半導体製造装置市場向けで注目を集めている“圧力式”と称するマスフローコントローラー(MFC)に関して解説しましょう。

半導体向けMFCの分野で、熱式(サーマル)MFCに代わるものとして圧力式が注目されるようになってかなりの年月が経ちました。
国内半導体装置メーカーの300mm世代ドライエッチング装置での採用以降、ここに20年近くで圧力式MFCは飛躍的に成長しています。
2020年で半導体向けMFCの熱式対圧力式の出荷ベースでの構成比率は熱式 65:圧力式 35となっているようです。(EZ-Japan調べ)
写真にあるような次世代装置向け10mmMFCは、その奥行(厚さ方向)寸法上の制約から圧力式が先行しており、この本格採用が始まるとしたら、この比率は逆転するかもしれませんね。

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<提供:(株)フジキン>

ただ、圧力式という言葉でカテゴライズされるMFCの一部は質量流量ではなく体積流量制御器(Volume Flow Controller)的なものも存在する故、一言で圧力式MFCと分類してしまってよいものか?という疑問もあります。

下図にあるように熱式は巻線方式であれMEMES方式であれ、熱式として基本的な流量式は同じです。

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それに対して圧力式の代表例は差圧式になるのですが、これにも、絞り(オリフィス)式、層流(ラミナーフロー)式、臨界ノズル式等の分類が存在しています。
圧力センサーを用いてはいても、流量を算出していない方式まで非常に多岐に渡った提案がなされており、“圧力センサーを用いたフローコントローラー”(Pressure based Flow Controller)という表現が正しいのかもしれません。
当ブログでは便宜上、圧力式フローコントローラーと総称しますね。

まずは次回から圧力式流量測定の基礎原理を解説した後、現在のMFCメーカーの4強ともいえるメーカーさんの製品を簡単に解説するつもりです。
 
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan