EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

手動制御

真・MFC千夜一夜物語 第381話 流量制御バルブとアクチュエーター その1

今回からマスフローコントローラー(以下MFC) の流量制御を司る流量制御バルブとそのアクチュエーターに関して再び解説していきましょう。

MFCは流量センサーと流量制御バルブ、そして調整計である制御系で成り立つ流量自動制御を目的とした特殊な機器です。
それ故に流量センサーと流量制御バルブ双方の理解を深めていかないと本質を見失いやすいのです。
本ブログで流量センサーだけでなく流量制御バルブの解説を都度試みるのは、その為です。
MFCは流量を自動制御しています。

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例えば図のようにフロート式流量計を流量の検出器として用い、ニードルバルブ等を使って目標値となる流量を調整する形は手動制御と言われます。
検出器であるフロート式流量計の値を人間が目で測定値として読み取り、頭脳でそれと目標値の比較、偏差を判断し、手でニードルバルブのハンドル部を回してバルブの開度を調整するのです。
目標値と測定値が一致するようにこのフローを繰り返すのが手動制御です。
手動制御の問題は、そこに人間が介在することです。
プロセス条件は朝昼晩の環境温度変化や、二次側のリアクターの圧力変動等により流量測定に影響を及ぼします。
その為、そういったプロセス条件の変動に合わせ調整計の役割を果たす人間が常に必要になるのです。
でも、人間は24時間働き続ける事はできませんね?
交代要員を用意したとしても、フロート式流量計のフロート位置を読み取るのに、フロートのどの位置を読めばよいのか知っている熟練作業者と、全く知らない新人では目視から判断の過程で差が出てしまう可能性もあります。 

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そういった人間の存在が及ぼす手動制御への影響を解消するのが、自動制御なのです。
MFCの場合、フロート式流量計でフロートの位置を目視で読み取るという動作が流量センサーに置き換えられます。
判断して、操作するという動作は調整計に委ねられます。
自動制御の肝となるのは、人間の代わりに比較、判断、操作をこなすこの調整計です。
調整計は手動制御での人の頭脳での②判断と手での③操作の代替を行いますが、当然全く同じ動作をする訳ではありません。
例えば、フロート式流量計は、人間の目で読み取るというアクションを調整計に入力する為に信号化することが難しいです。
今の技術ではカメラで読み取ることで可能になりましたが、そこにコストを費やすよりは、熱式流量計のように流量を電圧や電流信号に変換できるデバイスの方が調整計との相性のいい検出器として歓迎されるのでした。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
 

真・MFC千夜一夜物語 第302話 MFCとは不思議な存在 その2

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

マスフローコントローラ(MFC)という一体型流量制御器は、計装関連では非常にユニークな存在です。

一般的な流量計を用いた流量制御の図を以下に示します。

 

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上図は人間が①目視で流量計(図中では面積式流量計)の流量値を読み取り、予め欲している必要流量地との比較を頭脳で②判断し、ニードルバルブの開度を手で③操作します。

これも立派な制御の形=手動制御です。

でも、これでは人間が終始システムに付き添わなくてはいけませんし、そもそも判断するレベルが人によってまちまちになる可能性もあります。
例えば「300L/minにしなくちゃいけないけど、まぁ今の値の330L/minでもいいだろう。」とサバを読んで何もしない人、「表示の500L/minを読み間違えて300L/minになっていると思いこんでしまった。」というミスをする人。
たとえ同じ人が担当しても、ある日すごく疲れていてミスをしないとは限りません。
こういったトラブル要因となる“人間”の介在を取り除いたのが自動制御です。


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自動制御では流量値を電気信号、もしくは通信で発信できる流量計と、同じく電気信号や通信で動作する自動制御弁が必要になります。

これらを調整計と呼ばれる機器に接続することで、流量計からの検出値と目標値を①比較し、それらの偏差を②判断し、自動制御弁の開度を③操作する自動制御が完成します。

流量計を用いた流量自動制御はこのような形を取る事が多く、流量計、自動制御弁、調整計は独立した存在であるのが一般なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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