EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

微小流量

真・MFC千夜一夜物語 第378話 コリオリ式マスフローの良さが認知されてきました その6

マスフローメーター(以下MFM)、マスフローコントローラー(以下MFC、MFMやMFCの総称としてマスフロー) の中で、究極の質量流量計としてDeco推しておりますコリオリ式マスフローが最近日本でもようやくブレイクし始めました。
それはなぜでしょうか?

前回の最後に「現状でコリオリ式流量計の一番の弱点は、コリオリ力が発生しない、もしくは微弱にしか発生しないような密度の小さな流体、具体的には低圧条件の気体や微少流量液体の測定が難しいことです。」と書きました。
特に気体の流量測定では、その密度の小ささが災いして充分なコリオリ力が得られない事が多いのです。
そして、本来ならばワクチン等の製薬ラインで必要とされる微小流量液体の測定も難しいものがありました。
その為に「コリオリ式流量計はプラントレベルの大流量測定に用いるもの」と言う認識が強かった時代があったのです。

この弱点を解消する方法は2つありました。
純粋にコリオリ力が弱い=流量センサーとしてのSN比が悪化しているのだから、コリオリ力を強くするために密度を上げるという方法です。
特に気体は圧縮性があるので比較的高い圧力で供給すれば密度を上げる事が可能です。
例えば燃料電池自動車の水素ステーションでの流量測定用途で、あの密度の小さいガスの代名詞である水素を70~100MPa(G)という高圧で測定する流量計にコリオリ式が選定されている事からもわかります。

もう一つはブロンコストが開発したように細径のセンサーチューブを採用して、コンパクトなコリオリ式センサーを作り上げることです。

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mini COIR-FLOW コリオリ式流量センサー  出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

アプリケーションによっては、現実的にはあまり高い圧力での供給は望めないものもあります。
そういった場面では、センサーチューブを細径にして小型化したブロンコストのmini CORI-FLOWの独壇場となります。

mini cori-flow ml120

mini COIR-FLOW ML120  出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
現時点で最小流量範囲を受け持つM12/ML120シリーズでは、選択できる最小フルスケールが5g/hです。
最小測定流量はMFMの場合で0.05g/hです。
コリオリ式センサー、特に上図のような複雑な形状に曲げ加工が必要な金属チューブの細径化は限度があります。
数年前に筆者もステンレスチューブメーカーさんとお話したことがあるのですが、直径0.25mm長さ500mmのSUS316チューブが、上記条件では現状で最も細径なチューブであると説明を受けています。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

ブロンコスト LDMシリーズ その2

本日は、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V. 日本法人 ブロンコスト・ジャパン(株))LDM(Liquid Dosing Module)のご紹介その2です。
*Liquid Dosingは液体分給と言う意味です。

LDMの代表的モデルの内部構造を見てもらいましょう。
LDM2


what is LDM

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

添加剤のドージングでは貴重な材料の無駄を防ぐために、周囲環境の変化に影響を受けずに、長期に渡って高い精度と高い再現性を維持することが重要です。
LDMシリーズは、PLCから流量指示を送り、それを受けたコリオリ式マスフローメーターmini CORI-FLOWが内蔵しているPIDコントローラーでダイレクトに液体注入ポンプ(例えばギアポンプ等)の回転数を制御しています。
更に工程のスループット向上を目的として、個々のワークに対してキレのいい添加剤供給を行う為に、PLCでMFM下流の閉止弁の開閉制御を行っています。

LDM3

これにより従来はロードセルなどで添加剤を投入した結果をワーク全体の重さで測って管理していたのを、流しながら質量流量で管理できるようになったのです。
ポンプ側も通常の回転数制御ではなく、今流れ得ている質量流量に応じた繊細な回転数管理が加わることで、安定した添加剤供給が可能になるります。
もちろんポンプの経年変化に伴う吐出流量の劣化に対しても、MFMからの流量信号との比較制御により、常に回転数が適切に補正されるので、結果としてポンプのメンテナンスタイミングが来るまでは、環境変化や経時変化の影響を受けにくいドージングシステムが構築されるのです。

更にメイン材料ラインの増減に合わせて、添加剤ラインの流量も変動させることで、混合比率を一定に維持するマスタースレーブ運転での制御への拡張も可能です。
当然、流体の物性変化に影響受けないコリオリ式マスフローを採用しているので、食品製造工程でよくある流す製品によって添加材種そのものの切り替え作業にも、迅速に対応が可能になったのでした。

ブロンコストのminiCORI-FLOWシリーズの微小流量質量流量測定能力と、ポンプ、閉止弁等を組み合わせた液体分給システムLDM
興味を持たれた方は、EZ-Japan まで。


EZ-Japan ここでもうひと押し by Deco



ブロンコスト LDMシリーズ その1

本日は、ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V. 日本法人 ブロンコスト・ジャパン(株))LDM(Liquid Dosing Module)のご紹介です。
*Liquid Dosingは液体分給と言う意味です。

LDM
LDMシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

製造ラインでは流体の微小流量測定&制御がますます重要になってきています。
先端技術を必要とする半導体や製薬だけでなくチョコレートやグミ等の食品製造ラインにも積極的に微小流量コリオリ式流量計であるブロンコストのmini CORI-FLOWシリーズが採用され、多種多彩な品目に対応した再現性の高い製造プロセスを実現するのに貢献しています。
MI130
mini CORI-FLOW MI130 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

コリオリ式マスフローで微小流量域の分野のリーディングカンパニーであるブロンコストだからこそ開発できた現在Decoも一押しでお薦めしているmini CORI-FLOWシリーズ。
完全なる流量計であるコリオリ式は、流体種に影響されず質量流量と密度の測定が可能です。
つまり、流体名が不明でも測定できますし、また複数の流体の混合して比率が不明な場合や、混合比率が刻々と変化しているような状態で測れます。
これは他の体積流量計や同じ質量流量計でも熱式のセンサーを搭載している通常のマスフローメーター(MFM)やマスフローコントローラー(MFC)では為し得ない画期的な事なのです。

従来、こういったプロセスでは、液タンク、もしくは充填されるワークの重さをロードセル等で測って管理するしかありませんでした。
しかし、添加剤のようなワークに対して、あまりにも微量を添加する材料の場合、タンクの重量管理では、桁が大きすぎて消費量を正確には掴めませんし、ワークに至っては小さすぎて測定誤差に埋もれてしまうのと、何より1つのワークの充填完了をロードセルで管理しながら次のワークに切り替えていては、スループットが向上しません。

その点、コリオリ式MFMで測定すれば、投入される前の添加剤の質量で管理ができます。
例えるなら、大きな鍋にそばをいれて待機して、重量計で測りながら皿にそばを入れる作業を繰り返すより、わんこそばのように予め決められた容器一杯に入れたそばを用意して、それを回ってくるお皿に一個ずつ入れていく方が早くて楽ですよね?

この仕組みをモジュール化したしたのが、今回ご紹介するLDMシリーズなのです。
LDMは、ご説明したmini CORI-FLOWシリーズをキーデバイスとして、リアルタイムで測定した質量流量を基に液体ポンプの回転数をダイレクトに制御し、切れのいいドージングを可能にしています。
詳しい内容は、次回ご説明しましょう。

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NEXT FLOW METER ”ES-FLOW MkⅡ”

ブロンコスト・ジャパン(株)から超音波流量計ES-FLOWの仕様が一部変更のお知らせが来ています。
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ES-FLOWシリーズ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

従来モデルのES-FLOW MkⅠ と 新バージョン MkⅡの大きな変更点は以下の通りです。

・最小流量レンジ:4...200 ml/min → 2...100 ml/min へ
・精度:±1% R ± 1 ml/min  → ±0.8% R ± ≤ 0.4 ml/min へ
・流体温度: -10 … 90 °C → -10 … 90 °C (ただしSIP時最大140°C)

・その他 MkⅡでは衛生規格:3-A対応(トリクランプフランジ付きの製品のみ)、3-A対応のエア駆動ダイヤフラムバルブGEMÜ 650と組み合わせ可

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ES-FLOWとGEMÜ 650と組み合わせ例 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

【ES-FLOW MkⅡの特長】
・超音波を使用して、小口径チューブ内で、高精度・高直線性・低圧力損失で、2...100 ~ 30...1500 ml/minの微小流量を測定するように設計されています。

・液体は、流体密度・温度・粘度とは無関係に高精度精度(±0.8% R ± ≤ 0.4 ml/min)で測定することができます。

・ゼロデッドボリュームのストレートセンサーチューブにより、流量計はセルフドレイン構造です。

・オービタルTIG(Tungsten Inert Gas)溶接は衛生的な接続を可能にしており、この機器は衛生的な用途にも使用頂けます。それ以外の御用途では、食い込み継手(SWLタイプ)を装備することも可能です。

・接液部はステンレススチール(SUS316L相当)です。

・外部保護等級は防塵防水規格IP67です。

・ユーザインタフェースは静電容量型タッチスクリーンであり、情報の読み取りと機器の操作のためのTFTディスプレイを備えています。

そしてここが他の超音波流量計には無い特長なのですが、ES-FLOWの標準搭載のPIDコントローラーを利用して、コントロールバルブまたはポンプでの本格的な流量制御や、GEMÜ 650のようなエア駆動ダイヤフラムバルブを接続してキレのいい連続液体供給も可能です。
 

バージョンアップでより微小流量域への対応可能になった超音波流量計ES-FLOW MkⅡ
興味を持たれた方は、EZ-Japan までお問い合わせください。

【MFCニュース】 by Deco EZ-Japan

【新製品紹介】MEMSセンサータイプのコリオリ式マスフロー BL100シリーズ

久しぶりのEZ-Japan Decoのここでもうひと押し コーナーです!

 

ブロンコストは、従来のmini CORI-FLOWシリーズで、コリオリ式としては異例の微小流量化へ開発の舵を取ってきました。

 

これは大流量、プラント用がメインと思われてきたコリオリ式流量計の世界では、異端な出来事で、現時点で追従者はなかなかいない状況です。

従来のシリーズでの最小流量はM12ML120シリーズのフルスケール5g/hMFMで最小測定流量は0.05g/hMFCでの最小制御流量が0.1g/hでした。

これはコリオリ流量センサーをステンレスの細管で構成する上での最小流量と言ってよいです。

なぜならばこのレンジで使用するコリオリ式流量センサーの内径は既に0.25mmであり、これ以上のSUSの細管を独自の形状に曲げ加工してコリオリセンサーとして使用するのは不可能だと思えるからです。

 

miini CORI-FLOWのコリオリ式流量センサーの概略図を参照して下さい。

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<出展:youtube Bronkhorst チャンネル”mini CORI-FLOW Coriolis Mass Flow Meter, principle of operation”>


コリオリ式流量センサーの流量式を下図で示します。

既に本ブログでお馴染みの図ですね。

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回転系に発生する慣性力をコリオリ力として取り出す為に、振動系を構築すると、ある周波数で振動するU字配管に流体が侵入すると、その進路の垂直方向へコリオリ力が産まれます。

これには流体がある程度以上の密度が無い場合、流れによって生じるチューブの捻じれ振動数が、強制振動数に対してインパクトを生じないという弱点があります。

その為、微小流量の流体測定には、センサーチューブ自体の径を細くしていく必要があるのです。

ですが、前述の通りステンレス細管では既に限界と思えるサイズ要求であり、更なる微小流量用センサーを開発する上で大きな問題となっていました。

 

ブロンコスト社では、ここでMEMS技術を採用します。

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<出展:ブロンコスト・ジャパン(株)>

 
今までもMEMS技術で作られた流量センサーは数多くありました。

特に熱式ではMEMSセンサーが一つのムーブメントになったくらいです。

それに対してコリオリ式は、以前紹介したISSS社のものが先駆け的な存在ではあったものの、Decoの知る範囲では、今のところあまり存在していません。

  

今回、開発されたMEMSコリオリ式流量センサーは、BL100シリーズという新モデルに搭載されました。

 

新型MEMSセンサー搭載コリオリ式マスフローは更なる微小流量領域に踏み込み、マスフローメータで0.012 g/hのガスおよび液体の測定・制御を達成したとのことです。

これはどこの追従も許さないコリオリ式流量計としての最小流量記録をブロンコスト自身が塗り替えたことになり、すごいことだとDecoは考えています。

 

20191月末に催された国際ナノテクノロジー総合展、オランダ・ハイテク・パビリオンブースのブロンコストコーナーで日本初お目見えを果たしたBL100のデモ機を見せてもらいましたが、サイズ的には一般的なMFCのサイズなのですが、手に取った際のずっしりした重量感がすごく印象的でした。

今まで数多くのマスフローを手に取った経験があるDecoが、その重さに驚いたくらいなのです。

どうやらMEMS化したことで小型軽量化したコリオリセンサーへの外乱=振動影響を防ぐ為の工夫らしく、かなりの重量構造のフレームを採用しているようですね。

構造に関しては、情報が公開され次第、本ブログや計測技術誌の連載で取り上げたいと思っています。

 

 

現在、ブロンコスト・ジャパン()では、評価用デモ機を準備する用意があるとの事です。


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ただし、国産メーカーさんでよくあるような、「評価という名目でマスフローを1台、お客さんに置いていきますよ」ようなものではなく、お客様と守秘契約を結んだ上で最大6か月の評価貸出を行って頂き、その評価結果の開示が貸し出し条件になるとのことです。

 

興味を持たれた方は、Decoまでご連絡を!

早く実物の稼働風景を見たいものですね!

 

 

EZ-Japan ここでもうひと押し by Deco


EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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