EZ-Japan BLOG since 2017 真・MFC千夜一夜物語

EZ-Japanブログは、真・MFC千夜一夜物語という流体制御機器=マスフローコントローラ(MFC)の解説記事をメインに、闘病復帰体験、猫達との生活が主なコンテンツです

耐圧防爆

真・MFC千夜一夜物語 第263話 マスフローに防爆仕様は存在するの? その10


もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 201810月号(9/25発売)ですが、マスフロー千夜一夜物語は誌面都合で休載です。

11月号をお待ちくださいね。

 

まずは下の図を見てください。

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この組み合わせは、タイトルにあるようにMFM部は本質安全防爆ですが、流量調整弁やポンプに対しては、あくまで耐圧防爆構造のものを選択しています。

賢明な皆様には既にこの構成が 本ブログの第261話 ”マスフローに防爆仕様は存在するの? その8” で取り上げたATEX本質安全防爆構造のEX-FLOW MFCタイプと似通った構成である事に気が付かれたでしょう。
そもそも流量センサーと流量制御バルブ、そしてPIDコントローラを一体化したMFCという形態は、本質安全防爆が必要な危険場所では存在し得ないのです。

なので、ブロンコスト自身は流量発信器のTIIS認証に特化し、ユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュールの開発は計装技術に造詣の深い()タテヤマ製作所に委ね、流量制御弁やポンプは複数の国産メーカーでリリースされている耐圧防爆構造の既存品を顧客の必要としているプロセスに応じて組み合わせてもらうというブロンコスト・ジャパン()の戦略は、市場の現実をよく見据えた鋭いものであると思えてきます。

TSIP-002-CREX-FLOWを流量発信器として本質安全防爆ループを形成する相棒ですが、そのパートナーはEX-FLOWには限りません。
TIIS
認証本質安全防爆発信器ならば、他の測定方式の流量発信器でも、または圧力発信器でも構わないのです。
圧力発信器を用いれば、本質安全防爆構造圧力センサーとなり、更に流量調整弁を接続すれば、APCAutomatic Pressure Controller)を形成することもできます。
APC
の場合、圧力発信器の位置が容器の上流か、下流かによって容器の入口圧制御/出口圧制御と役割が変わる性格があるのは、以前ご説明したと思います。
センサー部とバルブ部が一体型のMFCのような形はAPCとしての汎用性をスポイルしてしまうので、このようなセンサー部と制御バルブの配置を固定されないスタイルが市場では歓迎されるとDecoは思います。

 

連載10回をかけてマスフローでの防爆の解説とブロンコスト・ジャパン()の新製品 本質安全防爆構造MFMEX-FLOW”、そしてコンビを組む(株)タテヤマ製作所のユニバーサル・ワンループ・プロセスコントロールモジュール“TSIP-002-CR”との接続による本質安全防爆構造MFMとしての運用、その応用編としてフローコントローラへの拡張の可能性の解説を行ってきました。

今までと異なり、防爆に関してグレーゾーンは少なくなってきています。

TIIS認証品が無いので、代わりの方法で…というのは通りにくくなり、TIIS認証品で構成する事を例外なく求められるようになると思えます。
そういったタイミングでTIIS認証本質安全防爆防爆構造MFMが世に出たのは必然だったのかもしれません。

防爆に限らずワールドワイドでビジネスを展開する際に、必ず各国でのローカル規格認証の問題が付きまといます。
もちろんメーカーは、それらを尊重してビジネスを展開していかなくてはならないのですが、国々の規格への個別対応には当然コストと時間を必要とします。
これがメーカーの負担になっている事は否めません。

しかし、安全規格の場合、それは即ち人命にかかわるものなのだから、緩和、国際共通化していくには難しい側面もあるかもしれません。
でも、ローカルルール化が過ぎたレベルになり新規参入を拒む障壁になってしまうのも避けたいところで、悩ましいところですね。
今回のオランダのマスフローメーカーであるブロンコストのTIIS認証取得が、良い意味での”ペリーの黒船“になってくれればとDecoは思っています。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

真・MFC千夜一夜物語 第256話 マスフローに防爆仕様は存在するの? その3

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 2018年8月号(7/25発売)は、特集記事のボリューム増で連載休載=夏休みとなっております。
9月号からの再開をお待ちくださいね。

防爆に関してのご説明の続きです。
1種危険場所に対応できるのは、本質安全、耐圧、内圧の3種の防爆構造です。
各種防爆構造に関しては、下図でご確認ください。
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耐圧防爆構造は内部で爆発が生じてもそれに耐える堅牢な容器に電気器具を収納する方法であり、爆発が起こっても大丈夫という思想です。
ブロンコストがTIIS本質安全防爆を取得する前、日本で購入できた防爆構造マスフローはこのタイプに当たります。
実は数年前、Decoも顧客のミニプラントを見学させていただいたことがありました。
その時に東京計装(株)さんの耐圧防爆構造MFCを偶然目撃して、なかなかお目にかかれない珍しい防爆構造マスフローを目にすることができて、それだけで帰り道は上機嫌だったことがあります。

 
油入防爆構造内圧防爆構造は、電気火花やアークの発生源を油やパージガスで爆発性ガスと遮断する方式です。
特に内圧防爆方式はパージボックスにパージガス供給の有無を判定するマノメーターを検知装置として装着して製作すれば比較的安価であり、防爆対応がなされていないマスフローを防爆化するのに好まれた手法です。

対して根本思想から異なるのが、安全増防爆構造本質安全防爆構造です。
これらは爆発性ガス雰囲気でも爆発しないよう火花の飛ばない、温度の上昇しない回路を取り付けた防爆構造であり、容器の破損、パージガスの遮断といった不測の事態の可能性がゼロではない他の防爆方式より積極的に安全だと言えるでしょう。
特に正常時だけでなく事故時でも火花の発生や高温に達することが無い=爆発しない本質安全防爆構造は、安全率を多く見たiaならば0種場所に対応できる唯一の防爆構造となります。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

真・MFC千夜一夜物語 第254話 マスフローに防爆仕様は存在するの? その1

 

もう一つのMFC千夜一夜物語が掲載されている日本工業出版さんの「計測技術」誌 20187

月号(6/25発売)では、マスフローコントローラ(MFC)及びマスフローメータ(MFM)内部の分流構造が、流量の繰り返し性に対して及ぼす影響を解説していますので、本解説と合わせてお読みいただけたらと思います。

 

さて、今回から「防爆」仕様マスフロー(MFCMFMの総称)に関してお話ししましょう。

2017年に「ブロンコスト・ジャパン(株)、本質安全防爆構造MFMTIIS認証を取得!」というニュースがあり、本ブログでも何度か取り上げました。(下写真)


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<出典:ブロンコスト・ジャパン()

その後、訪問先や講習会、業界の方々との四方山話の中で、

「防爆仕様のマスフロー って、あったの?」

「そもそも本質安全とか耐圧防爆ってどういう意味?」

という質問を頂く回数が徐々に増えてきましたので、機は熟してきたのかな?と思い、今回から取り上げてみようかと思います。

 

機は熟してきたというのは・・・
実はこのリリースは、防爆に携わる人達にはインパクトがあるのですが、当然防爆自体に興味のない方は当然関心もないという、評価が真っ二つに分かれる性質のものでした。

筆者としてはマスフロー業界の10大ニュースどころか、トップ3に入るものだと思っています。

「オランダのメーカーが日本の本質安全防爆でTIISの認証を取った!」という事と、「熱式マスフローで国内本質安全防爆対応モデルは初!」である事がその理由です。

*ちなみに防爆構造のマスフロー自体は以前から(株)オーバルさんと東京計装(株)さんで提供されています。

TIISTechnology Institution of Industrial Safety)とは「公益社団法人産業安全技術協会」の事で、労働安全衛生法令で定める機械等の検定業務のほか、JISIECISOなどの基準による安全性能試験業務、また当協会安全性能認定審査基準による機械等の認定業務を行ってる機関です。
既にATEX IECEx本質安全防爆構造マスフローをラインナップに持つブロンコストですら、TIISの認証を得るのに数年間の時間を必要としたとのことですから、その難度がわかかりますね。
なぜブロンコストはこのような“ジャパンユニーク“と呼んで他の外資が避ける日本の防爆規格に挑戦したのでしょうか?
そこから見えてくる「国内防爆マーケットでの熱式マスフローの今後」を考えていきたいなと思いますので、お付き合いくださいね。

 

まず、次回から「防爆とは?」からご説明していきましょう。

 

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan

 

 

EZ-Japan(イージージャパン)Deco こと 黒田です。 2014年6月開業です。流体制御機器マスフローコントローラーを中心に”流体制御関連の万(よろず)屋”として情報発信しています。 日本工業出版「計測技術」誌で”マスフロー千夜一夜物語”の連載中です。
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