【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

前回は流量設定信号(SVが0以外のある値でMFCに入力された状態で、ガスの供給が遮断された場合、MFCの調整計はSV流量信号(PVの状態をSV=PVとすべく、バルブ制御信号(MVを増やす為、バルブ開度最大でマスフローコントローラー(MFC)が待機してしまい、ガスを導入時に大きなガスサージを下流で発生させるトラブルとその対処法を解説しました。

要はMFCSVPVとするようにMVを自動制御するのをやめろ!」と指示すればいいのです。

 

これに似たような話をしましょう。
それが今流行りのPI-MFCです。

PIとはPI=Pressure Insensitiveの略で“圧力変動影響緩和型MFC”のことです。
PTI(Pressure Transit Insensitive)
と呼ばれることもありますが、このブログでは、総称として「PI」と呼称します。
PI-MFC
は圧力センサーを内蔵することで、例えばMFCの上流の分岐バルブ切り替えで一時的にレギュレーターからの供給圧力が急降下した場合、MFCはその急峻な圧力変動を捉まえ、流量センサーと制御バルブのフィードバック制御に「待った!」をかけて、バルブ開度を一時的にホールドするという仕組みを用いて、急峻な圧力影響からの流量変動を起こさないようにしています。

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でも、これをMFC側から考えてみると急峻な圧力変動影響で供給圧が下がってPVが減り、PVSVが生じ、その為にPVSVと一致するよう、MVを増やす=バルブを開いてしまうという制御自体は、MFCの制御としては決して間違っていないのです。

要はここでも、MFCが通常の流量制御を行っては困ってしまう事態が発生しているのです。

圧力センサーを使ってそのタイミングで自動的にMFCSVPVとするようにMVを自動制御するのをやめろ!」と指示する機能を搭載したMFCPI-MFCと呼称されているわけです。

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ところがこのPI機能というものは、なかなかその動作設定が難しいところがあります。

「急峻な圧力変動」には流量制御バルブをホールドする=流量制御を止めて追従させないけれども、だからといってどのような圧力変動が起きても全く追従しない=流量制御しないとなれば、それは「温度・圧力が変動しても一定の流量制御ができるMFCという存在では無くなってしまうからです。

ガスライン切り替えなどで生じる急峻な圧力変動だけを見分ける方法としては、単位時間当たりの圧力信号の変動量で閾値を作り、その値以上ならばバルブをホールドさせるという判断をPI-MFCにさせる方法が用いられていますが、

「敏感にして(閾値を下げ)頻繁にバルブをホールドさせるのがいいのか?」

「鈍感にして(閾値を上げ)あまりホールドしない方がいいのか?」

これをMFCが判断するのは、非常に悩ましいところなのです。

この悩みはMFCメーカーでいくら議論しても、難しいところです。
やはりPI-MFC
の動作に関わる配管レイアウトとライン切り替えシーケンスを熟知しているのは、装置メーカーさんになります。
なのでこの辺りは装置メーカーさん側で強くイニシアチブを取ってもらった方が収まりがいいのではないか?とDecoは常々思っています。


そしてせっかく圧力センサーを積むなら、PI-MFCPI動作だけをさせるのはもったいないので、ファームウエアのバージョンアップで圧力センサーを用いた新しい流量補正や制御ファンクションを加えて行った方が面白いのではないかと考えています。

例えばブロンコストのPI-MFCは全く違う用途(CFの圧力補正)で圧力センサーを使っていますし、MKSのPI-MFCはモデルコードによってはAPCとして使用されるよう調整されたりしています。
ここらへん頭の固いのは日本のMFCメーカーの性なのでしょうか?(失礼!)

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【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

 

  

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan