EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

流量計

真・MFC千夜一夜物語 第299話 流量とは?流量計とは? その8

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 201910月号(9/25発売)は、連載はお休みです。でも、その分11月号では大ボリュームでお届けできる予定ですので、お楽しみに!

10/30(水) 日工セミナー2019「微小流量計測の動向と選定事例」で講師を務めます!

 


電磁式流量計

 

電磁式流量計は、ファラデーの電磁誘導の法則「磁界の中を導電性が動くと、その物体内に起電力が発生する」を応用した流量計です。

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流量に比例した微弱な電圧を発生する検出器と、それを電流信号に増幅、変換する変換器により構成されています。
絶縁物でライニングされたパイプの外側に磁界を作るコイルを置くと、コイルには交番磁界(時間と共に大きさと方向が変化を繰り返す磁界のこと)が形成されます。

検出器のパイプ内には流速に比例した起電力が発生し、流量信号として一対の電極で外へ取り出されるのです。

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電磁流量計は圧力損失がなく、上流側直管長が短くてよいという利点があります。


またライニングと電極の材質を工夫すれば、腐食性の強い液体にも適用できるので、硫酸,塩酸等の強腐食性化学薬品類の流量測定に使用できるのが他にない強みです。
それ以外にもスラリー液、パルプ液、河川からの大容量取水、下水、排水等の異物を含む液体にも対応可能な点で、今までの流量計の使用用途幅を拡大した流量計とも言えるすごい流量計なのです。

 

弱点としては測定対象が導電性を持つ液体に限られてしまう事です。
低導電率液体の測定は苦手だったのですが、新しい検出方式の開発により、純水、アルコール等の低導電率液体の流量測定も徐々に可能になりつつあるそうです。

すごいですね!

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第298話 流量とは?流量計とは? その7

【お知らせ】

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もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 201910月号(9/25発売)は、連載はお休みです。
でも、その分11月号では大ボリュームでお届けできる予定ですので、お楽しみに!

 

超音波式流量計

超音波とは「周波数が2万ヘルツ以上の、人間の耳には音として聞こえない周波数をもつ音波」のことですね?
これを利用した流量計が超音波式流量計です。

測定方式は種々あるのですが、流れの上流側と下流側から交互に超音波を打ち込み、伝播時間の差を測る時間差式が主流です。

ただし、この方式は測定対象が清浄な流体に限定される弱点があります。

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超音波は物質を透過して伝播するため、送受波器を流体導管の外側に取り付けて、内部流体の流速を測るクランプオン型を提供できるのが強みで、他の流量計があくまで配管にインラインで取り付けて使用しないといけないのに対して、大きなアドバンテージを持っています。

つまりずっとある場所に固定設置して流量を測り続ける必要がないような場合、屋外の配管設備を数か所で定期流量点検を行うような用途には最適な流量計なのです。

その為、大口径配管の流量を経済的に測る方法としてよく用いられています。

 

液体よりも音波の伝導特性が低い気体は苦手とする傾向があり、基本的には液体用です。
また、測定する配管内が液体で満たされていないといけない為、細管での微小流量液体対応も弱い傾向があります。近年は半導体製造装置向けに改良され下図にあるU字型センサーでは、L/minオーダーを測定できるタイプも登場してきています。

 

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超音波式流量計を実際使用する上でトラブルの原因となるのは気泡の混入です。
気泡への対策としては、脱気装置(デガッサー)の設置がお薦めです。
液中に溶け込んだ気体を途中で脱気するには特別な仕組みが必要になります。

脱気装置の一例としてスパイラル状のフッ素樹脂製配管を気密性高い真空チャンバーに入れ、チャンバー内をポンプで真空引きすることで、フッ素樹脂配管の内外で圧力差が生じ、液体に溶け込んだ気泡を引き抜くシステムがあります。

脱気装置の詳細は過去記事を参照下さいね。

 

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超音波式流量計は従来液体用であると解説しましたが、近年気体用も実用化されています。
そのメイン用途はガスメーターです。
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(都市ガス)の流量測定を行える超音波式流量計はガスメーカーと流量計メーカーのコラボレーションで複数実用化されています。

なによりも流体に非接触である超音波式流量センサーは、異物にも強く長期にわたって繰り返し性を維持できますし、しかも低圧力損失構造なので、燃焼ガスのようにそもそもの供給圧力を高く設定できない流体には最適な方式なのです。
今後の気体の流量計測&測定に於いて、超音波式は伸びていく流量計の一つではないかとDecoは考えています。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第296話 流量とは?流量計とは? その5

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もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20199月号(8/25発売)は、7月号から引き続き、マスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)が属する質量流量計以外の各種流量計(体積流量計)を取り上げて解説を行っています。

 

渦式流量計

 

渦式流量計は、管流路に置かれた渦発生体から生じるカルマン渦のストローハル数を利用するので、カルマン渦流量計 とも呼ばれます。
(カルマン渦流はT・フォン・カルマン博士の命名です。)


下図にあるように渦発生体の後ろには連続した渦が生成されますが、流体の流れが低速時には、この渦の発生は不安定です。
従って安定して渦が発生する流速領域でしか使用できず、気体での使用、また液体でも低流量域での使用は難しい傾向があります。
しかしながら、レイノルズ数が同じならば、流体の物性に依存しないという測定原理上の特長を持つので、限定的には質量流量計と考えることも可能な流量計なのです。

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カルマン渦の測定方法は、超音波を用いる方式と、歪みゲージを渦発生体に内蔵、もしくはその直後に設置する方式が存在しています。

カルマン渦流量計は液体、気体、だけでなく蒸気にも適用でき、流路中には渦発生体のみ設置されるだけで、羽根車のような機械的可動部が無いので経時変化が少なく、差圧式流量計と比較すれば圧力損失が小さい点で有利な方式です。
しかし、前述のとおり“レイノルズ数がある程度以上ないと測定ができない”為に、流量のダイナミックレンジ(測定可能流量レンジ)が狭いという弱点を持っています。

誤解されがちですが、レイノルズ数が高くならなければいけないのは測定部の話で、渦発生体の上流は逆に整流して層流で導入する必要があります。

つまり整流したきれいな流れに対して、渦発生体で生まれた渦だけを測定したいのです。

現在では気体の測定に特化したカルマン渦流量計が自動車のエンジンのエアフローセンサーとして採用されています。
エンジンのアイドリング状態から最高回転数に至るまでの流入させる空気の流量比は実に40倍以上ありますが、超音波方式による検出と渦発生体の構造を工夫して渦を強化する事で可能にできたそうです。

このように測定原理が持つ弱点そのものを補う新しい技術が工夫されており、さらなる進化が期待される流量計なのです。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第293話 流量とは?流量計とは? その2

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もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20199月号(8/25発売)は、7月号から引き続き、マスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)が属する質量流量計以外の各種流量計(体積流量計)を取り上げて解説を行っています。

 

流量計とは?

流量を測定する目的で使用されるのが「流量計」ですが、そもそも流量自体は物理標準ではないので、流れを支配する一つ、または複数のパラメータを計って、そこから流量値へ変換するものが「流量計」だと言えます。

目的に応じた流体に適応でき、適切な流量域をカバーできる流量計を選択することが、正しい流量計測&測定の第一歩となります。

JISを紐解くと多種多様な流量計の定義があります。(下図)

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面積式流量計(Variable area flowmeters)、
パーシャルフリューム式流量計(Parshall flume type flowmeters)、
電磁式流量計(Electromagnetic flowmeters)、
渦式流量計(Vortex flowmeters

・・・等々多くの流量計があるのですが、ここであれ?っと思うのは、熱式流量センサーを搭載したMFCMFM いわゆるマスフローと普段我々が呼称している流量計の記述がないことです。
この話を講習会などでお話しすると、皆さん不思議な顔をされます。

実はマスフローはSEMI standardのみがその拠り所なのです。


「えっ?うちは半導体産業じゃないけど、MFCをたくさん使ってるよ!」

と、おっしゃる読者は結構おられるのではないでしょうか?

まぁ、だからこそ、このような連載をDecoが続けさせて頂けるのですが・・・ 

 

それはさておき流量計の種類は非常に多い事がわかりますね?

上述を含めても10種類は下らないでしょう。(下図)

 
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なぜこれほどの種類の流量計が必要なのでしょうか?

それは測定対象である流体の状態(液体、気体、蒸気)と種類(空気、窒素、酸素・・・)、流量レンジと配管径、圧力レンジ、使用温度、電源仕様、信号仕様、そして法規関連(安全保障貿易管理法令、高圧ガス保安法、防爆構造)・・・という様々な条件をすべてカバーできる“万能流量計”が存在していないからなのです。


では、次回から個々の流量計の代表例を取り上げて解説をしていきましょう。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

真・MFC千夜一夜物語 第292話 流量とは?流量計とは? その1


【お知らせ】

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もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20198月号(7/25発売)は特集ページとのボリューム調整の関係で休載となっております。
連載第56回は9月号になりますので、お楽しみに!

 

さて、今回からマスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータ(MFM)の属する質量流量計の一つ熱式流量計以外の流量測定方式に関してお話をしましょう。
その前にまず大原則である「流量」というものに関するお話から始めます。

本来連載第1回でお話しすべきだったかもしれませんが、あまりお堅い話を最初から始めたくないという思いもあって、今頃になりました。

 

流量とは読んで字のごとく「流れの量」のことです。
気体・液体等の流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する量のことになります。

流量の測定は、下図で示す通り 流路の(断面積)×(流体の流速) で求めることができます。

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一般的にこの流量とは体積流量の事を表しています。
単位時間当たりに、ある地点を通過する流体の量を“体積”で表したものが体積流量で、図中にあるように、体積流量Qv(m3/s
は、流体の断面積A(m2) に 流体の流速v(m/s)を掛け合わせることで求められます。
それに対して質量流量Qm(kg/s)は、流体が単位時間当たりに、ある地点を通過する流体の量を”質量”で表したものです。

体積流量Qvm3/s) に 流体の密度ρ(kg/m3) を掛け合わせることで求めることができます。
つまり流体の密度さえ明確ならば、体積流量から質量流量を求めることができますし、その逆も可能なのです。
体積流量計と質量流量計は、流量を体積と質量どちらの側面からとらえているか?の差であり、全く異質なものではありません。

JIS B 7556:2008 “気体用流量計の校正方法及び試験方法”にも「気体の体積は、同じ種類及び質量であっても、温度又は圧力が異なれば、そのときの気体の体積は異なる。したがって、気体の状態(温度、圧力)を明示して体積流量で値を示す場合があるが、このように状態を明示して示された体積流量は、質量流量と同義である。」と記載されている事からも明らかですね?

 

  

では、なぜ人間は流量を測るようになったのでしょう?

Decoの考えでは、その理由は2つあるかと思ってます。

 

① 使った流量に応じた料金を徴収するためです。

水道、ガス、石油類(ガソリン、灯油、重油等)・・・等、流量に応じて料金を算出するサービスがあります。
セルフガソリンスタンドで給油される方がほとんどになったかと思いますが、ガソリンが入った量で支払う金額が増えていくので、ガソリン代の高い時などは、回るメーターを見ながら財布の中身が気になるDecoです。

最近では、燃料電池車用の水素ステーションで高圧70MPaの水素を流量測定するのにコリオリ式流量計が使用されている話題をよく聞きませんか?


このような用途では、不公平があってはいけません。
同じ50L入れたはずが、Deco52Lで、貴方は45L、それが同じ料金では腹が立ちますよね?

ここで重視される要素:校正証明(国家基準とのトレーサビリティを証するもの)になります。

 

② 安定した歩留まりで生産するためです。

こちらは近年になって、生産装置のFA化が進んできたことから生み出された需要かと思います。
半導体製造装置、バーナーコントロール、薬液等充填・・・等、環境変化に影響されない=製造装置の再現性向上に役立てる為に、流量を正確に測ろうという動きが起き、多くの方式の流量計が求められましたが、中でも流量制御機能を付与したマスフローコントローラが好まれることになったのです。


EL-FLOW Prestige application

【生産設備に施工されているMFCの例 写真撮影の為、ケーブル類は配線されていません。 出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

では、次回は流量計とは?をお話ししましょう。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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