2019年 亥年 新年あけましておめでとうございます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

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本年もマスフローコントローラ(MFC)&マスフローメーター(MFM)に関する記事を定期的にアップしていきたいと思っております。
どうぞ当ブログを宜しくお願いいたします。


2019
年一回目の更新は、真・MFC千夜一夜物語 で、ラスボスCFとの戦いの第4回目をお届けします。

 

CFへの流量レンジ影響

 第4回目ではマスフロー(MFC&MFMの総称)の流量レンジを変えることでのCFへの影響を確認してみましょう。

ブロンコスト社(Bronkhorst High-Tech B.V.で、流体をアルゴンガスの 大流量MFMモデルでF-113AC-1M0を選定して、このモデルの流量下限フルスケールのFS600SLMと、上限のFS2500SLMを選んでみました。
それぞれ空気換算すると400SLM1670SLMです。
ブロンコスト社で大流量モデルはコンプレッサーエアーが基準流体になります。
この流量レンジで純度の高い窒素ガスを校正用にドバドバとはは使いたくないですよね。
両レンジでCFが大きく変化しているのが下図でわかります。

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600SLMでのCF1.422100FS、ところが2500SLMでは1.562100FSです。
興味深いのは、FS2500SLMモデルの 250SLM10FSでのCF1.404であることです。600SLMモデルの同じ流量ポイントとなる250SLM41.7FSで計算するとやはり1.404なのです。
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の変化はアルゴンの流量レンジが大きくなるにつれ、1.4221.568と大きな値に変化していきます。

今度は流体を変えて水素で見てみましょう。(下図)
ここでまた不思議な現象が確認されます。

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水素ではアルゴンと逆の現象が起きるのです。
モデルの最小レンジであるFS400SLMでのCF0.9766100FS、これが最大レンジであるFS1400SLMでは、なんと0.8735100FSとなっています。
アルゴンとは逆に流量レンジが大きくなるにつれ、CF0.97660.8735と小さくなってしまうのです。

実はDecoはこのマルチCFの罠にしっかり嵌って、失敗をしたことがあります。
なまじっか経験が長い為に、“空気と水素のCFは、ほぼ近似していて1である。”というシングルCF時の知識で、「空気換算1670SLMF-113AC-1M0が作れるのだから水素も同じはず・・・」とFLUIDATで確認せずに顧客仕様を決めてしまったことがありました。
蓋を開けたら0.8735倍の1459SLMしか流れないわけで、平謝りして納入前に流量レンジをFS1400SLMに下げてもらったのです。
まさに“生兵法は怪我の元”ですね?お恥ずかしい限りです。

 

今回の比較で興味深いのは、アルゴンも水素も25FS程度の低流量域から100%FSまで大きくCFが曲がっていることです。
これは巻線式センサーで分流構造をとるマスフローにはつきまとう“分流比”の変動が要因と考えられます。
一般的な巻線型のマスフローで採用されている熱式センサーは、測定対象である流体を全量測っているわけではありません。
流量センサーに流れるのは510ml/min程度の流量であり、残りはすべて層流素子(バイパス)部を流れるように設計されています。
これはセンサー管内の流れを層流で維持する為であることは、今までの連載で何度か解説しましたね?

ここで問題になるのは、このセンサー管と層流素子の分流比率です。
その分流比率は、どんな場合でも一定にはならないのです。
高圧から真空(subatmosphericレベル)までの圧力条件、微小流量から大流量までの流量レンジで一定の分流比の維持は難しいのです。
また、ガス種により、アルゴン、二酸化炭素のような重いガス、水素のような軽いガスでは、自ずと校正に使用する基準ガスである窒素や空気とは異なってきてしまうのですね。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan