EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

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液化ガス

真・MFC千夜一夜物語 第284話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その16

【お知らせ】

今まで本ブログは、"EZ-Japan BLOG since 2017”と "真・MFC千夜一夜物語”@niftyココログ版の2つで同時連載進行を行って参りましたが、既に告知の通り2019/5/11をもって@niftyココログ版の方を終了させていただきました。こちらのブログ"EZ-Japan BLOG since 2017"版での連載は、変わらず続けて参りますので、どうか千夜一夜=1001話にたどり着く迄、宜しくお願い申し上げます。

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20196月号(5/25発売)では混合ガスをマスフローコントローラー(MFC)、マスフローメーター(MFM)で使用する際、そして混合ガスをMFCで作る場合の解説を行っています。

 

液化ガス

前回から引き続いて、バルブオリフィス部で断熱膨張を起こしやすい液化ガスを使用する際の注意事項に関する解説です。

前回はMFCで液化ガスを使用した際に液化を起こさないようにする方法として、MFC及び配管周辺にヒーターを配置する際の注意事項でしたが、今回はMFC側での対策についてお話ししましょう。

 

MFCでの圧損を小さくする低差圧仕様が、その対策です。

圧損を小さくするポイントは、コントロールバルブのオリフィス部です。

282回で解説しましたが、液化の原因は、断熱膨張による冷却効果が生じる為です。

物体が外との熱の出入りなしにその体積を増した場合、断熱膨張を起こし温度が下がりますね?

実際にMFCのバルブで生じている現象を再度下図で見てみましょう。
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この問題はオリフィス通過後の体積の膨張ですね?

オリフィスがある以上、膨張は生じるにしても、ここを通過する流速を落とせば、断熱膨張による温度低下を下げることができます。

流速を落とすには、このオリフィス部の絞りを緩くすればよい=圧損を低くすればよい訳です。

これを下図に示します。

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オリフィスを太くして、バルブのリフト量(ギャップ)がそのままでは流量が流れすぎてしまうので、この低差圧仕様を作る際のキモになるところは、バルブのリフト量を小さくすることです。

調整を変えたら簡単でしょ?と思いがちですが、アクチュエーターの最小分解能との相関でそう簡単なことではありません。微細なリフト量の制御が特異なピエゾアクチュエーターを使ったモデルの方が楽に作れますが、ソレノイドアクチュエーターでも対応は可能です。

メーカーによってはオプション化していたり、型番コードを別に設定したりして、低差圧仕様モデルを設定しているので、液化ガス用のMFCを検討する際には、相談してみましょう。

 

「じゃあ、全部のMFCを低差圧モデルにすればいいじゃないか?」

という声もありそうですが、この構造にも弱点があるので、必ずしも色々なガス種で使えるわけではありません。

まず、制御可能圧が低くなるのはいいのですが、逆に差圧が大きくなると流量が流れすぎてしまい制御不良を起こしやすくなります。

特に低差圧仕様のMFCを水素やヘリウムのような軽いガスで用いると、大きなオーバーシュートから、ハンチングが収まらなくなる現象を起こしてしまう事があるのです。

つまり目的に特化したが為に、MFCが持つ本来の特性である”汎用性”を失ってしまうのですね。

 

低差圧仕様のMFCをお求めの際は、くれぐれも液化ガスの種類、対応できる圧力条件、必要な最大流量等の情報をもってMFCメーカーに相談されることをお奨めします。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第283話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その15

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液化ガス 

前回に引き続いて、バルブオリフィス部で断熱膨張を起こしやすい液化ガスを使用する際の注意事項に関する解説です。

 

パージ、真空引きから始まって、禁断のドライヤーまで持ち出しても、一度液化した流体はMFCの内部から簡単には抜けてくれません。

下手するとセンサー部へ逆流して、センサー管やバイパス(層流素子)のチューブを閉塞させてしまう可能性もあります。(下図 青く着色部)

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こうなると装置を停止させて、MFCを交換するしかありません。しかし、反応性の強い、半導体製造プロセス用材料ですとMFCを交換しよう配管を開放した際に、空気と反応して生成物を作ってしまう事もあります。

良い例(悪い例?)がジクロロシラン(SiH2cl2)です。

Decoの現役時代、内部でジクロロシランが液化したMFCが修理で戻ってくると、中は真っ白になっている事が多かったです。

これはSiと空気中のO2が反応して、SiO2を作ってしまったからです。

こうなると部品(センサー、バイパス、オリフィス等接ガス部品)は全交換、ボディは洗浄で何とかなればいいですが、ダメな場合はこちらも新品交換で、下手したら新品が買えるくらいの、目が飛び出るような高額修理見積がメーカーから出てくることになります。

しかも、影響はMFCだけではなく、前後の配管にも異物の汚染が確実に発生してしまい、下手すると1ライン丸ごと配管系を総取り換えになってしまうのです!そうなるとMFCを交換するよりはるかに長い時間の装置停止となってしまいます・・・

 

このように液化ガスをMFC内部で液化させてしまうと、流量制御異常でプロセスに問題は生じるわ、交換作業で装置を止めなくてはならないわ、挙句に配管が汚染されるわ、挙句に高額の修理費用と長期の装置ダウン・・・と大変な事ばかりです。

要は液化してからの対策ではなく、できるだけ液化させないようにする対策が重要なのですね?

 

MFCでの液化ガス対策は、以前はヒーターによる昇温が行われていました。

MFCにヒーターを巻くのですが、まずこの時点でアウト!な事例を下図左に示します。
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MFCのバルブオリフィスで断熱膨張が起きるのに、上部の基板が収まっている場所を昇温しても意味がありませんね?

むしろセンサーの温度補償回路に悪影響を及ぼすだけです。

正解は右の底面部分のSUSブロック部です。

 

昇温は断熱膨張による液化にはそれなりの効果があります。

しかし、これには落とし穴もありまして、ヒーティングした部分と、していない部分の境界や、配管機器の熱容量差によって生じる昇温ムラによるコールドスポットの発生で新たな液化を起こしてしまった事例があるのです。

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 特にMFCは配管、そして他の機器(バルブやラインレギュレーター)と比較すると大型になり、特に底面SUSブロック部分はかなりのボリュームがありまので、熱容量が大きい傾向があります。

上図のように昇温する際は、MFCだけは独立したヒーター&温調器をあてがって頂いて、温度勾配を付けた厳密な温度管理をして頂く必要があるのです。

次回はMFCのバルブ部の工夫で液化を逃れる方法に関してお話ししましょう。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

真・MFC千夜一夜物語 第282話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その14


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さて、本来13回で終わるつもりでした“マスフローでこのガスを使う時は注意しよう!”ですが、リクエストがあったので、もう少し続けますね。

 

液化ガス

半導体製造プロセスでは、常温で液体の材料を気化して使う事がありますが、それとは別に常温で気体であるけれど、冷却や圧縮することで液体になってしまうものを液化ガスと呼んでいます。
アンモニア、プロパン、ブタンなどが一般的ですが、半導体向けだと三フッ化ホウ素(Bcl3)、ジクロロシラン(SiH2cl2)、六フッ化タングステン(WF6)、三フッ化塩素(ClF3)等々ぞろぞろとそういったガスが出てきます。これらのガスを通常仕様のMFCで使用すると、ほぼ確実に流量制御バルブ、オリフィスで再液化してしまいます。その理由は、断熱膨張による冷却効果が生じる為です。

 

断熱膨張とは・・・

物体が外との熱の出入りなしにその体積を増した場合、断熱膨張を起こし温度が下がります。これは理想気体を断熱条件の下で準静的に変化させた時の圧力と体積の関係を示すポアゾンの法則によるものです。

 

実際にMFCのバルブで生じている現象を下図で見てみましょう。
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MFCの流量制御バルブには必ず絞り部分(オリフィス)があります。

流量を調整するには、1mm未満の狭いオリフィス(固定)とバルブアクチュエーターのリフト量(可変)の組み合わせを使用するのは、今までのブログ記事で何度かお話ししたかと思います。

この狭い空間を液化ガスが通過した際に、流速が急上昇し、断熱膨張を起こしているのです。

 

液化してしまうと、バルブを閉塞させてしまい、流量制御が不可能になってしまいます。

液化の兆候は、流量制御が不安定になるところから始まります。

設定信号(SV値)に対して流量信号(PV値)がふらふらつき始めてしまうのです。

そして、液化でオリフィスが塞がれ始めると、更に流路が狭まり流速が上がっていくので雪だるま式にガスは液化して、すぐ閉塞に至ります。

そうなるとMFCPV値はほとんどゼロになってしまいます。

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これは困った現象ですね?果たしてどう対処したらよいのでしょうか?
一番最初に試みるべきなのは、窒素パージです。
MFC二次側をベントへ切り替え、真空引きと窒素パージを繰り返すことで液体を廃除できれば、MFCは高い確率で機能復帰します。
ですが、MFCの内部構造は複雑で狭い流路が多いので、なかなか液体を排出することは難しいのです。

次に試すべきは設備的に可能ならばですが、一時的にMFCを昇温することです。
次回お話ししますが、液化ガス用のガスラインはヒーターで昇温できるようになっている構造の場合もあります。それを使うのも手なのですが、液種によっては閉鎖空間に残存した液体が昇温されることで再気化するだけではなく、反応してしまうとなると大変危険です。
なのであまりお勧めできるやり方ではありません。

Decoの若いころは、よくお客様が液化したMFCにドライヤーの温風を当てていた現場もありましたが、熱式のMFCのセンサーの方式によっては、センサーの破損を招きかねませんので危険です。

「液化ガスの特性をまず確認すること」
「バルブを閉め切って液体を封じ込めないこと」
「MFCの電源は遮断すること」


この3つが最低条件になります。

これで回復しても、どっかに液が残っていて同じことを繰り返す可能性も高いので、最終的にはMFCを交換しないといけなくなてしまいます。
生産を止めて交換作業を行う訳ですから、工程から見たら大ダメージですね。

では、そうならないように、MFCで液化を起こさないようするにはどうしたらよいのでしょうか?
このお話は次回に続きます。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第275話 マスフローでこのガスを使う時は注意しよう! その7


もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20194月号(3/25発売)ではマスフローコントローラ(MFC)、マスフローメータに異物が混入した際のトラブルシュートを解説しています。

 

アンモニア(NH3)

アンモニアは可燃性、有毒ガスですが、半導体製造装置、窒化炉、発電設備、脱硝装置、石油精製装置の防食、イオンエッチングプロセスなど各種工業用途で広く用いられています。

ボンベの色は白色と決められています。

アンモニアは20℃での蒸気圧が0.857MPaの液化ガスです。
液化ガスと通常ガスとの大きな差は、液化の字のごとく液化ガスボンベには圧縮した液体と化したアンモニアが封入されていて、それがボンベ内で気化したガスを供給する仕組みであることです。(下図)


第5図

 

  ボンベに充填された液体アンモニアが内部で気化して気体となった際に得られる圧力は、常温で0.8MPaあればいいところです。

しかも液体アンモニアの蒸発潜熱は1268 KJ/Kg0℃、1013hPa)も必要である為、アンモニアを大量にボンベから払い出そうとすると、ボンベが熱を奪われてしまい、急激に温度が下がることで、ガスの供給圧力を失ってしまうのです。
例えばアンモニアをMFC下流側に0.2MPaの背圧が立つ条件で500L/min[N]流量制御したい場合、通常のMFCだと最低でもMFCへの供給圧は0.5MPa程の圧力をとってやる必要があります。
MFC
での圧力損失=ΔP0.3MPa必要になります。
これはあくまでMFCの入口/出口部での差圧ですから、ボンベからチャンバーまでの配管経路にある他の配管部品、バルブやフィルター、そして配管の曲がり等により生じる圧力損失を考慮すると、アンモニアボンベからの供給圧はさらに高く維持しなくてはならなくなってしまいます。

供給圧を上げるには、液化ガスである限り温度を上げて蒸気圧を稼ぐしか術はありません。
手っ取り早い話、ボンベの温度を上げればいいのですが、高圧ガス保安法では可燃性ガスのボンベを火や電気で直接温める行為が禁じられているので、間接的な手法である湯煎しか方法はないのです。
案外、このことを知らずにアンモニアボンベを市販の非可燃性ガス専用ボンベーヒーター(マントルヒーターやシリコンラバーヒーター)を用いている現場があるかもしれませんが、法律の順守を意識して下さいね。
確かに湯煎は設備も大掛かりになり大変であり、そういった意味ではできるだけ低い圧力でアンモニアを供給したいのが本音です。

 MassStream_03
【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

ここで紹介するブロンコスト社のMFC MASS-STREAM D-6371は、先ほどの二次圧0.2MPaの条件に対して、なんと一次圧は0.2386MPa500L/min[N]のアンモニア流量制御ができる低圧損大流量MFCです。

MFCの圧力損失はわずか38.6kPa(d)
まさにアンモニアのような液化ガスを大流量制御するためにあるようなMFCです。

なぜこのMFCはこんなに低圧損で大流量制御が可能なのか?それは流量センサー構造の差です。

以前の記事でも取り上げたので記憶している方も多いかもしれませんが、MASS-STREAMシリーズの流量センサーは、インサーションタイプなのです。

詳しい解説は次回・・・


【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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