EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

校正証明書

真・MFC千夜一夜物語 第372話 トレーサビリティ体系図って必要でしょうか?

「MFCの校正証明書が必要なんです。」というお問い合わせを頂きます。
例えばオランダのブロンコスト(BronkhorstHigh-Tech B.V.)製品の場合、校正証明書を有償で提出してもらうのですが、たまにお客様の方からこのようなリアクションが来ます。

「証明書が紙切れ一枚ですか?数字が全く入っていませんね?」
「国内メーカーは、丁寧にトレーサビリティ体系図を付けてきますよ。」
結構、お年を召した品質保証担当の方などに多いです。
いえいえ、手を抜いている訳ではありません。
これでいいんです。
なぜならブロンコスト傘下で校正を司るブロンコストキャリブレーションセンター(Bronkhorst Calibration Centre : BCC)はオランダ国認定評議会Dutch Accreditation Council (RvA)からISO/IEC 17025:2017(以下ISO17025)の認証を取得した認定校正事業者(認証番号:K127)だからです。
ISO17025_K127
出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

校正証明書はISO17025に基づいた正規の手順で校正が行われているという事を示す書類です。
これと製品の校正に用いた社内基準器(流量に応じて複数あり)がBCCの所有する標準を用いて校正されている事を明示した成績書さえあれば、トレーサビリティは証明できてしまうのです。
なぜならBCCとオランダ国計量標準機関であるVSLやNMiとの間のトレーサビリティは既にISO17025の認証番号を持つことで証明されていると考えられるからです。
220829_01
出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 一部加筆:EZ-Japan

そして国際MRA(Mutual Recognition Arrangement=多国間の相互承認)により、One-Stop-Testingのメリットを享受できる事になります。
つまりオランダで採ったデータが、MRAをかわした世界中に国で受入れられる事になるのです。
ブロンコストの発行する校正証明書は、日本のJCSS校正証明書とも同等の効力があるという事になるのですね。

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出典:ブロンコスト・ジャパン(株) 一部加筆:EZ-Japan

先程の冒頭の質問への回答を記しておきましょう。
測定した数字は校正証明書ではなく、本体ごとに添付している成績書(Calibration Data Sheet)に記載があります。
そこにはBCCの所有するどの製造番号の流量標準を用いたかまでが必ず明記されています。

そして、2番目の質問の丁寧なトレーサビリティ体系図というのは、まだ国家としての流量標準が確立していなかった頃の名残です。
今や流量標準というものが存在しているのでシンプルなのですが、それが無い頃がありました。
その時代には、体積、温度、圧力、電圧、時間・・・といった流量を導き出すのに必要とされる要素を列記して、それぞれの測定器の不確かさを明記していた体系図が付いていたのです。
そのイメージを持っておられる方が、今のシンプルな校正証明書を見ると疑問をお持ちになってしまうのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan



ISO/IEC 17025:2017認定 Bronkhorst® Calibration Centre


ブロンコスト・ハイテック(Bronkhorst High-Tech B.V.)は、EUでトップ、世界でも5本の指に入るマスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)メーカーです。
ブロンコストの特長的なところは、マスフロー(MFC,MFMの総称)を製造するだけではなく、校正事業者としての側面もある事です。

しかもブロンコスト校正センター(Bronkhorst Calibration Centre; BCC)はオランダ認証機関(RvA)によりISO/IEC 17025:2017の認定を受けており、認証番号はK 127です。
180521_01
【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

BCCの品質保証(QA)システム、校正方法、技術的能力が検査され、監査され、必要なすべての要件を満たしていることが証明されています。

*ISO/IEC 17025に関して

試験所・校正機関から出される試験結果、校正証明書が、「本当に正しいものなのか?」という疑問に対して、彼らが本当に正しい数値を出す能力があるかどうかを証明する国際規格がISO/IEC17025です。
試験所・校正機関の能力と品質を確認するには欠かせない規格として、支持されています。

ブロンコストは1981年の創業以来の長年に渡るガス用マスフロー(質量流量)・ボリュームフロー(体積流量)校正業務の経験をもとに、BCCを設立しました。


180521_02
【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

*国際MRAに関して
オランダのRvAと日本のNITEとの間には、国際MRA(Mutual Recognition Arrangement)という多国間の相互承認があります。
国際MRA対応認定を受けている校正機関の出した校正結果=校正証明書は、相互に同等な証明書として扱う事が出来ます。
そのベースになるのが、ISO/IEC 17025なのです。
ISO/IEC17025を取得していることが、国際MRAを確かなものとすると言えるでしょう。


BCCは先ず2010年にガス流量校正サービス(調整を含む)の認定を得、流量範囲0.15 mln/min~6200 ln/minにおいて、新規および既存のブロンコスト製マスフロー及び校正装置の校正業務をカバーしました。
2014年にBronkhorst校正センターは新しい場所に移り、作業スペースが拡張されまたことにより、2015年にはブロンコストのコリオリ式マスフローメータ・コントローラmini CORI-FLOWの流量範囲1~200 g/h, 圧力メータ・コントローラEL-PRESSの圧力範囲2.5 kPa~40 MPaの校正に対応致しました。


現在は流量(気体、液体)圧力認定校正事業者として、活動しています。
もちろん認定校正事業者ですから、その対象はブロンコスト製マスフローに限らず、BCCは体積流量(気体、液体)メータと他社製マスフローのガス流量校正にも対応しています。


流量計(マスフロー)メーカーであり、かつ校正事業者でもあるということは、それだけ流量の信ぴょう性(トレーサビリティ)に関する真摯な取り組みを行っているメーカーだという事です。
日本ではあまり知られていない事柄なので、今回はピックアップして記事にしてみました。

EZ-Japan ここでもうひと押し by Deco




測定と計測は違う意味です

皆さん、よく流量を測る際に使われる”測定””計測”は異なる意味である事をご存知でしたか?
これは案外マスフロー業界の人でも使い分けができていなかったりします。

170821_01.jpg

つまり機器に添付された校正証明書で、基準として用いる量=国家で定めた標準との不確かさが謳えるものだけが
測定(Measurement) という言葉を使えるのです。
狭義では流量計と名乗れるのは、この測定目的のものだけです。

校正証明書の付かないものは、いくらカタログで高精度を謳っても、工業用の計測を行うセンサーであり、そこに指示された流量は、いかなる公的な基準ともトレーサブルであるという証明はありません。
メーカーとしての流量基準はあるのでしょうが、そこからのトレーサビリティは一切保証されていません。

当然、測定を行う機器のメーカーは、国家標準との間のトレーサビリティを維持するために、設備投資とメンテナンス、雇用と教育を必要とされます。
こういった流量計やマスフローコントローラーが高くて納期がかかる理由・・・
安価ですぐ入手できる流量センサーで本当によいのか?
一度、じっくりお考えいただいて、使い分けて頂けたらと思います。

MFC豆知識 by Deco EZ-Japan 
EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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