EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

ランピング

真・MFC千夜一夜物語 第413話 マスフローに関する誤解 その4

Decoが見聞してきた中で、マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)の使用方法に関して、一般的に大きな誤解があるなぁと思ったものを取り上げてお話ししていきたいと思います。

MFCとランピングのお話の続きです。
流量制御でも、下流側のチャンバーの圧力を急変させずにガスを導入したい場合や、高圧容器へガスを充填するのに一定の傾きで流量を制御したいというアプリケーションは存在しています。
その解としてランプ制御を提案した制御屋さんが居られたのだと思うのですが、実はこういった流量設定信号(S.V.)を刻々と変化させる方法は、流量センサーが熱の伝導を原理に用いる熱式センサーを積んだMFCが最も苦手とするところなのです。
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図のような波形でS.V.を刻々と可変させながら入力した場合、大概のMFCはオーバーシュートやアンダーシュートをくり返しながら流量制御をすることになります。
S.V.通りにMFCを動かしたいのに、制御はかけ離れたぐしゃぐしゃの波形になってしまうのです。そもそも現行世代のMFCはその熱式センサーの応答の遅さに対して、ピエゾやソレノイドのような高速アクチュエーターとの危ういバランスで成り立っています。
こういた制御でS.V.=P.V.となるように制御しようとしても、その前にS.V.はまた増加してしまい、結果として常にS.V.とP.V.が不一致の状態で流量制御を行うことになってしまいます。
また、配管全体のボリュームを考慮すれば、MFCで流量制御が上手くできたとしても、既に流れてしまったMFC下流のガスは制御されるわけではないので、より一層チャンバーに入る実ガス流量波形は乖離することになりかねません。
MFCのP.V.の波形が、綺麗なランプ制御の波形に合致したとしてもチャンバーにその通り流れ込むことにはならないのです。
これはMFCチャンバーや容器の距離が遠ければ遠いほど酷いことになります。
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ランプ制御に近づける為のMFCに望ましいS.V.の入力パターンは図の破線のようなステップ入力での対応になります。
MFCの応答は原則ステップ入力でと憶えておいてください。

では、流量制御ではランプ制御は難しいのかと言えば、そうではありません。
あくまで流量センサーと流量制御バルブそしてPIDコントローラーが同居しているMFCというパッケージでは苦手だと言うだけの話です。
そもそもMFCの熱式流量センサーという応答の遅いセンサーで、S.V.=P.V.にさせる比較制御が邪魔をしているだけなので、一つには応答の遅い巻線型から、応答の比較的早いMEMS型にするだけでもかなりの改善はみられます。

しかし、MEMS型流量センサーが対応できない腐食性のガス等も存在しますね?
そういった場合はよく考えてみて下さい。
既に装置側はランプ制御である時間でこの設定値迄可変するという制御を行うと決めているのだから、本来ならMFCの中でS.V.=P.V.となるよう比較制御を行わせる必要はないのです。
これは流量制御バルブをダイレクトに装置側のPLC等で制御するモードをMFCに追加すれば対応が可能になる筈です。
つまり内蔵した流量センサーに基づいて流量制御させるモードと、外部からバルブ制御信号(M.V.)を入力してダイレクト制御するモードを、ネットワークを介して切り替えてやればいいのです。
DecoがこのモードをMFCに持たせることを推進している事を記憶しておられる読者さんもおいででしょう。
そう半導体製造装置向け一次圧変動影響抑制機能(PI=Pressure Insensitive)に関する考え方と同じなのです。
PIでも装置側ではガス供給ラインの切り替えによる供給圧力の変動を事前に把握できる立場にあるのだから、そのタイミングでMFCの流量制御に割り込みをかけて、バルブ開度を現状維持、もしくはセーフポジションへ制御してしまえばいいという考えを披露しましたね?
要は便利なMFCですが、何でもできるわけではないのですよ、というお話なのです。

  【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan


真・MFC千夜一夜物語 第412話 マスフローに関する誤解 その3

Decoが見聞してきた中で、マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC)の使用方法に関して、一般的に大きな誤解があるなぁと思ったものを取り上げてお話ししていきたいと思います。

2.MFCでランプ制御をしたい

ユーザーから「MFCでランプ制御(ランピング)をかけているのだが、SV(設定信号)通りに追従しない。どうしてか?」という質問もたまに来ます。
どれに対するDesoの回答は、これまたつれないのですが、「そもそもMFCでランプ制御をさせるのは難しいです。」となります。
身も蓋もありませんね。

これだけではご納得を頂けないと思うので、MFCでのランプ制御に関して解説しましょう。
そもそもランプ制御とは何でしょうか?
ランプ(Ramp)とは制御分野におけるランプ関数(ramp function)を用いた制御の事で、正規化線形関数とも言います。
ある時刻まで0であったもののが、それ以降は時間に比例していく関数のことです。

第5図
ランプ関数という名前は、グラフの形状がランプ(傾斜)になっていることが由来だそうです。
ランプ関数のように、ある時間以降、時間に対して比例関係で入力が増えるものをランプ入力、またこのような入力に対する応答をランプ応答と言います。

ちなみにランプ入力に対する言葉でステップ入力があります。
ステップ入力とは、ある時刻で高さ1の階段(ステップ)の入力を行います。
グラフの形は、ランプ関数のような傾斜ではなく階段状になります。
お馴染みのMFCで使用される応答はステップ応答です。
 第6図
ランプ制御は、たとえば温度調節器において、ある一定の速度で徐々に温度を上げるときなどに使われます。
じわじわと温度を上げるように、流量も上げていきたいという要求はありますよね?
では、なぜこのランプ制御をMFCでやってもうまくいかないのでしょうか?
答えは次回に。

  【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第331話 MFCの応答性 その7

ご無沙汰しておりました。

心不全からの合併症で正月明けから37日間の入院生活とその後、退院しての自宅での療養生活を送っておりましたが、徐々に仕事を増やしていきつつあります。

EZ-Japan の看板コンテンツ(と、Decoが勝手に思っているだけかもしれませんが・・・)MFC千夜一夜物語も、ようやく再開させることができました。

これも皆様からのご支援、ご声援のお陰です。

危うく330話で終わるところでしたこの物語、”まだまだ続けろ”との天命で命を拾えたと思って、1001話まで頑張っていくつもりです。

 

さて、MFCの応答性に関する解説でしたが、その制御の仕組みをお話ししてきました。

現実のMFCの使用方法で解く面する数々の問題の内、実はこの特性が絡んでいる事例をご説明しましょう。

ユーザーから質問を頂く事がゼロ点と並んで結構多いのが、MFCSV(設定信号)通りに追従しないけど、どうしてか?」というものです。

詳しくお聞きすると、ユーザーさんの入力しているSVは以下の図のような場合が多いです。

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または、ランピングと言うある時間をかけてSVを目標値へ到達させるやり方

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これらSVを刻々と変化させる制御方法は、流量センサーが熱の伝導を原理に用いる熱式センサーを積んだMFCは最も苦手とするところなのです。

大概のMFCはオーバーシュートやアンダーシュートをくり返しながら流量制御をしてしまいます。
SV
の波形通りにMFCを動かしたいのに、制御はかけ離れたぐしゃぐしゃの波形になってしまう訳です。

そもそも現行世代のMFCはそのセンサーの遅さと、それに対して高速なアクチュエーターの危ういバランスで成り立っていますので、こういた制御で流量を増加させようとすると、SVPV(センサーからの流量信号)に至る前に、SVがまた増加してしまい、結果として常にSVPVの状態で流量制御を行うことになります。(流量を減らす際は逆です。)

また、配管のボリュームを考慮すれば、MFCで制御しようとしても、その下流に残留しているガスが制御されるわけではありません。故にMFCPVの波形が、たとえ思惑通りになったとしても、ワークのあるチャンバーへその通りに流れるわけではないのです。

 

本来のMFCに望ましいSVの与え方は、見慣れた下図の形です。

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この基本を守って、使用いただきたいとDecoはいつも助言させて頂いています。

MFCは万能ではありませんし、流れだしたガスや液体はすぐにそれを増減できるものではありませんので・・・

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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