前回からマスフローコントローラー(MFC)の応答性に関して、調整計での制御方法の解説を始めました。
比例動作を制御する
P制御で、目標値と現在値との差に比例した操作量を調節する制御を行うと、ハンチングの小さい滑らかな制御が可能になります。
ただ、流量設定信号(
SV)に対して流量信号(PV)が近づくと、目標値にきわめて近い寄り添った状態で安定してしまう現象が起きてしまい、いつまでもSV=PVになってくれません。

 

201020_03
PI制御 

このままではMFCの設定信号通りには、流量が流れてくれないので困ります。

そこでPに加えて積分動作=I動作を用いたPI制御が用いられます。

 

P制御における問題点は、PVSVに近づくと、MVの伸びが鈍ってしまうことでした。

SVに近い状態でPVが安定はするが、永遠に「PV=SV値」にはならないのです。

このP制御における、PVSVの差を偏差と言います。

つまりP制御ではSVPVを近づけることまでできるが、SVPVとの偏差を0にできない」という問題があると言い換える事ができるのです。

201109_01


この偏差をなくすために考えられたのが、積分動作(I動作)です。
上図にあるようにI動作は偏差を時間的に蓄積し、蓄積量がある大きさになった所で、MVの操作量を増やして流量を増やし、偏差を解消させるという特別な動作をします。

 

このようにして、P動作にI動作を加えた制御をPI制御(比例・積分制御)と言い、一般的なMFCはこのPI動作で制御されいると言っていいのです。

 

「あれ?MFCの制御はPID動作じゃないの?」

とおっしゃる向きもあるかもしれませんね?
それに関しては、次でお話ししましょう。

 

あと、念のためですが、ここで説明したPI、最近はやりのPI-MFCPI=Pressure Insensitive、つまり圧力変動影響緩和型MFC)のPIとは全く別の意味ですから、ご用心ください。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan