EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

流量計

本年もEZ-Japanをよろしくお願いいたします

2023年 明けましておめでとうございます。
お陰様で年末年始の関東地方は晴天に恵まれました。
しかしながら、北日本を始め各地で大雪による災害が発生しているようです。
被災されました方々には、謹んでお見舞い申し上げます。

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さて、昨年は新型コロナ陽性等の出来事で仕事をお休みしたりしましたが、年間を通じては大変良い年でした。
本ブログも安定して皆様のアクセスを頂き、真・MFC千夜一夜物語も昨年末の更新で385話を迎える事が出来ました。
これも皆様のお陰と深く御礼申し上げます。

EZ-Japanとしてこの5年間、「唯一の完全な質量流量計」としてPRさせて頂いてきたブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V.)のコリオリマスフローの良さを色々な分野のお客様で御理解いただき、各種液体質量流量測定、ポンプをコントロールした質量流量制御用途や、空気や窒素のような気体の流量測定用途にまで幅広く導入を頂けたのが、大きな収穫でした。
なかなか前例を覆さない、新しいものを導入しない、海外製品にアレルギー反応が強い日本市場で、今のブロンコスト製品のスマッシュヒットは画期的な出来事だと思っています。
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mini CORI-FLOW+ギアポンプ 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
思えば2016年後半に「これは良い製品だ!」と思って、ブロンコスト・ジャパン(株)さんと一緒にお仕事をさせて頂く事を決めてから6年。
講習会やブログ、計測技術誌を始めとした技術誌の記事でコツコツとその良さをご説明してきた事も大きな飛躍の一助になったかと思います。

また、コリオリ以外にも高圧ガス対応、本質安全防爆対応、産業用イーサーネット&フィールドバス対応、そして微小流量用小型マスフロー等、色々なマスフローを導入頂けました。
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FLEXI-FLOW Compact 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

今年も流体の流量測定&制御の新しい形をご提案していける強い確信を抱いております。
2023年6月1日で創業10周年目を迎えるに当たり、EZ-Japan 法人化の準備も進めております。
どうか2023年もEZ-Japan 黒田 誠を宜しくお願い申し上げます。

2023年、年頭に当たって EZ-Japan 代表 黒田 誠

MFCがJISに記載されていない理由を考えてみた

マスフローメーター(MFM)マスフローコントローラー(MFC:MFM&MFCを総称してマスフロー)は流量計の中でも質量流量計に分類されます。

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上の図で黄色く塗っているのが体積流量計、青が質量流量計です。
質量流量計と体積流量計の差は?
もうご存知ですね。

質量流量とは流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する流体の量を”質量”で表したもの

体積流量とは流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する流体の量を“体積”で表したもの

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では、その大元に当たる流量計とは何でしょうか?
流量計とは流量を計るものです。
そして流量とは、読んで字のごとく「流れの量」のことです。
気体・液体等の流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する量のことです。
単純な流量を知る方法が発見されたのは、古代ローマ時代であり、今日までその基本は変わっていません。
なぜ、人類は流量を計ろうとしたか?と言いますと、それは2つの理由があります。
1つはそもそもローマ時代からの要求で、使った流量に応じた料金を徴収する、つまり料金を正確に算出する根拠とする為です。
そして2つ目は近年、工業用途でガスや液体が使われるようになってからの要求で、安定した歩留まりで生産する、つまり製造プロセスの再現性向上の為です。

JISの定義にある流量計は公の用途である1つ目に用いられるものが多いのが特長です。
水、油、石油等の国家の流量基準にトレーサブルな流量計で測ることが法で定められた流量計だからですね?
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ところがマスフローはこの2つの内の後者、特定産業での製造プロセスの再現性向上の為に用いられています。
マスフローがJISではなく、MFCを大量に使用する半導体業界の基準であるSEMI Standardを拠り所にするのは、ある意味自然な成り行きなのでした。

MFC豆知識 EZ-Japan Deco

前?後?どちらが正しいの?

MFC豆知識です。
最近、Web-MTG等でご質問頂く内容で、これは!っと思ったものをご紹介しておきますね。

マスフローコントローラーの場合、機器の構成は以下の図のようになっているものがほとんどです。
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上流に流量センサーがあって、その下流に流量制御バルブという構成です。
ですが、よく見るパージメータの世界で多いのも・・・
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やはりバルブは下流にあります。
これを上部ニードル配置と言い、逆にバルブが上流にいる下部ニードルと言う配置もあります。
計装の世界では逆に流量調整バルブが前で、流量計(マスフローメーター=MFM)が後ろと言う場合もあります。

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「前か?後か?どちらが正しいのでしょうか?」
先日、このようなご質問を頂く機会がありました。

答は、「どちらでも良いのですが、気を付けて頂きたい点がございます。」となります。

流量計はどこで流れている値を読みたいかによりますので、流量計の設置はその原則で配置すべきです。
ですが環境条件によってはその配置を取る事で、流量計の測定結果にある影響が出る可能性があることを考慮しなくてはなりません。

原則として流量計を置いた側の圧力影響や流路形状による影響を流量センサーは強く受けるとお考え下さい。
例えば流量計(MFM)が下流にある場合です。
流量計の二次圧が大気開放ならば問題はありませんが、例えば真空の場合にはまずい場合があります。特に熱式の流量センサーを搭載したMFMで分流測定構造を採っているものです。

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真空、Decoがデータを取ってもらった際は-30kPaを超えた辺りから流量出力に繰り返し性が無くなったのを記憶しています。
これはガスが希薄になる影響を受けて、センサーチューブと層流素子(バイパス)との間の分流比が変動を始めるせいではないかと推論しています。
この影響はインサーションタイプやMEMSタイプで全量測定タイプではまだ起きにくい傾向があります。
ただ起きにくいと言っても流路のガス原子が希薄になる事で値自体に変動は生じてきますが、圧力依存特性として、まだ補正値で管理できる範囲でした。

このような流量センサーの場合、流量センサーは前に置き、流量制御バルブで真空と仕切ってしまう配置がベストでしょう。
MFCがまさにこの配置を取る事が多い理由は、MFCの販売対象業界が半導体製造装置向けで、MFCの二次側は装置のチャンバーであり、そこは高真空に設定されることが多いからなのです。

逆に加圧系の装置ならば、流量計を流量制御バルブ二次側に配置することも多くみられます。
ただ、ここで気を付けて頂きたいのは、流量計の種類によっては、配管径の5~10倍の曲がりや径が変動しない穏やかな流れの直管部を必要とすることです。
流量制御バルブの構造上、確実に流路を絞りますから、下流へ送られる流れは、決して穏やかなものとは言えないでしょう。
この乱れた流れを整流する仕組み無しで、流量センサーを流量制御バルブの下流に配置すると、流量計の測定値に悪影響を及ぼす場合もあるという事なのです。

【MFC豆知識】 by Deco EZ-Japan

【EZ-Japan】流量計&マスフロー講習会の実施に関しまして

昨年、EZ-Japanにご依頼いただいた仕事で非常に多かったのが”講習会の実施”でした。
このブログで告知させて頂いた日本工業出版(株)さん主宰の日工セミナー2019「微小流量計測の動向と選定事例」や 国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ/AIST)流量計測クラブでの講演 等を始め、業界大手の装置メーカーさんや商社さんで講演をさせて頂き、皆様へマスフローや流量計のお話をさせて頂いたり、普段色々とお困りのこと、お考えになっている事を逆にDecoがお聞きできる良い機会とさせて頂きました。

2020年度も、EZ-Japan として講演のお仕事を増やしていこうと考えております。
興味をお持ちいただけた方は、是非本ブログのお問い合わせ欄をご活用頂き、お問い合わせください。

原則 2~3時間程度の講演と質疑応答、日本国内でしたらどとらでも伺います。
(すみません、持病のメニエール病のせいで航空機での移動が難しいもので・・・)
講演費用と旅費交通費は有償です。

内容としては、お客様のご希望に応じてアレンジしております。

流量を測るという事の根源的な意味、目的といったお話から
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マスフローコントローラ(MFC)やマスフローメーター(MFM)の基礎原理や成り立ち

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MFCだけにとらわれず流量計全般の小解説もさせて頂きます。

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技術的な事項だけでなく、MFCの成り立ちやメーカーの推移に関する解説も大変好評です。

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もちろんアプリケーションや、安全教育的な要素にも注力しております。

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宜しくご検討の程をお願いいたします。
詳細は2月を予定しております、EZ-Japan HPの改定にてご案内をさせて頂く予定です。

EZ-Japan 代表 黒田 誠(Deco)

真・MFC千夜一夜物語 第302話 MFCとは不思議な存在 その2

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

マスフローコントローラ(MFC)という一体型流量制御器は、計装関連では非常にユニークな存在です。

一般的な流量計を用いた流量制御の図を以下に示します。

 

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上図は人間が①目視で流量計(図中では面積式流量計)の流量値を読み取り、予め欲している必要流量地との比較を頭脳で②判断し、ニードルバルブの開度を手で③操作します。

これも立派な制御の形=手動制御です。

でも、これでは人間が終始システムに付き添わなくてはいけませんし、そもそも判断するレベルが人によってまちまちになる可能性もあります。
例えば「300L/minにしなくちゃいけないけど、まぁ今の値の330L/minでもいいだろう。」とサバを読んで何もしない人、「表示の500L/minを読み間違えて300L/minになっていると思いこんでしまった。」というミスをする人。
たとえ同じ人が担当しても、ある日すごく疲れていてミスをしないとは限りません。
こういったトラブル要因となる“人間”の介在を取り除いたのが自動制御です。


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自動制御では流量値を電気信号、もしくは通信で発信できる流量計と、同じく電気信号や通信で動作する自動制御弁が必要になります。

これらを調整計と呼ばれる機器に接続することで、流量計からの検出値と目標値を①比較し、それらの偏差を②判断し、自動制御弁の開度を③操作する自動制御が完成します。

流量計を用いた流量自動制御はこのような形を取る事が多く、流量計、自動制御弁、調整計は独立した存在であるのが一般なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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