真・MFC千夜一夜物語
7/25発行の日本工業出版(株) ”計測技術”2021年8月号にて、病気療養で4月号から休載させて頂いていた連載”マスフロー千夜一夜物語 ~質量流量計の基礎”が再開しましたので、お知らせします。
出典:日本工業出版(株)
<記事概要>日本工業出版(株)HPより引用
”マスフロー千夜一夜物語 第71回 / EZ-Japan 黒田 誠
”マスフロー千夜一夜物語 第71回 / EZ-Japan 黒田 誠
「質量流量計」に分類され、各種産業の製造装置で流量測定&制御のキーパーツとして扱われるMFM(Mass Flow Meter)、MFC(Mass Flow Controller)にも、人間と同じく定期的な健康診断(=流量検定)が必要である。今回はその手法を解説する。” 引用終了
再開第一弾は、Deco自身も思い知った定期的な健康診断(=流量検定)の重要さに関してです。
是非お求めください!
次回以降は、EtherCAT、EtherCAT-P等への産業用ネットワーク対応、10mmMFC、圧力式MFC等の皆さんが興味を持たれていそうな最新の半導体製造装置向けMFCをどんどん取り上げていく予定です。
お楽しみに!
以上/EZ-Japan 代表 黒田 誠
再開第一弾は、Deco自身も思い知った定期的な健康診断(=流量検定)の重要さに関してです。
是非お求めください!
次回以降は、EtherCAT、EtherCAT-P等への産業用ネットワーク対応、10mmMFC、圧力式MFC等の皆さんが興味を持たれていそうな最新の半導体製造装置向けMFCをどんどん取り上げていく予定です。
お楽しみに!
以上/EZ-Japan 代表 黒田 誠
もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年2月号(1/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第42回は、熱式流量センサーを用いる際のキーワードとなる“コンバージョンファクター(CF)”に関する解説記事です。
さて、マスフローコントローラ(MFC)&マスフローメーター(MFM)の最大のトラブルは、センサーチューブとバイパス(層流素子)の分流比が何らかの原因で初期値より変化することなのですが、特に注意すべきアプリケーションとして、コンプレッサーやブロアで大気を吸引して押し込む場合、または吸引ポンプで大気を捕集する場合、いずれも大気という我々が生活している空間に存在する空気(ボンベで販売されている“乾燥空気“とは異なります。)をマスフローへ導入する場合のご説明を前回は致しました。
今回はマスフローの内部で反応して異物を生成するガスの場合です。
これらの反応性の高いガスは、半導体製造装置でプロセスガスとして多く用いられるものが多いです。
代表例では塩素(Cl2)が挙げられます。
塩素はドライガスの状態では、マスフローの接ガス材質であるSUS316に対して腐食性を持ちませんが、水分と一緒になると塩酸(HCl)となり、激しく腐食を起こします。
ドライエッチャーで塩素を使いアルミ配線をエッチングする工程で使用されるMFCではこの問題が、長く問題となってきました。
水分といっても、塩素ガスラインへ水を入れたりする配管は誰も組みません。
問題になったのは、配管に残留する微量な水分です。
研磨された平滑な金属面ならば、良いのですが、少しでも凹凸があると、そのへこんだ個所に入り込んだ水分は、真空引きやベーキングを行っても飛んでいってくれない事があります。
そこに塩素ガスを導入し、しばらく使い続けるとそのくぼみの部分から腐食が始まってしまうのです。
そして、その腐食により今回問題になっている異物による分流比の変動が実際生じていました。
設定している塩素の流量よりも、いつの間にかかなり多めの流量が流れてしまって、プロセス上は大変な事態が生じているのに、MFCの流量値=設定値のままで変動していなかったので、装置側のインターロックもかからず、そのまま不良を生産し続けてしまう問題が生じたのです。
「いやいや、今の半導体製造装置はウルトラクリーンな配管構成が徹底されているので大丈夫でしょう!」というご意見もあるかと思いますが、マスフローの構成部品の中にはそうでもない箇所があります。
狭い流路で平滑に仕上げるのが難しそうな場所・・・そう、ここです。
今回ご説明している分流構造のマスフローのセンサーと層流素子(バイパス)ですね。
内径1mm以下のキャピラリが集まる場所です。
バイパスは一部構造を狭い流路のキャピラリ方式でなくしたものもあります。
バイパスは一部構造を狭い流路のキャピラリ方式でなくしたものもあります。
ですが、センサーチューブはどのメーカーも大きくは変わりません。センサーチューブの内径は、細いメーカーで内径0.35mm、太くても0.8mm程度とDecoは記憶しています。
この径のステンレスチューブの内面研磨、表面処理に関しては、decoも現役時代色々とやりましたが、なかなか上手くいきません。
センサーチューブ内面研磨処理仕様は、まだメディカルで使用する注射針の要領で中空糸研磨という方法があります。
分析装置メーカーのお客様から教えを請い、そちらの外注先を紹介いただき、センサーチューブの研磨試作をお願いしたりと、色々工夫をしました。
ですが、電解研磨はお手上げです。
正確に言えば電解研磨や表面処理をすることはできますが、確実にそれらが行えているかを検証する方法が無いのです。
しかもセンサーチューブは、本来ステンレスの直管で、それらの処理をしてから、逆U字に曲げます。
となると、曲げ部の内面の状況は・・・・ですよね。
また、センサー部は熱式流量センサーの要であり、通電時は常に80~100℃の熱が加えられています。
塩素ガスが残留した水分と反応するのには、温度が高い方が良いので、温度環境的にも腐食が発生しやすい箇所なので本当に参りました。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
明けましておめでとうございます。
もう一つのMFC千夜一夜物語である日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年1月号(12/25発売)掲載「マスフロー千夜一夜物語<質量流量計の基礎>」連載第41回は、“熱式流量センサー”に関しての解説記事です。
マスフローコントローラ(MFC)&マスフローメーター(MFM)のセンサーとしては最もメジャーな熱式ですが、果たしてどういったものなのかを掘り下げた記事になっていますので、ご一読ください。
さて、マスフロー(MFC&MFMの総称)最大のトラブルは、センサーチューブとバイパス(層流素子)の分流比が何らかの原因で初期値より変化すること・・・というお話をしています。
これがセンサーチューブが完全に詰まった場合なら、前回お話ししたように流量出力は0になるので、まだわかりやすい“目に見えるトラブル“であり、対処方法もあります。
一番怖いのは、中途半端に詰まる事・・・“目に見えないトラブル”の発生なのです。
マスフローの中の分流構造では流入した流体はその大部分がバイパスを、そして5~10SCCMレベルの微小な流量がセンサーチューブを通っています。
従ってセンサーチューブは内径0.35~0.8mm程度の細い管であり、比較的異物で閉塞しやすい構造です。
分流構造を採るバイパス部も決して広々とした流路ではなく、あるものはセンサーチューブと同じような細径のキャピラリの集合体であったり、あるものエッチングロールであったり、またあるものは焼結金属を用いていたりします。
その為、異物の詰まる可能性は、センサーチューブとどっこいどっこいなのです。
下の図にあるように、正常状態でマスフローメーカーで流量調整されて出荷された製品が、なんらかの異物が混入した場合、センサーチューブに詰まる場合とバイパスに詰まる場合があります。
この場合、完全に閉塞していなければ、MFCはPV=SVとなるように制御を続けますので、MFCからのPV値を読んでいるだけでは、分流比率が変化したことはわかりません。
つまり、メーカーで調整した分流比が例えば1:99でセンサーに1流れれば、実際はバイパス分の99を足した100を流していますよ!というものが、現実には異物により1:95に変化していたとしたら・・・ センサーでは1の流れをマスフローとしては100と置き換えて流量出力されているにもかかわらず、実際は96だったという事が起きてしまうのです。
これは繰り返し性の高い流量制御を行うのが売りのMFCにとっては致命的です。
どのような使用方法でマスフローに異物が入るのか?次回は事例を挙げて解説しましょう。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan
EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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