もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年12月号(11/26発売)では、マスフローのゼロシフトに対するゼロ調整に関して解説しています。
本ブログと併せてお読み頂けましたら、幸いです。
さて、本物語のラスボスの一つ“CFの信憑性”との戦いの最中です。
前回はCFへの温度影響を確認しましたが、今回は圧力影響に関してです。
Bronkhorst HIGH-TECH B.V.(以下ブロンコスト)がWEBで提供している“FLUIDATⓇonthe Net”(以下FLUIDAT) を使って今度は、ガスをアルゴンにして解説しましょう。
上図ではアルゴンガス、FS100SCCMのMFM での比較です。
今回は圧力条件(流体の供給圧)での比較となります。
マスフローの一般的な構造を下図に示しますが、ここでいう圧力は流量センサー管にかかる圧力になるので、一次圧のことを言い、MFCの際の二次圧や差圧は関係ありません。
*以前、UNIT社とそのフォロワーにあったMFC二次側に流量センサーを置く=流量制御バルブ→流量センサーという特異なレイアウトのMFCにとっては、ここは二次圧となるのですが、これではセンサー管内の圧力がプロセスで変動しやすくなり、あまり好ましくなかったのではないかとDecoは思っています。)
0.1MPa条件と、選定したMFMの圧力定格最大値である10MPaで比較してみましょう。
結果は0.1MPaで1.387@100%FSという、我々マスフロー業界の人間としては、CF表で馴染みのあるアルゴンのCF値1.4に近い値となったのですが、10MPaだと1.181@100%FSという驚きの数値となるました。
更に高い圧力でのCF変化を調べるべく、モデルを変えて定格40MPaまで耐えられるEL-FLOW F-131Mを選んでみます。
上図にあるように、40MPaでのCFは0.9587@100%FSと、これはもうアルゴンのCFとは思えない値まで下がっています。
前回の温度変化の影響よりも、気体が圧縮されることで密度が変化する圧力変化影響が非常に大きいのが見て取れます。
「これほど極端な高圧条件でマスフローを使わないので問題ない。」というユーザーが当然多いと思います。
因みにMFM F-111B-100の真空10kPa(A)での値は1.391@100%FSでした。
0.5MPaでの値は1.378@100%FS 0.8MPaで1.371@100%FSですから、例え高圧=1MPa未満であるからといって、CFへの圧力影響が皆無ではないことを、頭に入れておいてくださいね。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan