EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

マスフロー千夜一夜物語

”計測技術誌”連載再開のお知らせ

7/25発行の日本工業出版(株) ”計測技術”2021年8月号にて、病気療養で4月号から休載させて頂いていた連載”マスフロー千夜一夜物語 ~質量流量計の基礎”が再開しましたので、お知らせします。

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出典:日本工業出版(株)

<記事概要>日本工業出版(株)HPより引用
マスフロー千夜一夜物語 第71回 / EZ-Japan 黒田 誠
「質量流量計」に分類され、各種産業の製造装置で流量測定&制御のキーパーツとして扱われるMFM(Mass Flow Meter)、MFC(Mass Flow Controller)にも、人間と同じく定期的な健康診断(=流量検定)が必要である。今回はその手法を解説する。” 引用終了

再開第一弾は、Deco自身も思い知った定期的な健康診断(=流量検定)の重要さに関してです。
是非お求めください!

次回以降は、EtherCAT、EtherCAT-P等への産業用ネットワーク対応、10mmMFC、圧力式MFC等の皆さんが興味を持たれていそうな最新の半導体製造装置向けMFCをどんどん取り上げていく予定です。
お楽しみに!

以上/EZ-Japan 代表 黒田 誠

EZ-Japan 年末年始休暇のご案内

あっという間にクリスマスイヴです。
今年は最後の三か月にプライベートで父親の入院と死、その後の喪主としての葬儀、法事関連と後処理。愛猫ネオの衰弱と死、最年長猫のいすかの体調不良による通院と重なり、あわただしくにここまで来てしまった感があります。
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そんな2019年ですが、今年はマスフロー&流量計の講演会で色んなお客様にお目にかかることができました。
さすがに実家との行き来でフィジカルもメンタルも落ちていたていたDecoにとって、皆様の ”ブログ読んでますよ!” というお言葉に、どれだけ励まされたかわかりません。
2019年EZ-Japan BLOG と 計測技術の連載を完走できたのは、一重に読者の皆様のお陰でした。
ありがとうございます。

さて、年末年始ですが、EZ-Japan は、2019/12/28(土)~ 2020年1月5日(日)までお休みを頂きます。
今年の年末は、金融機関が12/30(月)まで開いていたりして、年内はドタバタしているとは思いますが・・・

ブログ更新は1/7(火)からの予定です。
皆様、どうぞ良い年末年始をお迎えください。

EZ-Japan  "Deco” こと 黒田 誠

真・MFC千夜一夜物語 第252話 マスフローメータ(MFM)の運用に関して その4


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 20186月号(5/25発売)は、コリオリ式マスフローメータ(MFM)を用いたマスフローポンプ(質量流量ポンプ)の解説ですので、本解説と合わせてお読みいただけたらと思います。

 

 

さて今回はマスフローメータ(MFM)特有の問題を解説しましょう。
二酸化炭素を流した場合や、微小流量MFMで顕著なのが、測定の為ガスを流入させた際にMFMの流量出力が実際に流している流量値よりはるかに低い、もしくはゼロに近い値になってしまう現象です。
これはセンサーが過度の突入流量で過冷却されたことから、ゲインを得られなくなってしまっている場合が多いです。

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上図で示すように、熱式流量センサーは流量0の状態で上流、下流の温度がバランスしています。
ここに流れが生じると、上流の熱を流体が奪い下流へ運ぶため、上流温度<下流温度となり、ブリッジ回路のバランスが崩れ、流量を出力します。
フルスケール流量を少し超えたくらい(120-150%程度)までは流量が増加すれば出力も増加する関係にあります。(デジタルマスフローはデジタル処理の関係で、出力を110-120%で飽和させてしまいます。)
もちろんフルスケールを超えた出力値に対して、それがどこまで出力されるか?はメーカーにより異なりますが、その領域ではカタログ仕様を満たす保証はありません。
でも、増加傾向にあることは確かです。
ただ、そこから過度に大きな流量が流れた場合、今度は下流側の温度も奪われ双方の温度がダウンしていく現象が起きてしまいます。
そうすると流量出力は急激にダウンしていき、最後は完全に0となってしまうのです。
これがオーバーフローによる過冷却現象です。
例としては、二次側の容器を昇圧してから、供給するガス流量をMFMで測定したいラインがあった場合、その容器昇圧時はMFMをバイパスするラインを設けて、そこから大量のガスを容器に流し込むべきところを、MFMラインにそのまま流してしまった場合に発生しやすい現象です。
 


10ml/min未満の微小流量用MFMで生じやすい理由は、その流路構成にあるります。(下図)

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巻線方式を採用しているマスフローのセンサー管は510ml/min程度の流量を流し、残り大部分は層流素子側を通過させる分流構造です。
ところがフルスケール流量が微小レンジになると、当然バイパス側は不要となるので流路を閉ざし、全量をセンサー管に流す構造となりまう。その為、突入してきた大流量を逃がす流路がなく、全てセンサー管で受けることになってしまいます。

 二酸化炭素のような冷却能力が高い流体の場合は、小流量でもこの現象が起きやすいので要注意です。
こういった問題はマスフローコントローラ(MFC)の場合、二次側に流量制御バルブオリフィスが存在するので、過度の流量が流れるのを食い止めていることもあり、あまり発生しない現象です。
予防策はフルスケールを遥かに超える大きな流量をMFMに流さない事です。
流す必要があるなら、必ずMFMのバイパス配管を設ける必要がります。

  

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

EZ-Japanは5年目を迎えます

お世話になります。
6/1でEZ-Japanは5年目を迎えました。

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毎年同じことを書いてきたのですが、この一年間もほんとに瞬く間でした。
新たな提携先としてブロンコスト・ジャパン(株)さんとのお付き合いも2年目を迎え、共同でセミコンジャパン2017等の展示会や学会併設展示会、セミナーに参加したり、マスフロー千夜一夜物語の分冊を作っていただいたり、日工セミナーでは二度にわたり講師を務めさせて頂いたりと、あわただしい1年でした。
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しかし、微妙に落ち着きを感じているのも確かでして、マスフローマイスター そして、エヴァンジェリスト としての仕事がしっくり来ている為かもしれません。

生死の境を体験し、左半身の麻痺を克服した経験を活かし、流体計測&制御機器に関する知識を伝承する為に、そしてまだ日本で知られていない新しい技術をご紹介して歩く・・・
"マスフローのエヴァンジェリストはDecoさんの天職だよ。がんばりなさい。”と業界の先輩にお褒めの言葉を頂きました。

そして何よりうれしいのは、読者の皆さんの元に伺った際の ”連載、読んでますよ!” のお声です。
この言葉に元気を頂いたことが、何度あったか・・・
これからもEZ-Japanを宜しくお願い致します。

2018年6月5日 EZ-Japan 代表 黒田 誠 (Deco) 

真・MFC千夜一夜物語 第241話 コリオリは完全無欠の質量流量計 その11<完>


もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2017年11号(10/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第39回は、“防爆構造のマスフローの解説<後編>”となっています。ATX本質安全防爆構造マスフローコントローラ(MFC)と新たに発表されたTIIS本質安全防爆構造のマスフローメーター(MFM)で流量制御を行う方法を解説しています。


さて、今回で“コリオリ式は完全無欠の質量流量計“編は完結です。
今までの記事をまとめる形になりますが、参りましょう。

同じ質量流量計に分類されながら、コリオリ式が熱式に勝るポイントはいくつもあります。
振り返ってみましょう。

・コリオリ式は物性不祥な流体や混合比率が変化する流体=液体、気体のみならず、超臨界流体の測定が可能
コリオリ式の流量式には熱式のような流体の物性に依存するものがありません。
これは流体の種類や混合比に関係なく、常に質量流量を測定できるという、一番優れたコリオリ式の特長となります。
故にコリオリは液体だけではなく、気体の測定も可能で、しかも超臨界状態でも測定ができる稀有な存在です。
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この特長は、半導体製造装置での液体材料気化供給システムで大きなメリットとして注目されています。 

・コリオリ式は分流構造が不要な単管構造でシンプルな流路構成が可能
コリオリ式のセンサー構造はシンプルな単管です。ここにすべての流体が流れる“全量測定”構造です。熱式はほとんどの流量レンジでセンサー管と層流素子(バイパス)に分流する“分流構造”をとっていますので、異物のつまり等で分流比が変化してしまうことで、いつの間にか指示値と実流量が大きくずれてしまうという問題を引き起こしたり、圧力条件で分流比が変化して再現性能に問題を起こしたりします。
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・コリオリ式は熱式と比較して高精度流量測定が可能
コリオリ式は熱式よりもSN比の優れたセンシングが可能になります。
流量精度+ゼロ点の安定性を含めたトータルエラーで検証するとその差は明らかです。

・コリオリ式は熱式と比較して高速応答が可能
熱の伝導を原理で用いる熱式は、そもそもの原理からして決して応答は速くはありません。
特に巻線型の場合、流体に直接触れて温度を測るわけではないので、センサーの生出力では数秒単位の応答性です。
それを後段の流量制御を行うPIDで高速であるかのように処理しているだけなので、コリオリ式とは応答性能でも差が生じます。

・コリオリ式は双方向の流量計測が可能
MEMS型の一部熱式は可能ですが、基本的に巻線型熱式流量センサーは流れ方向は1方向のみです。
コリオリ式は原理上、どちらから流れてきても同じ質量流量を出力できます。

・コリオリ式は温度・密度測定が可能
コリオリ式は、原理上流体の密度をモニターできます。
温度もチューブのバネ定数の補正情報として、測定しています。
そもそもコリオリ式は流量計としてだけでなく、比重計として使われることが多いのです。
そして、更にコリオリ式は、“流しながら測れる秤”として、いかなる流体であろうと、その質量を測定できる特性を活かして、今までロードセルが使用されてきたような薬液充填工程を高速充填、マルチ液体充填等の利点を生かして、設備更新しつつあるのです。

これらの優れた特長を持つコリオリ式マスフローを組み込んだ一つの成功事例として ”マスフローポンプ” が挙げられます。 
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<マスフローポンプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)>

現在、製薬、化粧品、飲料、食品業界で注目のツールとなっています。
なぜならば、流す液体を問わず、暑いときも、寒い時も、ポンプが少しへたってきても、設定した質量流量で安定した液体供給が約束され、なおかつ脈動が限りなく無く、静かな供給システムだからです。

コリオリ式流量計は、現段階でも完全無欠といってもいい質量流量計ですが、これから更に進化していくと思われます。
目指すところは微小流量化、気体で使用する際の低圧損化でしょう。
期待して見守りたいですね。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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