マスフローコントローラー(MFC)マスフローメーター(MFM)でラバーシールモデル(エラストマーシールモデル)で毒性ガスを流そうとしていませんか?
あまり知られていない(実はDecoも受け売りです。)事ですが、毒性ガスに使用できる継手種というのは高圧ガス保安法で定めがあります。

これは配管と接続する継手だけでなく、MFCやMFM(マスフローと総称)と継手部品をつなぐのボディのメスネジ部に関わるお話です。
良い機会ですから毒性ガスに対する日本国内での法的な規制に関わるお話をします。
*あくまでこれは日本国内法である高圧ガス保安法の解釈ですので、海外メーカーの製品はその解釈に準じている訳はありません。

高圧ガス保安法 一般則 第六条 三十五 “毒性ガスのガス設備に係る配管、管継手及びバルブの接合は、溶接により行うこと。ただし、溶接によることが適当でない場合は、保安上必要な強度を有するフランジ接合又はねじ接合継手による接合をもつて代えることができる。”

以上の取り決めがあります。
「溶接が適当だが、そうできない場合は必要な強度を有するねじ接合継手で良い」というところはDecoも読んでいたのですが、この継手形状に関する具体的な記載が、実は高圧ガス保安法令関係例示基準で示されていたのです。
ここで記載された形状の共通点は、ネジ部に毒性ガスが触れない事です。

図示してみましょう。

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左の継手のねじのエンドポイントにOリングがあるタイプが、ほとんどのエラストマーシールモデルのマスフローで使われているシール方法です。
ところがこれは高圧ガス保安法例示基準に照らし合わせると毒性ガスへの使用はダメなのです。
図の右のように継手のねじの先端にOリングがあるタイプが例示基準で認められた“溶接にできない場合のねじ接合継手”なのです。
違いはネジ部に毒性ガスが入り込むか?否か?です。

マスフローの場合、ここの形状は規格がUNFであれBSPPであれ、このエンドポイントにOリングがある構造が多く、ネジ部が毒性ガスに晒されてしまうので、国内では毒性ガスにMFCが使えなくなってしまうのです。

こういった場合は、やはり素直にメタルシールモデルを選定しましょう。
どこのMFCメーカーにもメタルシールモデルはあります。
例えば半導体色が薄いブロンコストでも、化合物半導体用MO-CVD向けに開発したメタルシールモデルEL-FLOW Metal Sealedというシリーズがあります。
EL-FLOW_Metal_Seal
【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

通常のEL-FLOWシリーズ程は広い流量レンジや圧力定格ではありませんが、毒性ガスは大量に消費されるものでもないので大丈夫かと思います。
 
MFC豆知識 EZ-Japan Deco