることで、ガスの供給圧力を失ってしまうのです。
例えばアンモニアをMFC下流側に0.2MPaの背圧が立つ条件で500L/min[N]流量制御したい場合、通常のMFCだと最低でもMFCへの供給圧は0.5MPa程の圧力をとってやる必要があります。
MFC
での圧力損失=ΔP0.3MPa必要になります。
これはあくまでMFCの入口/出口部での差圧ですから、ボンベからチャンバーまでの配管経路にある他の配管部品、バルブやフィルター、そして配管の曲がり等により生じる圧力損失を考慮すると、アンモニアボンベからの供給圧はさらに高く維持しなくてはならなくなってしまいます。

供給圧を上げるには、液化ガスである限り温度を上げて蒸気圧を稼ぐしか術はありません。
手っ取り早い話、ボンベの温度を上げればいいのですが、高圧ガス保安法では可燃性ガスのボンベを火や電気で直接温める行為が禁じられているので、間接的な手法である湯煎しか方法はないのです。
案外、このことを知らずにアンモニアボンベを市販の非可燃性ガス専用ボンベーヒーター(マントルヒーターやシリコンラバーヒーター)を用いている現場があるかもしれませんが、法律の順守を意識して下さいね。
確かに湯煎は設備も大掛かりになり大変であり、そういった意味ではできるだけ低い圧力でアンモニアを供給したいのが本音です。

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【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

ここで紹介するブロンコスト社のMFC MASS-STREAM D-6371は、先ほどの二次圧0.2MPaの条件に対して、なんと一次圧は0.2386MPa500L/min[N]のアンモニア流量制御ができる低圧損大流量MFCです。

MFCの圧力損失はわずか38.6kPa(d)
まさにアンモニアのような液化ガスを大流量制御するためにあるようなMFCです。

なぜこのMFCはこんなに低圧損で大流量制御が可能なのか?それは流量センサー構造の差です。

以前の記事でも取り上げたので記憶している方も多いかもしれませんが、MASS-STREAMシリーズの流量センサーは、インサーションタイプなのです。

詳しい解説は次回・・・


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第273話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その5

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」 20193月号(2/25発売)では、マスフローコントローラ(MFC)の流量制御バルブのアクチュエーターとしてソレノイドを搭載したMFCの使用上の留意点を解説しています。

 

ヘリウム(He)

 

ヘリウムは宇宙では水素の次に多い元素です。
ですが、地球の大気には1m3にわずか5mLしか存在していません。
最近、ヘリウムの値上がりが激しく、北アメリカとアフリカにあるヘリウムプラントは引っ張りだこでのようです。

水素の次に小さく軽いガスであるヘリウムは、水素のような爆発の危険性を有しないことから、水素代替として用いられることがあります。
1937
56日飛行船ヒンデンブルグ号が飛行中に外装塗装面に生じた静電気を、着陸時に上手くアーシングできずに内部の水素ガスに引火し大爆発を起こした事件があります。
(同世代以上の方には、あのLed Zeppelinのファーストアルバムのジャケット絵で有名でしょう)

この事件以後、飛行船の浮遊に用いるガスはヘリウムとなりました。(本来はヒンデンブルグ号もヘリウム仕様だったのですが、アメリカが法律で不燃性のヘリウムガスの輸出を禁止していたため、やむなく水素ガスを使用していた、という説もあります。)

リーマンショック前は首都圏の空の広告塔として優雅に浮かぶ飛行船を見かけることがありましたが、最近はその機会も減りました。
世界的なヘリウムの値上がりが原因の一つかもしれませんね・・・

 

ヘリウムをマスフローで使用する際の注意点は、前回の水素と同じです。
その小さく軽い性質から、リークに関しては細心の注意が必要です。
また、MFCのバルブにとっては油断のならないガスである事も同じです。
ただ、水素と異なりコンバージョンファクター(CF)は1.4近辺ですから、流量センサーにとっても、バルブにとっても流れやすい傾向ですので、まだMFCとしては作りやすいかなと思います。
この辺りが、次回ご紹介するアルゴン(Ar)とはえらい違いなのですよ・・・


少しガスの話から離れますが、液体MFCでよく使われる技術なのでここで紹介しておきます。
ヘリウムはよく液体の圧送用に用いられます。
液体供給は気体と異なり、上流の液タンクにガスで圧力をかけて押し出す圧送が主です。
本来、液体を加圧して送る為には、後段での気泡発生を避けるために、その液体に溶け込みにくいガスを選定します。
圧送する気体圧力が倍になれば、溶け込む量も倍になるので、神経質にならざるを得ないのですが、だからといって液体に全く溶け込まないガスは存在しませんので、結局気泡は出てしまうのです。
そこで思いつかれたのが脱気装置(デガッサー)による気泡抜きです。
溶け込んだ気体を途中で脱気するには特別な仕組みが必要になります。(下図)

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図中のスパイラル状の配管材質は、金属管のように分子間距離が近くて気体がすり抜けられないものではなく、気体がある程度すり抜けていくフッ素樹脂製の管を選ぶのがコツです。
それを気密性高い真空チャンバーに入れ、チャンバー内をポンプで真空引きします。
そうすることでフッ素樹脂配管の内外で圧力差が生じ液体に溶け込んだ気泡を引き抜く事ができるシステムです。
この場合は、前述の逆で溶け込みやすさよりも、フッ素樹脂をすり抜けやすい小さな元素を用いたいので、自ずから安全面で問題がある水素を省き、ヘリウムが選ばれます。

 

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 【高圧対応デガッサー出典:(株)タテヤマ製作所】
 

写真の()タテヤマ製作所高圧対応デガッサーTDG-10-3-I は、テフロンAFを使用した1MPaまでの高圧圧送に使用できます。

当然圧送圧が高いほど溶け込み量は多くなりますが、デガッサーでの脱気効率も圧力勾配が大きくなると高くなるので、なかなか他のデガッサーでは対応できない注目の製品です。

 

気になった方は、Decoまでお問い合わせください。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第272話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その4

 もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」 20193月号(2/25発売)では、流量制御バルブのアクチュエーターとしてソレノイドを搭載したマスフローコントローラ(MFC使用上の留意点を解説しています。

 


水素(H2

今回のお話は水素です。
水素は、無臭、無害であり、地球上ではH2Oの状態で多量に存在しています。
ここ最近は、燃料電池で一般的に馴染み深くなったガスですね?

いささか古い話で恐縮なのですが、Decoの世代は水素が元素周期表の一番手に出てくることもあり、学生時代は「水兵リーベー・・・」と覚えた記憶が蘇るガスです。
ちにみに水兵の兵は、次回取り上げる予定のヘリウムです。

 

水素は空気との混合では爆発下限4.1%~上限74.2 %、酸素との混合に至っては下限 4.65 %~上限 93.3 %という爆発しやすい性質を持っています。
さらに厄介なのは周期表の一番手=元素のなかで最も小さく軽いということであり、非常に拡散しやすい性質を持っています。

これこそが「水素が可燃性ガスとしての非常に高い危険性を有している」と言われている理由なのです。

ただし、前回酸素の解説でも触れましたが、可燃性ガスは、同時に空気や酸素という支燃性ガスが存在して、更に静電気などの点火要因がそろわないと爆発は起こりません。

つまり水素ボンベが目の前にあることが危険なのではなく、その横に酸素ボンベを設置したりして、わざわざ3要素をそろえてしまうことが危険なのです。

水素の漏れやすい性質が、この3要素の集結に一役かってしまうので、水素配管は特にリークに注意しなくてはいけません。
リークチェックには、ヘリウムリークディテクターを用いて、日頃の点検に水素ガス検知器は必須です。

 

マスフローとの問題に関しては、以前も解説していますが、改めて解説しておきます。

コンバージョンファクター(CF)は窒素(N2)と同じでほぼ1と定義するマスフローメーカーは多いです。
だからといって窒素のMFCを水素に使って仕様通りの性能が保証できるだろうか?と言えば、それはノーです。
水素は窒素に対して密度では1/14なのに対して比熱は13.6倍あるガスなのです。

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この為、窒素に近似のCF値を示すのですが、これだけで本当の意味でのCFが決まるわけではなありません。
正確には分流比への影響等から、微妙に両者のCFは食い違っているのです。
Bronkhorst High-Tech B.V.(
以下ブロンコスト社)がインターネット上で公開しているFLUIDAT® on the Netサイジングツールを使わせていただいて、一つの例を引用提示しましょう。

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上図はあくまでブロンコスト社のCFであり、他メーカーのそれとは異なる可能性があることを、前もって断っておきます。
供給圧力0.3MPa 1ln/min1L/min[n]n0,1013hPa校正)の水素での100%1L/minから10%=0.1L/minまでのCF変化です。
このように水素のCFは流量レンジの途中で膨らむ傾向があり、校正時に使用するガスである窒素に対してリニアリティに問題が生じることは、よく指摘されています。
また、この傾向は圧力が20MPaを超えて高くなるにつれ、少なくなる事も確認されています。

 

水素というガスは流量制御バルブを持つMFCにとっては、あまり得意なガスではない事は、必ず認識しておいてください。
Decoは「MFCの天敵」とよく表現しています。

密度が小さく、軽くて、拡散しやすい=小さな隙間からでも流れていきやすい水素の性質は、MFCのわずかなギャップを調整することで流量制御を行うバルブ方式にとっては、すこぶる扱い辛い性質なのです。
MFC
CFと並ぶ重要な要素である流量制御バルブ定数=バルブの設定(オリフィス径等)は窒素の10倍小さい設定にしなくてはいけません。
つまり水素F.S.1L/minで製造されたMFCと窒素F.S1L/minMFCとはバルブオリフィスの部品やリフト量の設定は全くの別物だという事です。
現実に窒素用MFCに水素を流した場合、バルブ設定が大きすぎる事になり、流量制御開始時に水素が大量に流れてしまうことでオーバーシュートなどの流量異常トラブルを起こしやすいのです。

 

これも当然なのですが、バルブの締め切り性能にも期待できません。

バルブシートの材質により内部リークが発生してしまいます。
この漏れ量は弁座がSUS等で構成されたメタルバルブでは大きく、次にPCTFE等の樹脂、フッ素ゴム系の順番で小さくなります。
MFC
のバルブの役割はあくまで流量コントロールであって、閉止弁ではないので、これはやむを得ないところなのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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