EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

流量センサー

真・MFC千夜一夜物語 第321話 MFCで液化が起きた!その1

半導体製造装置での流量制御がマスフローコントローラー(MFC)の主な役割になります。

ところが半導体製造装置では、常温で液体である流体、いわゆる液化ガスを使用することが多々あります。

代表例ではアンモニア(NH3)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、六フッ化タングステン(WF6)等です。

特にWF6等は常温しかも常圧条件ですら液体の為、気相で運ぶとなると供給系の大半を真空下で搬送しなくてはいけません。

 

こういった液化ガスラインで、MFCがトラブルを起こしたという話は、かなり高い頻度で聞かれます。

”液化してMFCの流量センサーが詰まって流量信号が出ない!“とか”MFCのバルブで液化して流れない、もしくは不安定になる。“といったトラブルです。

 

こういったトラブルははなぜ?そしてMFCのどこで発生するのでしょうか?


200817_01

 MFCの中で液化するポイントは、圧倒的に流量制御バルブオリフィス部です。

流量制御行うMFCのバルブ部は上の図のように絞り=オリフィスがあって、そこへ流れ込む流体の量をソレノイドやピエゾアクチュエーターで駆動されるバルブが、隙間の空間のギャップ量を可変させることで流量制御を行います。

このオリフィスの絞り込みがきついと、そこを通過する際の気体の流速が急激に速くなってしまいます。そして一気にオリフィス下流へ放出されるのですが、その際に体積が増大することで、断熱膨張を起してしまい、それによって流体の温度が急激に下がることで、液化を起してしまうのです。

 

こういった液化を起こしやすいMFCに対する処置方法は2つあります。

1つはガスシステム全体を下図のように昇温して、特にMFCは熱容量が大きいので独立したヒーティングシステムを用いて適切な温度に昇温することで、断熱膨張が起きにくい環境条件を作り出すことです。

 

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もう一つは、MFCのバルブ部のオリフィスを大きな径にして、流速変化を小さくすることで断熱膨張を起こりにくくする方法です。(下図) MFCのバルブ部のオリフィスを大きくすると、その分だけ流量制御は狭いギャップで行う必要が生じます。結果的に圧損も小さくなりますので、“低差圧仕様”とか“液化ガス対応”と呼称されていますが、調整難度は高くなりますので、どんなMFCでもこの低差圧仕様が製作できるわけではありません。

 

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次回からこの2つの液化への対応に関して、お話ししていきましょう。


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】
by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第301話 MFCとは不思議な存在 その1

【お知らせ】
今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

マスフローコントローラ(MFC)というアイテムは、非常にユニークな存在です。
分類するなら質量流量計・・・いや、それはマスフローメーター(MFM)のことです。
"質量流量制御器"という呼称が正しいかと思いますが、あまりなじみのない表現ですね。
MFCの構成は以下の図を参照ください。
 
191216_01
流量センサーから出力された信号を、増幅、温度や直線性補正をかけた信号を流量出力(PV)とします。
これをそのまま外部へ送るのならMFMですが、MFCの場合は異なります。
次に調整計が待ち受けています。
調整計は外部からの流量設定信号(SV)とPVを①比較します。
そして②偏差を判断します。
その後、下流に位置する流量制御バルブを③操作します。
この操作は流量制御バルブに対する、バルブ制御信号(MV)の可変で行われます。
アクチュエーター方式にもよりますが、アクチュエーターを伸縮させることで、流路にあるオリフィスの開度を可変させ、オリフィス部で発生する圧力損失を変化させることで流量を制御するのです。

第301話という事で久しぶりに、MFCの制御とは?というお話から始めさせていただきました。

「なんだ、そんな話は知ってるよ!」
「Decoさんの講演で聞いたよ!」
「もっと最新のPI-MFCとかを取り上げてよ!」

と、おっしゃる読者の方々もおいででしょうが、実はこの構造こそが、MFCの最大の特長であり、最大の難点でもあるのです。
コンバージョンファクターと並び、MFCの未来を左右する大きな二大要素です。
このお話の先にはまず「PI-MFC不要論」という最新の流行を否定する話や、「そもそもMFCすら不要」という恐ろしい結論が待ち構えている可能性もありまして・・・
そうなるとDecoもマスフローマイスターを廃業することになりかねませんね!

簡単なお話に見えて、かなり深くて怖いお話です。
2020年はここを突き詰めて参りましょう!

少し早いのですが、11月に逝った父親の四十九日を控え、実家と行き来しますので、年内のブログ更新は今回で最後にさせて頂こうと思います。
年明け1/7(火)からの連載再開をお楽しみに!

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

MFCとは?

久しぶりのMFC豆知識のコーナーです。

マスフローコントローラー(MFC)とは何でしょうか?
実は11/15のNMIJ流量計測クラブの年会での講演でもお話しさせて頂いたのですが、
マスフローメーター(MFM)が純粋な質量流量計、つまり流量計なのに対して、MFCは複雑なのです。


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MFCとは流量センサー(熱式やコリオリ式)と流量制御バルブで構成されると書かれることがありますが、正確には違います。
MFCは 流量センサー、調整計、流量制御バルブ の3つから成り立つことを覚えておいてください。

流量センサー  流量を測定し測定値(PV)を出力する
調整計     外部から目標値(SV)を受け、流量センサーPVと比較・判断し
        操作量(MV)を決定し、流量制御バルブを操作する
流量制御バルブ MVを受けバルブ開度を調整する(=圧損を可変することで流量を調整する。)

これを上図の左側で人間が手動流量制御を行っているのになぞらえると

①流量計を目視して流量を知る 
②流したい流量値と比較して判断する 
③ニードルバルブの開度を手で調整する

という作業を、小さなMFCが代わりに引き受けて、24時間、夏でも冬でも、供給圧力が乱れても、同じ流量を流し続けることができる自動流量制御を実現してくれる便利なツールなのですね!

そう考えると、マスフローコントローラーは質量流量計なだけでなく、流量の自動流量制御を可能にするマルチファンクションツールなのです。
実はすごいと思いませんか?

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan
EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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