MFCは車のように自動運転ができるか?というお話です。
内蔵した圧力センサーを使ってマスフローコントローラー(MFC)の上流側で急峻な圧力変動を検知して自動的にMFCに「SV=PVとするようにMV可変させる制御を中断させる」機能を搭載したPI-MFCに関して解説しています。
一次圧力変動影響を回避すべくMFCが自動でブレーキを踏む機能を持つMFCがPI-MFCなのです。

これはMFCの自動運転への進化と言ってもいいでしょう。
だが、現実にはMFCは難しい判断を迫られることになります。
どこが難しいかと言うと、「MFCの上流側で急峻な圧力変動を検知して」という部分です。
圧力変動の検知に関しては、そもそも圧力センサーは巻線型熱式流量センサーの10倍は余裕で早いセンサーなので問題はありません。
ここで問題になるのは検知する段階ではなく、判断する段階です。
「急峻な圧力変動」とは、誰が、どのように判断するのでしょうか?
誰が?はもちろんMFCです。
では、MFCはどのように判断すればいいのでしょうか?急峻な圧力変動と、急峻ではない圧力変動は、どう切り分けたらいいのでしょうか?
MFCの大前提は、温度、圧力が変化しても一定の流量で制御できるモジュールである筈です。
一次側で生じるあらゆる圧力変動に対して無反応なMFCというのは、あり得ません。


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一般的には、①圧力変動幅、どれだけの圧力が降下したか?と、②変動時間、どのくらいの時間続いたか?にそれぞれ閾値を設定して、それを超えた場合に、MFCはPI動作(=流量制御をホールド)を行う判断をします。
この2つの条件を満たした際に動作させるようにする条件を付けておくことで、急峻な圧力変動と判断ができるようになるのです。

従ってこの条件設定は非常に重要となります。
厳しい条件、つまりわずかな圧力変動幅や時間で動作させるようにしてしまうと、肝心の圧力が変動しても一定の流量制御ができるというMFCの利点を殺してしまいます。
かといって緩やかな条件にすると、圧力変動影響がどんどん出てしまって、PI-MFCの意味がありませんね?
難しいところです。

ましてMFCメーカーは、個々の装置でどのような使われ方をしているか?どのような圧力変動がどれくらいの幅と時間で生じているかを把握しているわけではありませんから・・・
うむ?よく考えたら、MFCがどのような使われ方をしているか?を把握している人は、MFCメーカー以外にいるではありませんか?

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan