これに対して、日本のMFCメーカー((株)堀場エステック、日立金属(株)、(株)リンテック)が採用しているのが、第3の方式となるピエゾアクチュエーター搭載型流量制御バルブです。
流量制御バルブ
これに対して、日本のMFCメーカー((株)堀場エステック、日立金属(株)、(株)リンテック)が採用しているのが、第3の方式となるピエゾアクチュエーター搭載型流量制御バルブです。
最近、Web-MTG等でご質問頂く内容で、これは!っと思ったものをご紹介しておきますね。
マスフローコントローラーの場合、機器の構成は以下の図のようになっているものがほとんどです。
ですが、よく見るパージメータの世界で多いのも・・・
これを上部ニードル配置と言い、逆にバルブが上流にいる下部ニードルと言う配置もあります。
計装の世界では逆に流量調整バルブが前で、流量計(マスフローメーター=MFM)が後ろと言う場合もあります。
「前か?後か?どちらが正しいのでしょうか?」
先日、このようなご質問を頂く機会がありました。
答は、「どちらでも良いのですが、気を付けて頂きたい点がございます。」となります。
流量計はどこで流れている値を読みたいかによりますので、流量計の設置はその原則で配置すべきです。
ですが環境条件によってはその配置を取る事で、流量計の測定結果にある影響が出る可能性があることを考慮しなくてはなりません。
原則として流量計を置いた側の圧力影響や流路形状による影響を流量センサーは強く受けるとお考え下さい。
例えば流量計(MFM)が下流にある場合です。
流量計の二次圧が大気開放ならば問題はありませんが、例えば真空の場合にはまずい場合があります。特に熱式の流量センサーを搭載したMFMで分流測定構造を採っているものです。
これはガスが希薄になる影響を受けて、センサーチューブと層流素子(バイパス)との間の分流比が変動を始めるせいではないかと推論しています。
この影響はインサーションタイプやMEMSタイプで全量測定タイプではまだ起きにくい傾向があります。
ただ起きにくいと言っても流路のガス原子が希薄になる事で値自体に変動は生じてきますが、圧力依存特性として、まだ補正値で管理できる範囲でした。
このような流量センサーの場合、流量センサーは前に置き、流量制御バルブで真空と仕切ってしまう配置がベストでしょう。
MFCがまさにこの配置を取る事が多い理由は、MFCの販売対象業界が半導体製造装置向けで、MFCの二次側は装置のチャンバーであり、そこは高真空に設定されることが多いからなのです。
逆に加圧系の装置ならば、流量計を流量制御バルブ二次側に配置することも多くみられます。
ただ、ここで気を付けて頂きたいのは、流量計の種類によっては、配管径の5~10倍の曲がりや径が変動しない穏やかな流れの直管部を必要とすることです。
流量制御バルブの構造上、確実に流路を絞りますから、下流へ送られる流れは、決して穏やかなものとは言えないでしょう。
この乱れた流れを整流する仕組み無しで、流量センサーを流量制御バルブの下流に配置すると、流量計の測定値に悪影響を及ぼす場合もあるという事なのです。
半導体製造装置での流量制御がマスフローコントローラー(MFC)の主な役割になります。
ところが半導体製造装置では、常温で液体である流体、いわゆる液化ガスを使用することが多々あります。
代表例ではアンモニア(NH3)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、六フッ化タングステン(WF6)等です。
特にWF6等は常温しかも常圧条件ですら液体の為、気相で運ぶとなると供給系の大半を真空下で搬送しなくてはいけません。
こういった液化ガスラインで、MFCがトラブルを起こしたという話は、かなり高い頻度で聞かれます。
”液化してMFCの流量センサーが詰まって流量信号が出ない!“とか”MFCのバルブで液化して流れない、もしくは不安定になる。“といったトラブルです。
こういったトラブルははなぜ?そしてMFCのどこで発生するのでしょうか?
流量制御行うMFCのバルブ部は上の図のように絞り=オリフィスがあって、そこへ流れ込む流体の量をソレノイドやピエゾアクチュエーターで駆動されるバルブが、隙間の空間のギャップ量を可変させることで流量制御を行います。
このオリフィスの絞り込みがきついと、そこを通過する際の気体の流速が急激に速くなってしまいます。そして一気にオリフィス下流へ放出されるのですが、その際に体積が増大することで、断熱膨張を起してしまい、それによって流体の温度が急激に下がることで、液化を起してしまうのです。
こういった液化を起こしやすいMFCに対する処置方法は2つあります。
1つはガスシステム全体を下図のように昇温して、特にMFCは熱容量が大きいので独立したヒーティングシステムを用いて適切な温度に昇温することで、断熱膨張が起きにくい環境条件を作り出すことです。
もう一つは、MFCのバルブ部のオリフィスを大きな径にして、流速変化を小さくすることで断熱膨張を起こりにくくする方法です。(下図) MFCのバルブ部のオリフィスを大きくすると、その分だけ流量制御は狭いギャップで行う必要が生じます。結果的に圧損も小さくなりますので、“低差圧仕様”とか“液化ガス対応”と呼称されていますが、調整難度は高くなりますので、どんなMFCでもこの低差圧仕様が製作できるわけではありません。
次回からこの2つの液化への対応に関して、お話ししていきましょう。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
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